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米国によるアフガニスタンへの
「壊滅的」な制裁は、女性や子ども
たちを最も苦しめる - 国連

‘Catastrophic’ US Sanctions on Afghanistan Hit Women,
Children Hardest- UN

Sputnik-International April 25, 2022

翻訳:池田こみち(E-wave Tokyo共同代表)
 独立系メディア E-wave Tokyo 2022年4月26日

<写真:アフガニスタンの母と子>
© AP Photo / Mstyslav Chernov


リード文
 国連の人権専門家グループは、米国がアフガニスタンに対して続けている経済制裁を非難し、「破滅寸前の壮絶な人道危機が続いている」原因になっていると指摘した。


本文

 「我々は、アフガニスタンで拡大している人道的危機を深刻に懸念している。それは、同国の人口の半分以上の命を深刻な危険にさらし、女性と子供に不当な影響を与えている。」と、月曜日の声明には、こう書かれている。

 「ジェンダーに基づく暴力は、女性と少女にとって長年にわたる深刻な脅威であったが、米国が課した措置に加えて、事実上の政府当局(タリバン)が採用した干ばつとジェンダーに基づく差別の拡大によってさらに悪化している。」と付け加えている。

 この声明を作成した専門家の中には、一方的な強制的措置が人権の享受に及ぼす悪影響に関する国連特別報告者のアレナ・ドゥハン(Alena Douhan)氏、女性に対する暴力とその原因および結果に関する特別報告者のリーム・アルサラム(Reem Alsalem)氏、開発の権利に関する特別報告者のサード・アルファーギ(Saad Alfarargi)氏が含まれている。

 専門家たちは、米国の混乱した撤退の中でタリバン*が権力を握った2021年8月以降、米国の政策が中央アジアの国の人道的危機を深刻に悪化させたと指摘した。それらの政策のうち、少なくとも、カブールの中央銀行であるダ・アフガニスタン銀行が所有する70億ドルの外国資産の凍結は、そのうちの約35億ドルを、米国でのテロの犠牲者への支払いのためにワシントンが明らかに保管しているものである。

 「我々は、大統領令14064号第3節にある規定に懸念を抱いている。大統領令14064号の第3項には、『禁止事項を回避できる、又は、免れるあらゆる取引は、回避、或いは免れる目的を持ち、違反を引き起こす原因となり、又は、禁止事項に違反しようとする取引であり』、『この命令で定められた禁止事項を破るために形成されたあらゆる共謀を禁止する条項』であることを懸念している。」と専門家は述べている。

 「このような過度に広範な表現は、銀行、企業、人道支援団体を含む関係者の不確実性を悪化させ、制裁の過剰な遵守を招き、アフガニスタンの人々が基本的な人道物資にアクセスできなくなる恐れがある。」と彼らは付け加えた。


<写真キャプション>アフガニスタンの人々は、基本的な人道的物資を手に入れることができない。© AP Photo / Bernat Armangue

 タリバンによる支配後、アフガニスタンに対する85億ドル(国内総生産(GDP)の43%に相当)の国際援助はほぼすべて中止された。その後、米国はタリバン政権への支援を拒否するとして、そのごく一部が戻ってきたに過ぎない。

 3月下旬、アフガニスタン公衆衛生省が発表した報告書は、アフガニスタンの経済破綻の深刻さを明らかにした。新生児13,700人が飢えと栄養失調で死亡しているのだ。さらに、国連常駐・人道調整官ラミズ・アラクバロフは3月15日の声明で、「なんと人口の95%が十分な食事をしておらず、その割合は女性が世帯主の世帯ではほぼ100%に上る。」"と述べている。

 アフガニスタンの人口はおよそ3900万人で、そのうち260万人は難民として国外に逃れている。

 「この数字は、ほとんど想像もつかないほど高いものです。しかし、悲惨なことに、これが厳しい現実なのです」と述べた。アラクバロフは、国連支援ミッションUNAMAの副代表でもある。

 その結果、貧しいアフガニスタンの女性たちは、性労働が厳しく禁止されているにもかかわらず、子どもを売ったり、売春をしたりするようになったのだ。

 「テレビで、子どもを売っているというニュースを聞いたんです。食べ物もお金もない状態が1週間以上続いていました。カブールのダシュト・エ・バルキ地区に住む30歳の未亡人で4人の母親であるハワは、4月上旬に「日経アジア」にこう語った。

 カブールの未亡人ゼバは、6人家族を養うために売春をしている。「誰が好き好んでこんな仕事をするものか。だけど、大家は2~3カ月分の家賃を払わなければ、追い出す。と脅した。子供たちはもう何日もろくなものを食べていないし、靴や新しい本が欲しいと言うこともあった。子供たちの幸せのために、どんな形でもいいからお金を稼ごうと思ったんです。」と語った。

 ゼバは「私は誰にも、子供たちにも言っていません。物乞いをしてお金を得ていることは、子供たちにも話しています。もし兄にこの仕事がバレたら殺される」と、話した。

 タリバンはもともと1996年に、ソビエトが支援していたアフガニスタン人民共和国の崩壊という混乱の中で勝利して政権を握った。このイスラム教集団は、世界で最も厳しいシャリーアの解釈の一つを制定し、事実上、女性を公の場から追放し、アルカイダを国内に匿い、そこから2001年9月11日の米国同時多発テロを計画した。

 3000人のアメリカ人を殺害した爆弾テロの数週間後にアメリカが開始した侵攻作戦で、タリバンはカブールの権力から追い出されたが、アフガンの田舎で再結集し、アメリカとアメリカが支援する新しいアフガン政府に対して反乱戦争を繰り広げた。米国とタリバンが2020年2月に和平合意に至るまでに、この戦争で約24万1000人が死亡し、そのうち7万1300人が専門家によって民間人であると確認された。さらに36万人が、医薬品の不足、紛争や難民であることによるストレス、食糧や水の不足や腐敗による病気など、戦争による間接的な原因で死亡したと考
えられている。

 米国占領の最後の数ヶ月、米国軍が撤退し始めると、タリバンは新たな攻勢をかけ、米国が支援するカブール政府をあっという間に粉砕し、米国が撤退する数週間前にタリバンが政権に返り咲いたのである。