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自然の中の日本の造形美

日光山・輪王寺

3. 三仏堂

青山貞一 Teiichi Aoyama
池田こみち Komichi Ikeda


August 19 2016
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自然の中の日本の造形美  日光山・輪王寺
@全体概要   D天空回廊   H大猷院(仁王門) L大猷院(拝殿・本殿)
A歴史   E大護摩堂   I大猷院(二天門) M大猷院(皇嘉門)
B三仏堂   F大猷院(家光)   J大猷院(夜叉門)
C平成大修理   G大猷院(概要)   K大猷院(唐門)
歴代徳川将軍家家系 徳川歴代将軍の生誕・没年月日と将軍在位期間


徳川家の紋章  撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 2014-11-12


 輪王寺の本堂は日光山随一、東日本では最も大きな木造の建物で、平安時代に創建されています。

 全国でも数少ない天台密教形式のお堂といえます。現在の建物は、正保2(1645)年、徳川三代将軍「家光」公によって建て替えられました。

 三仏堂の前には、推定樹齢500年という、天然記念物に指定されている「金剛桜」(こんごうざくら)が植えられています。

 三仏堂の内陣には、日光三社権現本地仏(千手観音・阿弥陀如来・馬頭観音)という三体の大仏さま(高さ7.5メートル)と、東照三社権現本地仏(薬師如来・阿弥陀如来・釈迦如来)という掛仏の、二組の三尊仏がご本尊さまとしてお祀りされています。


輪王寺の三仏堂  出典グーグルアース3次元図


 下はそれらの三大仏です。


出典:三仏堂の三仏像


◆本尊

 本堂には、もともと御神体である日光三山の本地仏として、以下の三体の本尊が祀られています。

 三仏(本地仏)、三山・三所権現、祭神(垂迹神)です。

 それぞれのサイズは次のとおりです。

@千手観音(男体山)=新宮権現=大己貴命(おおなむちのみこと) - 総高703.6cm(本尊335.4cm)

A阿弥陀如来(女峰山)=滝尾(たきのお)権現=田心姫命(たごりひめのみこと) - 総高756.3cm(本尊306.3cm)

B馬頭観音(太郎山)=本宮権現=味耜高彦根命(あじすきたかひこねのみこと) - 総高744.7cm(本尊301.3cm)

 これらの仏像は、東日本でも有数の大きさとされていますが、制作時期等の来歴が不明のため、文化財には指定されておらず、今後の調査が望まれます。

 日光山では山、神、仏が一体のものとして信仰されていたため、輪王寺本堂(三仏堂)に三体の本尊(千手観音、阿弥陀如来、馬頭観音)を安置するのは、このような信仰形態によるものとなっています。


 
下の写真は輪王寺の三大仏堂です。


輪王寺の三大仏堂  出典:Wikipedia

 さて、私たちは車を輪王寺、二荒山神社、東照宮に共通の駐車場に置き、輪王寺に向かいます。駐車料金は一日料金で一台600円です。


◆非常に複雑怪奇、奇妙奇天烈な拝観料

 輪王寺の拝観料は大人一人900円です。下がその拝観券です。輪王寺には、三代将軍徳川家光公の霊廟、すなわち大猷院(たいゆういん)がありますが、拝観料には大猷院の拝観分も含まれています。


撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S9900   2016-8-19
 
 ところで、数年前まで拝観料は、以下にあるように輪王寺、東照宮共通で1000円でした。



 ところが、今回は以下にあるように輪王寺(輪王寺+大猷院)が900円、東照宮が1300円、実質2.2倍となっていました。

 さらに、輪王寺では宝物殿に入るには別途300円かかり、東照宮では宝物殿に入るには別途1000円、五重塔内部には別途300円が必要です。また二荒山神社の神苑には200円、神橋にも300円が必要なのです。






◆営利主義に走る日光山

 しかも、輪王寺、東照宮ともに拝観場所で、僧侶が三大仏、泣き龍、拝殿などに参拝客を集め、説明しつつ、最終的に「お守り」などの仏教グッズの営業、それも相当執拗な営業を行っていました。これにはいささか呆れました。青山は、思わず「東照宮(三仏堂)、営業ばかりで読経なし」と川柳を詠んだほどです(笑)。
 
 ろくにまともな縁起などの解説もないまま、後半は激しい仏教グッズの営業ばかりでは、やはり大乗仏教は堕落していると思われても仕方ありません。

 現在、日光山輪王寺、東照宮などは世界遺産となっており、また国宝、重要文化財が多数あることから文化庁など国、また栃木県から多額の修繕費が拠出されています。また両方で2200円と、かなり高額の拝観料をとっています。

 この6月に出かけた上座部仏教(旧小乗仏教)のミャンバーのバガンでは、40平方kmの草原に大小2500もの寺院や仏塔がありました。バガンでは、入域料として、同ゾーンに入る外国人観光客から一人一律23米ドルを徴収しており、その代わり2500ある寺院や仏塔では拝観料は一切ありませんでした。

 しかも、一回数日のの滞在中、この入域チケットは有効でした。またヤンゴンの世界的に有名なシウェダゴンパゴダの場合、大人一律日本円にして800円ほど拝観料を支払いますが、一日中出入り自由なので、日暮れや朝焼け時に来てパゴダ越しに写真を撮影する人々が多数いました。しかし、輪王寺の入り口で、聞いたところ、輪王寺から一旦外に出て東照宮に行くと、再度900円が必要となると、シレッと言っていました。


つづく