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ゼレンスキー氏のNATO首脳会議出席は、
ウクライナ情勢と国外脱出の可否
にかかっている:報告

Zelensky’s Presence at NATO Summit
Hinges on Situation in Ukraine,
Ability to Leave Country: Report

Ilya Tsukanov  Sputnik International
War
in Ukraine- #992 June 11 2022

翻訳:池田こみち(E-wave Tokyo共同代表)
独立系メディア E-wave Tokyo 2022年6月12日

NATO事務総長ストルテンベルグとゼレンスキー © Sergei Supinsky
 

 
リード

 西側軍事圏の首脳は6月28~29日にスペインの首都で会合を開き、同盟の「今後10年とそれ以降の戦略的方向性」を議論する予定だ。現在進行中のウクライナ危機がトップトピックになると予想される。

本文

 スペインのEuropa Pressは、政府筋の話として、ウクライナはマドリッドで開催されるNATO首脳会議に正式に招待されるが、ヴォロディミル・ゼレンスキー大統領が自ら出席するかどうかは「直前まで」分からず、前線の状況や国を離れられるかどうかによって決まると報じている。

 これに先立ち、NATOのミルチャ・ゲオアナ副事務総長は、ゼレンスキーは「何らかの形で首脳会議に参加する」と記者団に断言し、「NATO拡大と開放政策」が
「重要な議題となる」と述べた。
 ゼレンスキーの参加の可能性に加え、首脳会議にはNATO加盟を目指すフィンランドとスウェーデン、そしてオーストラリア、ニュージーランド、韓国、日本を含む太平洋地域の米国の同盟国の高官が参加すると予想される。

 水曜日に、ウクライナのドミトロ・クレバ外相は、サミットへの「現実的な期待」として「奇跡が起こる」と述べたが、「今のところ、そのための前提条件は見当たらない。つまり、それは、ウクライナに関するNATOの立場についてだ。」と述べた。

「ウクライナのサミット参加形式については、現在、主催国であるスペインと協力し、最適な形式を決定している。我々には、渡航に関して一定の制約があり、また、彼らはハンガリーの立場に関する一定の制約があるためだ。私たちは何らかの形式を考え出すだろうし、必ず何かが起こるだろう。」とクレバは語った。

 2008年のブカレスト宣言では、NATOは「加盟に伴う責任と義務を負う意思と能力のあるヨーロッパの民主主義国家には門戸を開き続ける」とし、キエフのキエフの「欧州・大西洋地域におけるNATO加盟への願望」を歓迎するとして、西側同盟は10年以上にわたりウクライナの親欧米エリートたちのNATO加盟への願望をもてあそんできた。

 ウクライナは、指導者がNATO加盟を希望している最新の東欧諸国である。西側軍事圏は、冷戦終了後の1990年にモスクワと交わした東方拡大しないとの約束にもかかわらず、チェコ、ハンガリー、ポーランド、ブルガリア、エストニア、ラトビア、リトアニア、ルーマニア、スロバキア、スロベニア、アルバニア、クロアチア、モンテネグロ、北マケドニアをこれまで加盟国としてきた。ロシアは、米国とその同盟国、そしてクーデター後のキエフ政府について、西側同盟の東方拡大を批判しており、この地域の「不可分の安全保障」※という欧州安全保障協力機構の原則に違反している、と述べている。


以下は参考


注※)不可分の安全保障原則'(the principle of indivisible security)
 1月27日及び28日、ロシアのラブロフ外相はロシア・メディの質問に答え、ロシアが昨年(2021年)12月(15日)にアメリカとNATOに対して提起した、ロ米間及びロシア・NATO間の安全保障に関する条約・協定に対するアメリカ及びNATOから受け取ったばかりの回答の中身を明らかにする形で、①西側がウクライナ情勢に係わって取ろうとしている軍事行動は、OSCE諸国首脳(アメリカ大統領を含む)が署名した1999年イスタンブール首脳宣言及び2010年アスタナ首脳宣言に盛り込まれた'不可分の安全保障原則'(the principle of indivisible security)に反するものである、②ロシアとしては、首脳宣言での明確な約束すら守らない西側の身勝手な行動を前に、条約・協定という法的拘束力ある文書で'不可分の安全保障原則'遵守を迫る(特に、ウクライナのNATO加盟及び西側軍事力のウクライナ駐留とミサイル配備の阻止)、というロシア側の主張を明らかにしました。ラブロフが'不可分の安全保障原則'と言及したのは、OSCEの「イスタンブール首脳宣言」(1999年11月)及び「安全保障コミュニティを目指すアスタナ記念宣言」(2010年12月)の次の条項です。

<イスタンブール首脳宣言>
第2項 本日、我々は欧州安全保障憲章を採択した。
(欧州安全保障憲章 第2部「我々の共通の基礎」)
第8項 我々は、参加国が安全保障取り決め(同盟条約を含む)を選択しまたは変更する自由という固有の権利を確認する。各国は中立の権利も有する。参加国は他国のかかる権利を尊重する。参加国は、他国の安全保障を犠牲にする形で安全保障を強化しない。(後略)

<アスタナ記念宣言>
第3項 各国の安全保障は、他のすべての国々の安全保障と不可分に結びついている。各国は、安全保障に対する平等な権利を有する。我々は、安全保障取り決め(同盟条約を含む)を選択しまたは変更する自由という固有の権利を確認する。各国は中立の権利も有する。参加国は他国のかかる権利を尊重する。参加国は、他国の安全保障を犠牲にする形で安全保障を強化しない。(後略)

出典:21世紀の日本と国際社会
2022年1月31日 ロシアの安全保障提案とアメリカ・NATOの対応
https://www.ne.jp/asahi/nd4m-asi/jiwen/thoughts/2022/1431.html