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米大統領ジョ-イデン、
ウクライナ向け新型重火器出荷を確認

HIMARSロケットランチャーの
出荷を正式に発表

US confirms new heavy weapons for Ukraine
Biden has officially announced the shipment
of HIMARS rocket launchers
RT  War in Ukraine-#914 June 1 2022

ロシア語翻訳・青山貞一(東京都市大学名誉教授)
独立系メディア E-wave Tokyo 2022年6月2日


米国はウクライナ向けの新たな重火器を確認
M142 高機動砲ロケットシステム(HIMARS)ランチャー車両のルーフハッチに座る米兵。© Fadel Senna / AFP



 関連記事・解説  青山貞一

  (1)多連装ロケットシステム(MLRS)とは  ウクライナ戦争で
     ウクライナ軍が多用する米国供与の米国製武器

  (2)ウクライナが米国に要望する多連装ロケットシステム
     自走発射機 M270 MLRS

  (3)スロバキア: 自走式車輪付き榴弾砲ズザーナ2 SAU 8基を
     ウクライナに譲渡を約束


本文

 ジョー・バイデンアメリカ大統領は水曜日、キーウへの最新の「安全保障支援パッケージ」の一環として、ウクライナにHIMARSロケット砲を送ることを正式に確認した。

 バイデン氏と彼の政権の複数の高官が、アメリカはウクライナがロシア国内の目標を攻撃することを望んでいないと主張しているため、発射装置には「戦場用弾薬」が付属することになる。

 「米国議会で超党派の圧倒的な支持を得て可決されたウクライナへの追加資金のおかげで、米国はウクライナに、ロシアの攻撃を撃退するために効果的に使用している武器をさらに提供し続けることができるだろう」と、ホワイトハウスが発表した声明でバイデンは述べた。

 このパッケージには、「戦場用弾薬を搭載したHIMARSを含む、新しい能力と先進的な兵器」が含まれると、米国大統領は付け加えた。

 HIMARSは、有効射程30km前後の弾幕ロケットを発射する多連装ロケットシステム(MLRS)だが、射程300kmまでの戦術弾道ミサイルも配備可能である。

 モスクワは米国に対し、ウクライナにさらに兵器を送ることはロシアとNATOの直接対決を招く危険があると繰り返し警告している。

 ロシア国防省が火曜日に発表したところによると、2月の戦闘開始以来、キーウ軍は1700以上の砲弾に加え、450以上のMLRSランチャーを失ったという。過去1週間、ウクライナはドンバスで大きな敗北を認め、スラビャンスクの北東にある重要な町クラスニー・リマンから撤退している。


高機動ロケット砲システム(こうきどうロケットほうシステム、High Mobility Artillery Rocket System, HIMARS)は、長射程の阻止砲撃用としてアメリカ陸軍が開発した装輪式自走多連装ロケット砲。



HIMARS HLRS    出典:Wkipeida


HIMARS(ハイマース)、MLRS
Source: WikimediaCommons  パブリック・ドメイン, リンクによる

 HIMARS(ハイマース)と呼ばれ、MLRSの小型版として主にアメリカ軍の緊急展開部隊である空挺部隊と海兵隊、迅速な輸送で集中的な運用が可能な軽歩兵師団に配備されている。


概要

 従来から配備されていた自走多連装ロケット砲のMLRSは、湾岸戦争時に絶大な破壊力と長距離支援能力を示した。

 一方で、車両重量が約25トンと、その輸送にはC-5 ギャラクシーやC-17 グローブマスター IIIなど大型輸送機が必要で、海外地域への迅速な部隊展開の必要性が認識される中、迅速な部隊の展開ができない問題点も同時に報告された。

 そこで、緊急展開部隊にも利用可能な面制圧可能な支援兵器として、FMTV(中型戦術車両ファミリー)5トントラック6輪駆動タイプの車体に装甲キャブ・FCS・MLRSの発射装置などを搭載して、C-130 ハーキュリーズ/C-130J スーパーハーキュリーズでも輸送可能な長距離火力支援兵器が開発された。

 車体後部にM26 ロケット弾なら6発、MGM-140 ATACMS地対地ミサイルなら1発を収納し、発射筒を兼ねるグラスファイバー製のLP(Launch Pod)と呼ばれるコンテナを1基収める箱型の旋回発射機を搭載しており、M270 MLRSで運用可能な各種のロケット弾とミサイルを含むMFOM(MLRS Family Of Munition rockets and artillery missiles)と呼ばれる兵器群を全て発射することができる。地対艦ミサイルとしての運用も想定されている。

 MLRSと比べて軽量・小型化されたため、自走による長距離移動も可能になり、生産・整備維持費も安価になった。

基礎データ

 全長 7m
 全幅 2.4m
 全高 3.2m
 重量 13.7t
 乗員数 3名
 装甲・武装
 主武装 227mm ロケット弾6連装発射機
 機動力
 速度 85km/h
 エンジン
 290hp
 行動距離 480km


MGM-140 ATACMS地対地ミサイルと収納コンテナ(通常のロケット弾6発入りコンテナに擬装している) 
Source: WikimediaCommons パブリック・ドメイン, リンク