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世界的チップ不足の中、中国は
米国製チップを「買いだめ」している?
輸入急増は国内部門の拡大を反映
環球時報 2021年7月21日
Is China ‘hoarding’ US chip equipment amid a global shortage?
Import surge reflects expansion in domestic sector

By GT staff reporters

翻訳:青山貞一 (東京都市大学名誉教授)
 独立系メディア E-wave Tokyo 2021年7月22日

ICチップ製造機 Photo: VCG

本文

 最近の業界分析によると、中国は過去数ヶ月間に米国からの半導体装置の輸入を大幅に増やしており、米国の取り締まりと世界的な品不足の中で、中国が重要な装置を「買いだめ」しているのではないかという憶測を呼んでいる。

 中国の業界関係者によると、この傾向は国内のチップ製造部門の拡大を反映したものであり、このような製造能力の拡大は中国だけでなく世界中で起こっているという。

 ET Newsが日曜日に発表した 「USA Trade Online」の分析によると、1月から5月までの米国の半導体機器の中国への輸出額は21億9,600万ドルで、前年同期比55%増となっている。

 四半期単位で見ても、この数字は上昇している。分析によると、今年の第1四半期の米国の対中半導体機器輸出額は12億7,100万ドルで、前四半期比で約20%増加している。

 報告書では、中国の半導体機器購入額が急増していることについて、「米国の圧力が強まる前に、少なくとももう1セット購入しようとする動きと解釈される」とし、中国の「買いだめ」により、ただでさえ入手困難な機器の需給状況が「悪化する」と指摘している。

 武漢に拠点を置くチップ企業の関係者は、日曜日にGlobal Times紙に「チップ機器の 「買いだめ」は見られなかった」と述べ、中央政府の支援を受けてこの分野に進出する中国企業が増えており、新たな需要が生まれる可能性があると指摘した。

 また、中国の大手インターネット企業のほとんどが、過去1年あるいはそれ以前にチップ分野への進出を発表している。

 先週、テンセントの公式サイトにチップ開発の求人情報が新たに掲載されたことから、中国の大手ハイテク企業がコア技術に進出する準備が整ったのではないかとの憶測が広がった。テンセントの進出により、中国のデジタル経済における3つの巨人、Baidu、Alibaba、テンセント(BATと呼ばれる)のすべてが、このビジネスに関与することになる。

 世界市場では、グーグル、アマゾン、フェイスブックなどのインターネット・ジャイアントも同様にチップの自社開発に乗り出している。

 ベテランの業界アナリストであるFu Liang氏は、水曜日のGlobal Times紙に、もし本当にチップ機器の輸入が増えているとしたら、それは主に世界的にチップが不足している中で、チップ製造が急増しているためだと述べ、中国のチップメーカーだけでなく、世界中の業界関係者が進出していることを付け加えた。

 業界関係者は、韓国を含む一部の業界関係者が、中国の業界における「一気呵成な動き」に影響され、世界的な機器不足がさらに進む可能性があるとするメディアの報道に反論した。

 ETニュースは、SKハイニックスが、機器の納入期間が長期化し、需給の不均衡が懸念されるため、来年の投資の一部を今年の下半期に繰り上げると述べたことを引用している。

 しかし、ある業界関係者は水曜日にGlobal Timesに、「このようなコメントは、SK Hynixが半導体装置の調達に困難を抱えていることを意味するものではない」と語った。

 「事実、SK Hynixは最近設立された新しい工場の設備を導入するための前倒しの設備投資を実行しており、そのような設備投資は一般的には当初の計画に基づいていたことを意味しています」と関係者は述べている。

 「世界的に設備需要が高まっている現在の市場状況から、このような設備投資の前倒しは、実際に業界の大手企業ではよくあることです」と関係者は述べている。

 アナリストによると、主要な製造拠点である中国では、チップ関連機器の不足に対処するために購入を増やすのが一般的だという。

 公式データによると、5月の中国の集積回路(IC)生産量は、世界的に深刻なチップ不足の中、あらゆる手段を講じて生産した結果、単月で最高を記録した。

 中国国家統計局のデータによると、5月の中国のIC生産量は前年同月比37.6%増の299億個に急増した