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「民主化サミット」への機運を高めるため、
米下院が新疆ウイグル自治区法案を可決
劉信、張長岳、 環球時報
US House passes Xinjiang bill to build up
momentum to 'democracy summit' 

By Liu Xin and Zhang Changyue GT
公開:2021年12月09日


翻訳:池田こみち Komichi Ikeda(環境総合研究所顧問)
独立系メディア E-wave Tokyo 2021年126月11



新疆ウイグル自治区ハミ市で、ウイグル人の伝統的な集りであるメシュレップ
を催す人々。写真:IC


<本文>

 民主主義サミットの前日、米国下院はいわゆる強制労働問題に関する法案を可決し、中国の新疆ウイグル自治区に対する「ジェノサイド」疑惑という米国の世紀の嘘を強化した。専門家によれば、米国の最近の動きは、新疆を利用して中国を封じ込めるための「民主制」合戦を仕掛けようとする決意を示しているという。

 米下院は2日、中国の新疆ウイグル自治区での「人権侵害」を理由に、同自治区で調達された商品の輸入を禁止する、いわゆる強制労働法案を承認した。

 「ウイグル強制労働防止法」と題されたこの法案は、新疆ウイグル自治区で部分的または全面的に生産されたすべての商品が、強制労働によって「汚染」されているという「反証可能な推定」を生み出している。また、企業に対し、新疆ウイグル自治区からの輸入品が強制労働で作られていないことを「明確かつ説得力のある証拠」を用いて証明することを求めている。

 この法案は、民主主義サミットの前日に下院で承認された。このサミットは、米国が独自の基準で「民主主義」を構成し、世界を分断するために開催するイベントである。専門家の間では、このタイミングで法案を提出したのは、中国を弾圧するために米国が意図的に利用したものだと指摘されている。

 この法案は7月に米上院で可決されたが、ジョー・バイデン大統領は、上下両院の2つの案の違いが解消されるまで、法案に署名することができない。NPRニュース(National Public Radio News)によると、この問題は先週、世間の注目を浴びることとなった。マルコ・ルビオ上院議員は、この法案のスポンサーである共和党のジム・マクガバン氏と協力してこの問題に取り組み、今議会での動きを期待していた。

 一部の政治家は、この法案を使って他国に対する道徳的優位性を主張したいと考えているが、まだいくつかの課題がある。NPRによると、ルビオ氏は今週初め、企業の利害関係者がバイデン政権に反対するよう圧力をかけていると記者団に語ったという。国務省のスポークスマンは、この疑惑を否定した。

 いわゆる強制労働や「ジェノサイド」疑惑は、悪質な中傷だ。米国は新疆の話題を繰り返し利用して、中国の新疆を不安定にして中国を封じ込めるために、人権の旗を掲げて政治を行い、経済的ないじめを課していると、中国外務省の王文彬(Wang Wenbin)報道官は1日の記者会見で語った。

 新疆問題を誇張しようとする米国の試みは、新疆の人々のよりよい生活への追
求を止めることはなく、中国の発展を止めることもない。中国はアメリカに法案
の推進をやめるよう求め、もしアメリカが中国の利益を損なう動きを主張するな
らば、断固とした対応を取るだろう、と王氏は述べた。

 西南政法大学の人権法に関する教授であるZhu Ying(朱英)氏は、この法案は米国内でも議論を呼んでおり、米国内の一部の企業にとっては貿易コストの上昇を招き、世界の産業チェーンにも広く影響を与えると環球時報紙に語っている。

 米国は、中国に対する「ジェノサイド」疑惑を法律上の「事実」とするために法案を急いでいる。この法案は、経済的な制限だけでなく、人権問題を誇張するものであり、米国が中国に対する行動に利用する前例になると朱氏は指摘する。

 この法案は正義や人権とは何の関係もなく、アメリカの政治家が自由貿易を求めるアメリカ企業の利益を乗っ取り、アメリカのイデオロギー的な偏見に跪かせるための手段に過ぎない。また、アメリカ人が本当の中国や新疆ウイグル自治区の真実を知る権利を奪っている。これは、真の民主主義、人権、自由貿易に対する冒涜である、とZhu(朱)氏は語った。

 中国現代国際関係研究所の専門家であるJia Chunyang(賈春陽)氏は、法案は下院で圧倒的多数で可決された、と本紙に語った。特にジョー・バイデンは、新疆問題を理由に北京冬季オリンピックのボイコットを表明したばかりなので、全体の手続きはスピードアップし、署名する可能性が高い。

 法案化されたウイグル人の人権政策に関する前回の法案と合わせて、米国は何の事実もないのに中国を悪者にしようとしている。これは、冷戦時代にアメリカがイデオロギー的な圧力をかけるために採用した戦術と同じだとジア氏は指摘する。

 このような法律を作る他の目的としては、中国との不公平な競争をもたらすことが挙げられる。強制労働の疑惑は、アメリカが中国企業を制限したり、中国からの輸入を禁止したりするための口実として使われるからである。また、戦略的に中国を弾圧するためにも使われることがあるとジアは指摘する。

 米国の法案を受けて、中国商務部のGao Feng(高峰)報道官は木曜日の記者会見で、「米国は人権を旗印に一国主義、保護主義、いじめを行っており、それはWTOの原則に反するものである。また、国際貿易の秩序を著しく侵害するものである」と述べた。

 高氏は、中国はこの動きに断固として反対し、米国に訂正を求めていると指摘し、中国は必要な措置を講じて自国の法的利益をしっかりと守る、と付け加えた。

 新疆ウイグル自治区に関連する問題は、米国が「ジェノサイド」疑惑をかけ、中国を攻撃し、アメリカ自らが「人権擁護者」としてのイメージを焼き付け、中国の発展を阻害するための重要なツールになりつつある、とアナリストは指摘する。

 米国議会のウェブサイトで関連法案を検索するために「新疆」と入力すると、法案が18件、決議が28件、同時決議が6件、新疆地域に直接・間接的に関連する法律が2件、合計140件が現れる。2019年以降、新疆に関する法案や決議案の数は急増している。

 朱氏は、2020年以降、中国に関連する多くの法案が議会のウェブサイトでプレビューを許可されていないことから、これらの米国の政治家が法案に含まれる偽情報を明確にし、それを指摘されることを恐れていることを示していると指摘した。国民の知る権利を奪う動きは、米国議会が以前ほどの自信を持っていないことも示している。

 2019年1月に反中国のマルコ・ルビオ上院議員が「2019年ウイグル人権政策法」を提出した際、米下院のウェブサイトで公開された法案の原文に偽情報が含まれていたことを本紙が発見した。

■無駄な努力

 法案の可決とは別に、米国と米国が支援している反中勢力のグループは、民主化サミットに向けて新疆の問題を誇張するために頭を悩ませている。

 米国の支援を受けたテロ組織「世界ウイグル会議(WUC)」と米国や欧米の反
中勢力によって設立された「ウイグル法廷」と呼ばれる偽の法廷は12日、中国が
新疆で「大量虐殺」を行ったとの判決を下し、中国外務省は政治的な演出である
と非難した。

 「いわゆる法廷は、新疆を混乱させ、中国を中傷するための政治的手段を作り出そうと、嘘つきを雇って虚偽の声明を出させ、証拠を改ざんしたのだ。これは、いかなる法的根拠もなく、全く信用できない」と、中国外務省の報道官は1日、声明を発表した。

 今週初め、米国は中国の新疆での「ジェノサイド」疑惑を理由に、北京冬季オリンピックの「外交的ボイコット」を発表した。

 これだけの偽の証人と偽の法廷の「判決」を使い、中国に対する強制労働などの疑惑を「法律上の事実」とすることで、アメリカは中国に対する更なる制裁を促進し、国際司法裁判所などの国際的な司法機関に中国を有罪にするよう働きかけたいのだと、専門家は述べている。

 コリン・パウエル元国務長官の首席補佐官であり、ロン・ポール研究所の退役米陸軍大佐であるローレンス・ウィルカーソン氏が2018年8月に行った発言のビデオクリップは、米国がなぜ新疆問題を大々的に取り上げようとしているのかについて、何らかのヒントを与えてくれるかもしれない。

 ウィルカーソンは、米国がアフガニスタンに駐留していた理由について、「米国が持つ唯一のハードパワーであり、中央アジアを縦断する中国の「一帯一路構想」の中心に近接している。もし軍事力でそれに影響を与えなければならないとしたら、我々はアフガニスタンでそれができる立場にある......。そして、我々がそこにいる3つ目の理由は、2000万人のウイグル人がいるからだ」。

 「もしCIAが中国を不安定にしたいのであれば、そのための最良の方法は、ウイグル人と一緒になって、北京の漢民族を外部からではなく、内部から追い込むことだ」とウィルカーソンは言う。

 嘘はいつまでも嘘のままだ。このような演出や制裁で、アメリカは結局、自国の経済に影響を与え、国際的なイメージを損ない、信用を失墜させることになるだろう、と朱氏は指摘する。

 英国の弁護士であり、国際仲裁人でもあるグラハム・ペリー氏は、本紙に対し、米国による北京冬季オリンピックの外交的ボイコットの問題は、中国の台頭と米国の相対的衰退という大きな流れの中で見なければならないと語った。

 欧米は、中国を悪質で抑圧的な『独裁国家』として描きたがるが、事実はその逆だ。例えば、中国は8億人の人々を貧困から救い出し、より多くの人々をCOVID-19から守ってきた。そのため、欧米は中国にダメージを与えるためにジェノサイド疑惑を「発明」し、それが成功すればするほど、中国についてより多くの嘘が語られるようになるだろう、とペリーは述べている。