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50万人の中国ネットユーザーがWHOに
米国のフォート・デトリック研究所の調査を
求める共同書簡に署名

GT 2021年7月18日
Half a million Chinese netizens sign joint letter
to the WHO demanding a probe into
the US’ Fort Detrick lab

By GT staff reporters
RT June 18 2021

翻訳:池田こみち (環境総合研究所顧問)
 独立系メディア E-wave Tokyo 2021年7月19日
 

イラスト:Liu Rui/GT


<動画:Fort Detrick>省略

本文

 50万人以上の中国のネットユーザーが、日曜日の報道の時点でWHOに宛てた共同書簡に署名した。この書簡では、WHOが国際社会の監視下に置かれていない、秘密裏に閉鎖された米国のフォート・デトリック研究所の調査を行うことを要求している。彼らは、米国の研究所を徹底的に調査することで、将来の流行を防ぐことができると考えている。

 今回の動きは、欧米の一部の政治家やメディアが、中国をコロナウイルス発生の犯人と決めつける中傷キャンペーンを新たに展開したことによるものである。

 中国のネットユーザーのグループは、WHOにメリーランド州フォート・デトリックにある米国陸軍感染症医学研究所(USAMRIID)の調査を求める共同公開書簡を作成した。この公開書簡は、『環球時報』に託され、土曜日にWeChatとWeibo(注)のプラットフォームに掲載され、一般の人々の反応を求めた。その結果、24時間以内に50万人の署名が集まった。

 注)WeChatとWeiboとは
  Weibo(微博・ウェイボー)は「ミニブログ」とも呼ばれる
  SNS。SINA(新浪・シナ)という中国会社が運営している。
  2020年に発表された月間アクティブユーザーは5.5億人、
  デイリーアクティブユーザーは2.42億人と巨大な規模を
  誇る。Weiboを一言で表すとTwitterやFacebookに似てい
  る。基本的に、個人が多数へ向けてオープンに情報発信
  する用途で使用される。
  Weibo(微博・ウェイボー)やWeChat(微信・ウィーチャット)
  WeChat(微信・ウィーチャット)はLINEやメッセンジャーの
  ように基本的にはメッセージング機能を持つSNSである。
  Tensent(腾讯・テンセント)という中国企業が運営しえいる。
  

 彼らは手紙の中で、次の流行を防ぐために、WHOは危険なウイルスの研究や生物化学兵器の研究を行っている研究所に特別な注意を払うべきだと述べている。

 公開書簡では特に、
エボラ出血熱、天然痘、SARS、MERS、新型コロナウイルスなど、世界で最も致死性・感染性の高いウイルスを保管しているフォート・デトリック研究所を名指ししている。これらのどれかが漏れ出した場合には、世界に、致命的な影響を及ぼすことになる。

 「しかし、この研究所には、研究所のセキュリティに関して悪名高い記録がある。この研究所の
炭疽菌が盗まれ、多くの人が中毒になり、死亡したというスキャンダルがある。COVID-19の流行直前の2019年秋にもラボで漏洩事件が発生しているが、詳細な情報は国家安全保障を口実に米国が伏せていた。」と手紙には書かれている。

 米国のメディアが公開した情報は世界中を不安にさせ、新型コロナウイルスが米国の研究所と関連しているのではないかと疑問視する声もあるという。

 USAMRIIDは2019年、米国疾病対策予防センター(CDC)の査察を受けて一時閉鎖された。この謎の研究所は閉鎖の理由を「廃水の除染に関する継続的なインフラの問題」と報告していたが、その説明には十分な説得力がなかった。

 
6月の最近の例では、米国国立衛生研究所の「All of Us Research Program」が実施した調査研究で、国内で初めて感染が記録される数週間前の2019年12月に、米国でCOVID-19の感染の証拠が見つかっている。

 武漢では、患者から2019年12月8日に中国で最も早いCOVID-19の症状見られたことが記録されている。


イラスト

フォートデトリック秘密研究所

 共同書簡では、「さらに不可解なのは、中国が欧米諸国のウイルス学者や米国の主流メディアまで武漢ウイルス学研究所を訪問することを許可したのに、米国はフォート・デトリック研究所を公開していないどころか、米国の地政学的影響から独立している中国を含む国々とオリジナルデータを共有していないことだ。」 と述べている。

 米国は、フォート・デトリック研究所の調査を求める中国国民の声を意図的に無視し、歪曲してまで、書簡で提起された疑問を「陰謀論」と称し、同時に、どうしようもない欠陥のある噂を使って武漢ウイルス学研究所を攻撃している、と公開書簡は述べている。

 中国疾病予防管理センターの元主任疫学者であるZeng Guang氏は、WHOの専門家が中国を訪問した際に、「武漢研究所漏洩説」についてすでに評価を下しており、この仮説に対する疑念は払拭されるべきだとGlobal Timesに語っている。しかし、他の研究所からウイルスが流出したかどうかについては疑問が残ると、同疫学者は述べ、他国の研究所をさらに調査するよう求めた。

 疫学者は、次の段階の調査では、米国を優先すべきだと考えている。また、アメリカは世界中に多くの生物学的研究所を持っている。「国が所有するすべての生物兵器関連の主題は監視下に置かれるべきである」とZengは言った。

 公開書簡では、ウイルスの起源を解明してこそ、世界は潜在的な危険性を排除し、次の流行を避け、答えを求める死者の家族を慰めることができると指摘している。

 しかし、米国は常に作業を中断し、国際社会がフォート・デトリック研究所を調査することを認めようとしない。60万人以上のアメリカ人の命を奪った伝染病への悲惨な対応の後で、アメリカは全世界の人々を共に埋葬し用途考えているのだろうか。と公開書簡は問いかけている。


2020年3月19日、マサチューセッツ州フレデリックにあるフォート・デトリックの米陸軍医療研究開発司令部で、実験科学者のアンドレア・ルケットがコロナウイルスの培養を行い、検査の準備をしている。写真: AP

本文続き

陰謀の新しい波

 WHOのテドロス事務局長(Tedros Adhanom Ghebreyesus)が金曜日に加盟国への非公開のブリーフィングで、コロナウイルスの起源に関する調査の第2段階では、中国でのさらなる研究と研究所の "監査 "を含めるべきだと提案したことで、コロナウイルスの起源調査の政治化に新たな波が押し寄せた。

 事務局長は5つの優先事項を挙げており、その中には「2019年12月に確認された最初のヒト感染例の地域で運営されている関連研究所および研究機関の監査」が含まれていると、WHOが提供した冒頭の声明のコピーを引用してロイターが報じた。

 WHOはすでに1月、関連業務のために国際専門家チームを中国に派遣している。

 WHOと中国の合同チームに近い中国の専門家がGlobal Timesに語ったところによると、チームメンバーはWHOが厳選した欧米諸国のさまざまな地域をカバーする人たちで、彼らは武漢で約1カ月間の実地調査を行った後、詳細な報告書で科学的な結論を出したという。

 テドロス氏はWHOのトップとして、WHOの専門家が出した結論を尊重せず、世界的な研究の次の段階に関する専門家からの提案を支持せず、さらに結論と矛盾するアイデアを持ち出したので、受け入れがたいと中国の専門家は述べている。

 「なぜ彼がそんなことをしたのか理解できないし、組織の事務局長として、自分の組織が派遣した専門家チームを信じることも支持することもしない」と述べ、前提となる態度であれば、再び中国に多くの人を送ることは無意味だと指摘した。

 WHOと中国の合同チームに近い別の欧米の科学者がGlobal Timesに語ったところによると、ゲブレイスス氏が第2段階へのアプローチを変更するように仕向けているのは、米国を筆頭とする少数の加盟国からの実験室リークに関する政治的圧力が原因だという。

 欧米の科学者は、これによって次の段階の調査開始が大幅に遅れる可能性があり、起源の証拠を見つける機会が減ってしまうことが問題だと述べている。中国チームとWHO国際専門家は、この報告書に関する新しい情報を共有し、第2段階の計画を起草していた。WHO事務局長がこの作業の方法を変更することを提案したことは、この取り組みが停滞していることを意味する、と述べている。

 テドロス氏の発言を受けて、中国外交部のZhao Lijian氏は金曜日のメディアブリーフィングで、COVID-19起源に関する中国とWHOの研究グループの国際的な専門家は、実質的なデータや情報にアクセスし、プライバシーのために一部の情報をコピーしたり、中国から持ち出したりできないことを十分に理解していると何度も述べた。

 Zhao氏は、中国は第2段階の研究の提案を検討しており、次の段階の研究は加盟国が主導し、協議によって合意され、中国とWHOの共同研究報告書に基づいて行われるべきであると述べ、研究室からの漏洩仮説は極めて低いと結論づけ、私たちは、世界中で発生の可能性のある初期のケースをより広く探し、コールドチェーンと冷凍食品の役割をさらに理解する必要がある。

 中国外交部の報道官は、48カ国がWHOに書簡を送り、ウイルスの起源に関する調査が政治的に行われていることに反対し、世界保健総会(WHA)で行われた決議に従って行動し、ウイルスの追跡に関する世界的な調査を推し進めるよう求めていることを明らかにし、これは客観的で公正な正義が依然として多数を占めていることを示していると強調した。

 この書簡では、WHOと中国が共同で作成したウイルスの起源に関する報告書が、世界的なウイルスの起源の追跡調査の基礎となり、ガイドラインとなるべきだと指摘している。中国外交部の報道官によると、ウイルスの起源に関する調査は科学的な仕事であり、科学者は世界的な範囲で仕事をする必要があると指摘している。

 中国の疫学者は、ウイルス追跡問題を政治的に利用する傾向が、このパズルの「科学的かつ合理的」な調査の妨げになっていると述べている。世界中の科学者が協力してこの問題に取り組むべきであり、また、自分の目的のためにこの話題を絞ろうとする人々を妨げるべきである、と疫学者は述べている。