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ソロモン諸島へ侵攻予告する
オーストラリアの背景にある
覇権・植民地主義的な考え方

Hegemonic and colonist mentality behind
Australia’s threats to invade Solomon Islands

GT 
Mar 28, 2022


翻訳:青山貞一(東京都市大学名誉教授)
  独立系メディア E-wave Tokyo 2022年3月30日

2021年11月28日、ソロモン諸島のホニアラで暴動が発生した後、廃墟のそばを歩く男性。写真 AFP

本文

 オーストラリアは、一方でロシアのウクライナへの「残忍でいわれのない侵略」と認識するものを米国に密着して非難しているが、他方でそのエリートたちは南太平洋の隣国を侵略して政権交代を助長すると露骨に脅しているのだから滑稽だ。

 木曜日のロイターの報道によると、中国との広範な安全保障協定の提案がソロモン諸島の内閣に送られ、検討されるとのことで、キャンベラに衝撃が走っている。

 マクロビジネス?の創刊者で、アジア太平洋地域の有力外交誌 ザ・ディプロマットの元オーナー、デビッド・ルウェリン-スミス氏は、その翌日、オーストラリアは 「ソロモン諸島侵攻に備えなければならない」と示唆した。

 スミス氏は、中国とソロモン諸島の取引を「オーストラリアのキューバ・ミサイル危機」と呼び、オーストラリアの「主権と民主主義」を守るために、「もしそうしなければならないなら、国家(オーストラリア)はガダルカナルに侵攻し、ホニアラで政権交代を実現するようにしなければならない」と述べた。

 豪州のエリートは、ソロモン諸島が中国との安全保障協力の強化を望んでいることだけを理由に、侵攻を予告したのだ。

 キャンベラは、原子力潜水艦を獲得するためのAUKUS協定に署名するなど、米国と多くの軍事協力を行ってきた。キャンベラの行動は中国にとってより大きな脅威ではないか?

 華東師範大学オーストラリア研究センター長の陳紅氏は、「これはオーストラリアの必死なエリートたちの偽善と二重基準を示している」と述べた。

 陳氏は、南太平洋の島嶼国に対するオーストラリアの根強い覇権主義、植民地主義的な考え方も露呈していると指摘する。

 オーストラリアはソロモン諸島をはじめとする南太平洋の島国をまったく尊重しておらず、それどころか、この地域の島国を勢力圏、あるいは属国と見なしてきたのだ。

 「これらの国々が他国との関係拡大を望むと、オーストラリアは即座にヒステリックに反応する」と陳さんは強調した。

 オーストラリアは、ソロモン諸島の中国との正常な協力関係を、侵略の危険を冒してまで妨害しようとしている。これはオーストラリアの覇権主義への執着を示している。

 陳氏は、オーストラリアは長い間、南太平洋地域の「マイナーな覇権主義者」になろうとしてきたという。そのために、オーストラリアは中国とソロモン諸島の安全保障協力を悪意を持って歪曲した。

 法執行と治安分野における二国間協力は、昨年ソロモン諸島で発生した暴動に対応するもので、現地の中国人は店が破壊され、焼かれ、略奪され、身の安全が脅かされるという大きな損害を受けた。

 ソロモン諸島に中国人がいること、そして両国間の通常関係が発展・拡大していることを考えれば、双方が安全保障協力を強化するのは当然のことである。

 しかし、多くのオーストラリアの政治家、アナリスト、メディアは、この協力関係を、ソロモン諸島に軍事基地を設置しようとする中国の試みと中傷し、オーストラリアの利益を損ない、地域を不安定にさせると誇張した。

 軍事専門家の宋中平氏は、オーストラリアは「迫害妄想」に陥っており、中国が南太平洋地域で行うことはすべてオーストラリアへの「脅威」として描かれることになると考えている。「これはオーストラリアがこの地域の島国から信頼を得る助けにはならず、オーストラリアのヒステリックで醜い顔をさらすだけだ」と宋氏は指摘する。

 オーストラリアがいかに事実を捻じ曲げ、中国の意図を中傷しようとも、中国とソロモン諸島をはじめとする南太平洋の島嶼国との協力はより多様で豊かなものになるはずだ。

 中国は南太平洋諸国に、経済と安全保障の発展という面でより多くの選択肢を提供している。中国との協力は、対等な立場で行われ、互恵的で、政治的な条件が付されていないため、現地の人々の間で人気がある。

 南太平洋地域におけるオーストラリアの影響力が低下しているのは、オーストラリアがこれらの国々に対して覇権主義的な考え方を持っているためである。この地域のどの国も、侵略の脅しを簡単にかけることのできる豪州に、自国の発展を本当に助けてくれるとは思っていない。