FTX(企業)とは（概要）　　　Wikipedia 日本語版

FTX(企業)とは（概要）
Wikipedia 日本語　War in Ukraine #1993　24 Nov 2022

独立系メディア E-wave Tokyo 2022年11月24日

　FTXは、アメリカ合衆国の暗号資産取引所であり2019年に創業し、2022年に経営破綻した。破綻による被害総額は数兆円規模と見られ、国内外に大きな影響を与えた。その運営はFTXトレーディング（本社バハマ）の他、米国内はFTX.USなど各国の規制に即した現地法人が担った[1]。

概要

　2019年、後にカリスマ経営者と呼ばれたサム・バンクマン⁼フリードが創業。多くの暗号資産関連商品を開発して投資家から資金を集めた[2]。

　30歳の若き最高経営責任者（CEO）であったバンクマン⁼フリードは、創業当初から仮想通貨交換業者の地位向上を目指し、国内外の規制当局に規制変更や緩和を要請、デジタル資産を金融の主流に含めてもらうよう、多額の政治献金を行うとともに熱心なロビー活動を展開した[3]。

　一方で、多彩なコマーシャル活動を展開、例えばアメリカ国内外のスポーツ関係者との間で大型スポンサー契約を行い個人レベルの認知度も高めた。アメリカ国内ではNBAマイアミ・ヒートの本拠地は1億3500万ドルのネーミングライツ契約によりFTXアリーナに改名したほか、メジャーリーグベースボールでは公式暗号通貨ブランドに就任した。世界的規模ではフォーミュラ1に出場するメルセデスAMG F1チームのスポンサーとなり、車体の各所にFTXのステッカーが貼られた[4]。

経営破綻

経営破綻まで

　2022年11月8日、FTXの流動性が逼迫したとの観測がなされ、同業のバイナンス・ホールディングスが買収するというニュースが流れたが、翌日、バイナンス側は買収の撤回を表明[5]。

　これに伴い仮想通貨トークン（FTT）は大暴落、11月8日午前の時点で3200円台で取引されていたトークンは、2日間で10分の1前後にまで下落して大混乱となった[6]。

　同年11月11日、FTXは連邦倒産法第11章の適用を申請して事実上経営破綻した。
　11月14日、CEOを退任したバンクマン⁼フリードはニューヨーク・タイムズのインタビューの中で「事業を急速に拡大しすぎて経営不安の兆候を察知できなかった」と述べている[7]。

民事裁判

　2022年11月16日までに、FTXの経営破綻で損害を受けた投資家らが、同社の宣伝に関わった人物に対し賠償責任があるとしてフロリダ州の裁判所に提訴した。請求額は不明。対象となった日本人には大谷翔平、大坂なおみが含まれた[8]。大坂なおみの例では、2022年にFTXの株式を取得し、アンバサダーの報酬を仮想通貨で受け取る契約を結んでいた[9]。

アメリカ議会の対応

　2022年11月16日までに、アメリカ下院金融委員会はFTXの破綻と暗号資産システムへの影響について公聴会を開催することを決定。同年12月を目途にバンクマン⁼フリードなどから聴取を行う意向を示した[10]。

FTX Japan

　2022年、FTXトレーディングにより、日本国内で暗号通貨を取り扱ってきた Liquid社および子会社である QUOINE社の買収が行われ FTX Japanが発足[11]。

　しかし同年11月11日、FTXトレーディングは自社と日本法人が連邦破産法第11条の適用を申請していることを発表した[12]。

脚注

1^ “日本進出した仮想通貨取引所「FTX」とは｜主な特徴とサービスを徹底解説”. COINPOST. 2022年11月20日閲覧。

2^ “暗号資産の交換業者FTX、業界最大級の経営破綻…債権者10万人・負債数兆円か”. 読売新聞 (2011年11月13日). 2022年11月17日閲覧。

3^ “コラム：FTXの破綻、金融システムには好影響も”. ロイター (2022年11月15日). 2022年11月17日閲覧。

4^ “メルセデス、チームスポンサーの暗号通貨取引所FTXが”破産寸前”もF1サンパウロGPでもロゴを維持”. motorsport.com (2022年11月11日). 2022年11月17日閲覧。

5^ “バイナンスはFTX買収の方針を撤回－制御超える問題”. ブルームバーグ (2022年11月10日). 2022年11月17日閲覧。

6^ “仮想通貨大手FTXが破産申請　買収騒動に自社トークン暴落でとどめ”. スプートニク日本 (2022年11月13日). 2022年11月17日閲覧。

7^ “ＦＴＸ前ＣＥＯ、経営不安の兆候「察知できず」　米紙に語る”. ロイター (2022年11月15日). 2022年11月17日閲覧。

8^ “エンゼルス大谷翔平ら提訴された　FTX破綻で米投資家ら宣伝関与主張　大坂なおみ、カリーも”. 日刊スポーツ (2022年11月17日). 2022年11月18日閲覧。
9
^ “大坂なおみ、仮想通貨取引所のFTXと業務提携…スポーツと暗号業界の蜜月は続く”. businessinsider (2022年4月24日). 2022年11月18日閲覧。

10 ^ “米下院、FTX破綻に関する公聴会を開催へ”. coinpost (2022年11月17日). 2022年11月18日閲覧。

11^ “FTX Japanはブロックチェーン技術が、新しい金融の形を作ると信じています。”. Liquid. 2022年11月17日閲覧。

12^ “FTX経営破綻 “日本法人利用者資産保護図られている“ 金融相”. NHK (2022年11月15日). 2022年11月17日閲覧。