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東北新幹線車内の放射線量
〜東京・福島・仙台間〜
青山貞一
 
池田こみち 鷹取敦
東京都市大学青山研究室
環境総合研究所(東京都目黒区)
掲載月日:2011年9月21日
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東北新幹線車内で放射線量計測

 今回の調査では、津波被災地の現地視察調査に加え、鷹取敦調査部長が開発した放射線線量計をGPSに連動させたシステムにより、任意の場所での空間放射線量の測定実験も行った。GPSは3種類使用しており、最大精度(誤差)は2m〜3mである。

 ※3種類のGPSは、以下の通り。
   専用GPS(USB出力、データーロガー付き)、
   カナダ製スマートフォン(BB,ブラックベリー、データロガー機能付き)、
   カシオ製デジカメ(EX-H20G、データロガー機能付き)

 以下は2011年9月17日、東京駅8:00発の東北新幹線(やまびこ)の車窓で放射線量と測定位置を計測しているところである。測定は仙台に向かって進行方向、右側、すなわち福島第一原発がある側の車窓で以下の写真のように窓際に各種計測装置を設置して行った。


左がGPS付きデジタルカメラ(カシオ製)
真ん中が米国製の放射線量測定計
右がGPS付きのスマートフォン(Black Berry)

 これにより、たとえば、東北新幹線内での放射線の外部被曝の線量を継続的に測定することが可能となった。測定結果は、別途報告するが東北新幹線が東京駅から大宮駅、宇都宮駅、郡山駅、福島駅、仙台駅と進行するにつれ、福島前後で最大値を示し、その前後で減少していくことが定量的に把握できた。

 おそらくこれは全国ではじめての調査であると思われる。ただし、新幹線が走行する軌道面(実際には車窓面)の高さは、軌道が平坦、盛土、切土、高架、橋梁、トンネルなどによって異なるので、あくまでも車窓に設置した線量計における線量ということになる。


図1 東北新幹線軌道図 


計測結果

 以下の表1に測定結果を示す。

 表1の測定結果から栃木県北部で 0.16μSv/hであった空間放射線量が福島県内に入ると単調増加し、郡山駅前後でピーク(0.51μSv/h)を迎え、少し下がった後、福島市で再度ピークを迎えたことがわかる。 

表1  2011年9月17日、東京駅8:00発の東北新幹線(やまびこ)
    の車窓で測定した放射線量(地上高は不明)
通過又は
停車駅
放射線量
μSv/h
東京駅 0.06
- -
- -
西那須野 0.16
新白河 0.14
- 0.17
- 0.21
- 0.25
- 0.28
- 0.32
- 0.38
郡山 0.43
- 0.51
- 0.38
- 0.36
福島 0.40
- 0.38
- 0.28
- -
- -
仙台 0.06
測定:DoseRAE2

 
 ※横軸は距離に比例していない

 以上から東京駅及び仙台駅での測定値は 0.06μSv であったから、東北新幹線車内でも郡山駅近くでその8.5倍、福島駅で6.7倍と高いことが判明した。

 下は仙台駅到着後、米国製の線量計で線量をチェックし、GPSロガーで位置を計測しているところ。


線量計で空間線量率をGPSで測定位置を同時に計測