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中国人は第二次世界大戦の歴史について
ロシアに大きな共感を示しているが、
欧米はモスクワを敵視している
ヤン・シェン、リン・シャオイー GT
Chinese show great empathy to Russia over WWII history
while West turns hostile to Moscow

Yang Sheng and Lin Xiaoyi
GT
9 May 2021

翻訳:池田こみち Komichi Ikeda(環境総合研究所顧問)
独立系メディア E-wave Tokyo 2021年5月10日 公開

 


「不滅の連隊」行進のパレード写真:Li Hao / GT

<本文>

 ロシアが1941-1945年の大祖国戦争におけるソ連のナチスドイツに対する勝利の76周年を記念して、日曜日にモスクワの赤の広場で軍事パレードを行った際、北京では同日、第二次世界大戦におけるヨーロッパでの勝利を祝う「不滅の連隊」の行進に約400人が参加した。

 米国を中心とする西側諸国の一部がロシアに敵意を示し、連合国の勝利に対するソ連の貢献を軽視したり、ソ連をナチスドイツと比較してロシアに汚名を着せようとしているとき、中国人は旧ソ連の戦時中の貢献に対して全く異なる態度を示している。

 北京とモスクワのハイレベルな相互信頼と戦略的パートナーシップとは別に、中国の人々は毎年、ロシアの戦勝記念日の軍事パレードのライブストリーミングを見て、熱意を示している。日曜日には、「2021年ロシア戦勝記念日軍事パレード」や「ロシア大祖国戦争勝利76周年」などのハッシュタグが1億回以上再生されている。中国の国営テレビはこのパレードを放送した。

 モスクワでは、プーチン大統領、退役軍人、来賓が赤の広場の中央展望台からパレードを見守った。「戦争がもたらしたものは、耐え難い試練、悲しみ、涙であり、これを忘れることはできない。そして、再び攻撃的な計画を練っている人々には、許しも弁解もない。」とプーチン大統領はスタンドから語った。

 在中国ロシア大使館のドミトリー・ルキアンツェフ(Dmitrii Lukiantsev)公使参事官は、日曜日に行われた式典で、「不滅の連隊」イベントは、ファシズムや軍国主義への勝利のために命を捧げた祖先への感謝のしるしであり、ロシアと中国の揺るぎない友情の象徴でもあるため、ロシア人や地元の中国人から大きな注目を集めたと環球時報に語った。

 「我々(中国とロシア)は兄弟であり、中国の兵士が大祖国戦争、中国における日本の占領に対する戦争でソ連の兵士と共に戦ったという事実は、我々が共通の利益、共通の感情、共通の目標を持っていることを示している。私たちは共にあるのだ。」と語った。

 中国人民解放軍空軍初代司令官・劉亜禄の娘である劉雲紅(Liu Yunhong)は、『環球時報』に対して、「帝国主義者にいじめられた時代を忘れてはならない。平和を手に入れることがどれほど難しいかを忘れてはならない。」と語っている。

 1939年から1941年にかけて、古参の劉氏はモスクワのフルンゼ陸軍士官学校に留学し、ソビエト赤軍の少佐に任命され、スターリングラードの戦いをはじめ、数々の激戦を戦い抜いた。

 ロシア内戦時にソ連赤軍の中国連隊長を務めた任福千(Ren Fuchen)を祖父に持つ任公偉(Ren Gongwei)は、「ロシアと中国のこの固い、血で結ばれた友情が永遠に受け継がれることを願っている」と環球時報に語った。

 任公偉(Ren Gongwei)氏がこの行進に参加するのは今回で3回目だ。今年は、中国での対日侵略戦争(1931~45年)を支援したソ連空軍の志願兵の埋葬地を探すことを目的とした追跡グループ「ソビエトイーグルス」の仲間たちと一緒に参加したという。

 「ロシアのウラル地方には、私の祖父の記念碑があります。そして、中国でもソ連兵がもっと広く記憶されるようになることを願っています」と任(レン)氏は語った。

 中国のアナリストによると、中国とロシアの伝統的な友好関係は、ナチスドイツと大日本帝国のファシズムに対抗するために共に戦った戦時中に確立され、過去にいくつかの摩擦や対立があったにもかかわらず、その絆は世代を超えて今日まで継承されてきたという。

 「一部の西側諸国は、歴史を操作して今日の政治的および戦略的利益に貢献し、第二次世界大戦中にロシアまたは中国が行った貢献を軽視または歪曲しようとしている。」また、「これは、戦争で、現在の国際秩序の正義と公正さにのために亡くなった人々に対して非常に有害で恥ずべきことだ。」と中国社会科学院のロシア、東ヨーロッパ、中央アジア研究所の専門家であるヤン・ジン (Yang Jin)
氏は環球時報に語った。

 「第二次世界大戦の二大戦勝国として、中国とロシアは戦時中の米国と英国の貢献に汚名を着せたり、軽視したりしたことはないが、本当の歴史を歪めたり、消したりすることは許されない。中国とロシアは、戦争の共通の記憶と事実を守るために共に立ち上がるだろう。」とヤン(Yan)氏は指摘している。

 中国とロシアは、第二次世界大戦の歴史についてだけでなく、現在の多くの国際的なホットスポット問題についても共通の認識を持っている。中国のアナリストによると、中ロ両国は、どちらも欧米から極端な敵意と偏見を受けていることから、中国人はロシア人と同じような感情を欧米に対して抱いているという。

 ロシア人が西側の侵略や米国の覇権主義に抵抗して強さとたくましさを示すのを見れば、多くの人々、特に若者は支持するだろう、と中国の専門家は述べている。