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普天間施設は国外移設すべし!
ここ一番でブレる外相は更迭だ



青山貞一


23 October 2009


 周知のように総選挙前、小沢一郎議員、鳩山由紀夫議員は、いずれも普天間基地を県外移設すると公言していた。

■青山貞一:普天間の県外移設めざす、民主党新旧両代表が言明!

 しかし、ここに来て岡田外相が県外移設は困難であり、普天間基地を嘉手納基地に統合させるなどと発言している。

 そもそも普天間基地の嘉手納基地への統合は、この夏、浅尾議員(当時民主党)が党の方針と無関係に主張していたもので、そのことがひとつのきっかけとなり、小選挙区の鞍替え問題とともに、民主党を離党しみんなの党から立候補することになっている。

 もとより岡田外相のブレは、米国防長官ゲーツ氏が普天間飛行場の移設問題は、現行計画通り移設を進めるよう迫ったことに端を発している。理由はゲーツ氏がさまざまな移設候補先を検討した結果、現行計画以外の案は実行できないと判断した経緯も強調し、日本側に早期決着を求めたということにある。

 だが、 米国防長官ゲーツ氏の言い分、言い方は、まるで日本を殖民地、属国と見ているまさに上から目線そのものである。半世紀ぶりにいわば市民による無血革命を達成した日本の現状、実態を無視した一方的、屈辱的なものである。

 沖縄県民だけでなく多くの国民はテレビのニュースに写るゲーツ氏を、「一体、この人は何様か!」と憤ったに違いない。

 その意味で、また民主党は一貫して代表クラスが総選挙前に県外移設を明言している以上、当然のこととして具体的に代替案を検討し、米国側に示すべきである。

 もとより、この普天間基地の名護市キャンプシュワブ沖への移転問題は今にはじまった問題ではない。また普天間基地の辺野古への移転問題は、自民政府と沖縄関係者との「土建利権」の延長で生まれたものであると言ってよい。

 事実、天木直人元外交官は、以下のブログでことの顛末を詳細に暴露している。

■天木直人:普天間基地問題は事実を知った上で議論しろ

 したがって、民主党政権は、米国側の恫喝に屈することなく、ことの顛末を米国に伝え一からこの問題を解決するために特別チームを設置し調査すべきだ。

 すぐに移転先が見つからない場合には、半世紀ぶりに政権が交代したこと、沖縄県出身の国会議員全員が反対していること、地元市町村の首長らも移設に賛成し、沖縄県内での基地の増強に一貫して反対していることを理由に、数年の猶予をもって対応することをオバマ大統領に伝えるべきである。

 民主党に308議席を与えた国民は、従来の自民党政権による米国盲従、土下座外交からの脱却の一環として普天間基地の県外移設、そして地位協定の徹底見直しを注視し、期待している。

 ただ、推定するに岡田外相のブレは、何も岡田外相にとどまらず、鳩山総理にも見られるものだ。言い方は別としこのところ鳩山総理も総選挙前の威勢がトーンダウンしている。

 もし、日本が米国の51番目の州でなく独立国家であるなら、小沢一郎幹事長が代表だったときオバマ大統領特使できたクリントン国務大臣や米国大使に見せた毅然とした態度でオバマ大統領に向かい合うべきである。

 ぶざまなブレをこれ以上国民、そして米国に見せるべきではない! 

 改めて岡田外相は、総理はもとより民主党の代表の器ではないことを国民の前に見せつけたと言って良い。

 私自身ここ3年間で、10回沖縄県にでかけ、米軍基地問題、公共事業問題をつぶさに見てきた。

 周知のように沖縄が日本に復帰して以来、いっさい新たな米軍基地はできていない。もし、普天間基地を名護市辺野古・キャンプシュワブ沖に建設するとなると、日本復帰後、はじめて新たな米軍基地が沖縄県に建設されることになる。

 逆説すれば、巨額な公共事業建設として普天間代替施設の辺野古移設を容認することになる。これでは自民党政権時と同じことになる。自民党政権は、普天間代替施設を県内の名護市に建設することで、巨大な仕事(=利権)を沖縄に渡し、沖縄県はそれで当分食い繋ぐ、自民党政権と米国はこれで当分、基地を沖縄県に温存できるという図式となるのだろう。

 だが、一方で、米国の海兵隊は日本政府が巨額の資金を出し、グアムに移動することになっている。私見では単なる県外移設ではなく、グアムなど国外に移設すべきである。

 総選挙前、鳩山由紀夫氏が代表となったときの会見で琉球新報の女性記者に明言した県外、国外移設を時間をかけ、ねばり強く交渉、実現するのが民主党の本来あるべき姿である。

 その意味で、オバマ来日を前にあたふたする岡田外相は、日本の外相にはふさわしくないと言わざるを得ない。

普天間移設:岡田外相「県外考えられず」 嘉手納統合案を支持
琉球新報 2009/1.24

 【東京】 岡田克也外相は23日の記者会見で、米軍普天間飛行場の移設問題について「内閣の見解ではない」と前置きした上で、「(移設先探しの)時間をかけるほど普天間飛行場の危険性は持続する。県外移転は考えられない状況だ」と述べ、民主党がこれまで主張してきた県外、国外移転の方針を撤回し、県内移設を検討する考えを表明した。

 具体的には、嘉手納統合案を検討する考えを示した。 県内移設を推進することは県外、国外移設を目指すとしてきた民主党のこれまでの主張に反するだけでなく「沖縄県民の負担軽減の観点から在日米軍の在り方について見直しの方向で臨む」とした3党連立合意との整合性も問われそうだ。

 県外、国外移設を目指すとした民主党の沖縄ビジョンやマニフェスト(政権公約)との整合性について岡田氏は「政権公約では県外、国外という表現は使っていない。使っていないから否定したわけではないが、(政権公約で)表現が変わっているということは、それなりの方向性も秘められているということだ」と述べ、政権公約の範囲内と強調した。

 嘉手納統合案を支持する理由について岡田氏は「既存の飛行場がある。一から基地を造らなくてよいので時間がかからない」と利点を挙げた。辺野古案を沖合修正する計画については「沖合移動すると、埋め立てる量が増える」と否定的な姿勢を示し、嘉手納統合案と辺野古移設案を比べ「どちらが絶対良いかということではなく、どちらがましかという判断だ」と説明した。

◆岡田外相一問一答「限られた時間で解決」

 −−県外、国外移設は検討するか。

 「県外は事実上、選択肢としては挙げられない」

 −−嘉手納統合案は。

 「辺野古移設案よりも実現が早い可能性がある」

 −−県内移設には反対している社民党への対応は。

 「それも含めまだ、この案と決めたわけではない。連立与党ともよく相談しなければいけない」

 −−民主党の沖縄ビジョンなどとの整合性は。

 「県外がベターだとは思う。しかし、時間をかけてよい問題ではなく、限られた時間で解決しない限り、普天間の問題が継続される。普天間が続かないという意味で、結果的に沖縄の負担を減らすことになる」

 −−県外、国外を目指す気持ちは変わらないと言い続けた。なぜ変わったのか。

 「今でも気持ちは変わらない。大事なことは沖縄の負担を減らすことだ。いたずらに時間をかけることは、負担を減らすことにならない」

<用語>嘉手納統合案

 米軍普天間飛行場の移設先として、同飛行場の機能を嘉手納基地に統合し、基地の整理縮小を行う考え。1996年の日米特別行動委員会(SACO)の普天間飛行場移設に関する検討過程で、名護市辺野古への移設案と並列して挙がった。しかし、米軍から、固定翼機と回転翼機の混在による運用上の危険性や有事における作戦準備態勢の低下などが指摘され、地元の反発があり廃案となった。最近では下地幹郎衆院議員(国民新)が「新嘉手納統合案」を再提案。嘉手納基地部隊のグアム移転を前提に、普天間のヘリ部隊を嘉手納に移駐させ、総飛行回数は増やさない案を示した。基地周辺自治体からは、騒音激化や基地の機能強化を懸念して、反対の声が上がっている。

(琉球新報)


普天間移設:政府のぶれ批判 外相発言を受け関係4首長
琉球新報 2009.10.24

 岡田克也外相が23日、米軍普天間飛行場の移設先について「県外移設は考えられない」とし、嘉手納統合案の検討を示唆したことについて、関係4首長から批判の声が上がった。

 名護市の島袋吉和市長は「一喜一憂しない」と慎重な見方を示し、「(政府は)方向性が頻繁に変わる。国と国との責任でしっかりと話し合い、方向性を出してほしい」と政府が早期に結論を示すよう強く求めた。

 宮城篤実嘉手納町長は「何があっても嘉手納統合案を受け入れることはできない」と怒りをあらわにした。現時点で政府から嘉手納統合案についての打診はないという。普天間基地の県外移設を困難とする発言については「政府として何の努力もしないで厳しいというのは話にならない」と述べた。

 県内移設に反対する11・8県民大会共同代表の翁長雄志那覇市長は「正直、がっかりな発言だ。このような結論を出すのは県民がもてあそばれているようで残念だ」と不満を表明。「嘉手納統合案では、嘉手納基地周辺の住民に踏み絵を踏ませてしまう。沖縄の基地問題の認識が全くない」と強く反発した。

 伊波洋一宜野湾市長は「基地負担の観点からも辺野古への移設見直しは必要だ。県外が駄目ならアメリカ本土やグアムへの移設を強く望む。今後も普天間飛行場移設を要請し、民主党のぶれに対し、(県外移設の)約束を守るよう訴えていきたい」と話した。

◆「公約」果たして/三連協、発言意図を確認

 岡田克也外相の発言に対し、嘉手納基地周辺の首長や県内移設に反対する県民大会代表、市民団体代表も「これ以上、過重な負担は許せない」などと一斉に反発し、発言を強く批判した。

 嘉手納基地に関する三市町連絡協議会の野国昌春会長(北谷町長)は「米軍再編の中で嘉手納基地の負担軽減は言われてきたが騒音は年々激しくなってきている。これ以上の過重な基地負担は認められない。発言の意図を確認して対応していきたい」と話した。

 11月8日に開かれる「辺野古への新基地建設と県内移設に反対する県民大会」共同代表の玉城義和県議は「嘉手納統合案はとうの昔に消えた話。いまさら出されてもますます混迷を極める」と憤慨し「県民大会で基地はいらないという意思をきっちり示す。民主党は沖縄の基地負担を軽減するという原点に戻ってほしい」と求めた。

 新嘉手納爆音訴訟原告団の仲村清勇団長は「嘉手納の騒音は地裁、高裁合わせて4度も違法の判決が出ている。(統合されれば)騒音が今以上に激しくなるのは明確」と強い怒りを表し「国がやるべきことは基地をなくすことだ。(嘉手納統合案は)ノー」と訴えた。

 普天間基地周辺在住の母親を中心とした「カマドゥー小たちの集い」の知念ウシさんは「民主政権は沖縄側の様子を見るために一日一日違う風船を上げているので、それに一喜一憂して振り回されず、県民は公約を果たすよう迫り続けるべきだ。公約は公約だ。県外の国民も県外移設を受け入れるつもりで民主党を選択したはずだ」と強調した。

 名護市のヘリ基地反対協議会の大西照雄代表委員は「米軍再編の見直しと言っても、当初から辺野古や県内移設ありきだと思っていた。嘉手納統合では周辺自治体が強く反発する。民主党の崩壊が始まったと言えるだろう」と強く批判した。

 一方、辺野古移設推進派の辺野古区有志会代替施設推進協議会の宮城安秀会長も「県外移設を模索するなら普天間が長い間そのままになるし、嘉手納基地への統合では周辺の自治体の説得は難しい。政府の方針が辺野古移設という現在の案に近づいてきているのではないか」と指摘した。

(琉球新報)