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迷走する嘉田知事

〜RD最終処分場問題C〜
知事に通じぬ地元住民の心情

青山貞一

2008年5月28日



 2008年5月26日(月)になってやっとのことで、3月に開催された3回分の議事録が公開された。

 公開された3月の議事録詳細によると、嘉田知事がことあるたびにA−2案を批判するために述べていた言い訳の多くは、やはり以下にある島田委員、勝美委員の発言を受けたものであることが分かった。

●島田委員の発言部分 第15回(最終回3/26)議事録pp.10
http://www.pref.shiga.jp/shingikai/rd/files/gijiroku15.pdf

さらに言わせていただきますと、前々回の議論で、そこの部分は工事協定で担保できるというようなご説明だったのですが、私自身は協定で済ませられるレベルの話ではないというようにこの問題を解釈しています。二、三年の工事であればともかく、十数年に及ぶ工事が協定で担保できるかというと、私は非常に疑問を感じていますし、さらに言うと、極端に言えば、地下水汚染の場合は、これはこれで非常に深刻ですが、最悪の場合取水停止という措置で緊急的に被害は防止できる場合がありますが、大気系の曝露、粉じんと悪臭は、息をとめろということはできませんので、これは、私は非常に深刻な問題だと解釈していますので、ここは大きく受けとめながら、全量撤去案、あるいは全量掘削案というのでしょうか、全量掘り返し案は検討すべき話と思います。ちょっと話がそれているかもしれませんが、その点を私、繰り返しになりますが、強調しておきたいと思います。

●勝美委員の発言部分 第14回(3/21)議事録pp.31
http://www.pref.shiga.jp/shingikai/rd/files/gijiroku14.pdf


A案なりA2というのは、問題がやっぱり幾つかあると。お金の問題とか、それから私が一番気になるのは、周辺の住民の方が本当に十何年間辛抱していただけるのかということです。今日寝て、あした起きたら16 年たっていて、きれいになっているというものではありませんので、16 年たったら、今幼稚園に行っている子は大人になっているわけですよね。そういう中で暮らしていけるのかというのは、本当に真剣に考えていかないといけない問題だろうと。 それは、技術的にはいろんなことができるだろうと。ただ、A2案で、今日質問が出ていて、技術的な質問は専門家の人に任せたらいいじゃないですかと。それは全くそのとおりで、技術的にかなりクリアできる部分も間違いなくあるだろうということで、A2案について否定的に思っているということではないと。D案でも、やっぱり不確実性が残る部分もありますので、そういう点で安心安全が保障されないのだということを住民の方が思われて、だめだとおっしゃるのだったら、それはそれで一つの考え方ですから、尊重すべきだと思っています。

 嘉田知事がことあるたびに言い訳に使ってきた上記の2委員の意見は、一見、いかにも栗東のRD最終処分場に隣接する住民を思いはかり、心配している意見のように見える。 しかし、本当にそうだろうか?
 
 というのも、永年、滋賀県政の不作為のために産廃不法投棄の辛酸をなめてきた住民らは、おそらく今まで苦労してきたことを考えれば、仮に全量撤去で今後10数年間辛抱することをいとわないはずである。

 今後、D案など中途半端な対応によって、地元住民が窓を開けるたびに有害な産廃が見える生活を送るより、一定期間我慢したとしても有害産廃をすべて除去される道を選ぶことは容易に推察できるからである。

 これは私が永年、この種の問題現地調査をしてきた経験によるものである。

 そんななか、2008年5月28日の京都新聞は、28日に開催した栗東の地元説明会で「知事が、全量撤去した場合に工期が長期化し、騒音や悪臭などの被害が出ると指摘したのに対し『この先数十年の安全が確保できるなら我慢する』と訴えたほか、「県の対策委員会が全量撤去案を推奨したことを無視するの」かとの反発も聞かれた。

「県は全量撤去を」 
栗東RD処分場問題 嘉田知事初地元説明会 反発相次ぐ 


2008年5月28日22時29分配信 京都新聞
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080528-00000050-kyt-l25

 滋賀県栗東市のRDエンジニアリングの産廃処分場問題に関する滋賀県の住民説明会が28日、処分場に隣接する北尾団地自治会で始まった。嘉田由紀子知事が、処分場浄化と廃棄物の部分撤去の併用案を対策工法とする方針について理解を求めたが、有害物の全量撤去案を支持してきた住民から反発が相次いだ。

 嘉田知事は住民約40人に対し、併用案を採用した理由を「安定型処分場の廃止基準を満たすまで浄化できる。県民に納得してもらえる合理的な対策だ」と説明した。 これに対し、住民からは全量撤去案の採用を求める声が続出。

 知事が、全量撤去した場合に工期が長期化し、騒音や悪臭などの被害が出ると指摘したのに対しては「この先数十年の安全が確保できるなら我慢する」と訴えたほか、「県の対策委員会が全量撤去案を推奨したことを無視するのか」との反発も聞かれた。


 話し合いは平行線をたどり、嘉田知事は「きょうはみなさんの納得を得られなかった」として、後日あらためて説明に訪れる意向を伝えた。住民説明会は6月上旬までに、処分場周辺のほかの自治会でも行われる予定。

■RD社と元社長に措置命令 滋賀県

 栗東市のRD産廃処分場問題で、滋賀県は28日、RDエンジニアリングと同社破産時の元社長に対し、処分場内の廃棄物による地下水汚染や悪臭発生を防止する措置命令を発令した。 同社が破産していることなどから措置命令が履行される見込みはないといい、期限内に着手がなかった段階で、県は環境保全の対策工法を代執行する手続きをとる。 措置命令は、安定型最終処分場の許可品目以外の廃棄物を埋め立てたり、廃棄物の飛散流出対策が不十分だったことから周辺の生活環境に支障が生じる恐れがあるとして、改善を求めた。着手期限は7月28日。 県は同日、同処分場の産廃処理施設許可を取り消した。

最終更新:5月28日22時49分

注:黄色による強調は筆者
 
 案の条である。
 

つづく