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GW
群馬・長野の環境探訪

青山貞一・池田こみち・鷹取敦
May 2010
独立系メディア「今日のコラム」
無断転載禁


 2010年のゴールデンウィーク(以下、GW)中、予定通り北軽井沢の別荘を基点に群馬、長野両県の各地に足を伸ばし、環境調査や歴史探索をしてきました。

 詳細は別途として、ここではハイライトを論考として速報します。青山


●GWマイカー規制中の上高地

 5月1日は松本IC、新島々経由で久々上高地に入りました。田中康夫県知事時代、知事がGW中のマイカー乗り入れ規制を提案し2004年5月1日GW初日に、私が全体指揮をとって16種の環境測定器を積んだバス(あおぞら号)を使い上高地の現地で環境調査を実施しました。

 その環境調査結果をもとに、長野県環境保全研究所でGW中のマイカー規制の実施方針、方法を具体的に立案し施策化しました。その後、上高地、沢渡などの現地関係者との協議を繰り返し、最終的に実施することとしました。

 以下は2004年5月1日GW初日の上高地
 http://eritokyo.jp/eri-map13.html

 今回、2010年5月1日GW初日、マイカー規制実施中の上高地を訪れました。北軽井沢→上田・菅平IC→長野→松本IC→158号線で沢渡まで行き、行きはタクシー、帰りはシャトルバスで上高地にアクセスしました。

 現地は超晴天、多くのトレッキング、登山者がおり、これ以上ないすばらしい上高地の自然景観が堪能出来ました。3000m級の穂高連山が、すべてくっきり見え、おいしい空気も吸えました!


上高地にて 撮影:青山貞一、Nikon Cool Pix S10 2010.5.1



上高地にて 撮影:鷹取敦、Casio EXILIM 2010.5.1


上高地にて 撮影:青山貞一、Nikon Cool Pix S10 2010.5.1


●八ッ場ダム工事現場


 今回のGW中、数度、八ッ場ダム工事現場を視察しました。昨年秋に対比すると、護岸工事、幹線道路工事(橋梁工事、トンネル工事など)、鉄道付け替え工事、のり面防災工事、住宅・公共施設移転工事などが急ピッチで進んでおり、民主党の公約はダム本体の建設を中止しただけで、それ以外の道路、鉄道、護岸、移転などの各工事は目一杯進められていることを自分の目で確認しました。


長野原町の八ッ場ダム工事現場にて 撮影:青山貞一、Nikon Cool Pix S8 2010.5.2

 長野原町の吾妻渓谷は自然環境、自然景観だけでなく、歴史文化的資産も見るも無惨に破壊されています。


長野原町の八ッ場ダム工事現場にて 撮影:青山貞一、Nikon Cool Pix S8 2010.5.2

 不動の滝近くでは新たに大きな砂防ダム(明らかに不要な)が自然を徹底破壊し建設されており道ばたに道祖神がポツント残されていました。


長野原町の砂防ダム工事現場にて 撮影:青山貞一、Nikon Cool Pix S8 2010.5.5


長野原町の砂防ダム工事現場にて。右にあるのが道祖神。
 撮影:青山貞一、Nikon Cool Pix S8 2010.5.5


 長野原町に限らず群馬県西部地区では新たな道路拡幅工事、砂防ダム工事が明らかに予算消化のために行われておりました。嬬恋村でもあちこちで、私たちにとってまったく不要なアスファルト再舗装、それもせいぜい2人もいれば済む舗装工事に10名以上が群がって工事が行われておりました。

 現場での実態は自民党時代同様の酷さです!

 予算消化のため工事が早められたため、さらに悪化しているとも言えます。

 周知のように高規格道路(145号線バイパス)、吾妻鉄道付け替えには数1000億円がかけられていますが、国道145号線や吾妻線はもともと草津温泉に行くひとたちのためにあるような道路や鉄道です。これを鉄とコンクリートでギンギン、ぴっかぴっかの最新鋭のものにしても、まったく観光需要は増えないでしょう。

 昨年秋以来、テレビでおなじみとなった「やんば館」近くの県道用橋梁工事がほぼ完成の域に達していますが、本来ダムが中止となれば、先に完成している巨大な145号線パイパスの橋梁をなどは不要となるはずです。


長野原町の八ッ場ダム工事現場にて 撮影:青山貞一、Nikon Cool Pix S8 2010.5.5

 民主党は一体何を考えているのでしょうか? 

 ダム本体がとまったとしても、すでに付いている公共工事の予算を消化させることにより自然、環境、歴史文化がすべて破壊され、ムダな土木公共事業のデパートとなる現実をどう考えているのでしょうか?

 また川原畑地区に新設された小中学校、保育園などの公共施設もつぶさに見てきました。移設された保育園や学校は、かつての柏崎原発立地の電源3法による巨額な補助金よろしく、ギンギンの施設となっていました。


長野原町川原畑の保育所にて 撮影:青山貞一、Nikon Cool Pix S8 2010.5.5


●ヒ素を含む浚渫土砂不法投棄の関連調査

 先に朝日新聞の記事として大きく報じられましたが、草津温泉からpHで2近くの強酸性で多くの種類の重金属を含む湯が石灰で中和され、それを品木ダムに流しこんでいます。

八ッ場ダム上流で国交省、基準の370倍のヒ素汚泥を投棄 朝日新聞http://www.eritokyo.jp/independent/aoyama-col120367.htm

 pH2の湯は、下の写真にあるように、10日間で五寸釘を溶かし細い針金としてしまいます! 


出典:国土交通省関東地方整備局品木ダム水質管理所

 またpH2の湯は下の写真のように一ヶ月で、コンクリートをボロボロにしてしまいます。
 

出典:国土交通省関東地方整備局品木ダム水質管理所

 そこで品木ダムでは定期的に石灰と重金属を含む土砂を浚渫し、土砂を実質安定型処分場に処分していますが、その土砂には基準を数100倍超えるヒ素が含まれていることが不法投棄として問題となっています。

 もし、pH2の強酸性湯を石灰で中和しないと、下流域の白砂川、さらに八ッ場ダム建設で有名となった吾妻川の水は強い酸性となり、到底、利水など出来ないばかりか、5年でコンクリートでさえ溶けてしまいます!!

 今回、草津温泉→湯川→品木ダム→湯川→白砂川→吾妻川につき、その支流や吾妻川側を含め水のpHと電気伝導度を13個所に渡り測定しました。


品木ダムにて 撮影:池田こみち、Nikon Cool Pix S10 2010.5.5


白砂川上流にて 撮影:池田こみち、Nikon Cool Pix S10 2010.5.5


 いずれも切り立った渓谷の底を流れており、測定器のセンサーを川の水に浸けるのがいずれも非常に難しかった。また品木ダムの湖水のサンプリングは結構大変でした。


白砂川中流にて 撮影:池田こみち、Nikon Cool Pix S10 2010.5.5

 今回は大学の研究室で以前購入したデジタルの水質計測装置(4種)を2セット持参しました。いずれも9Vの積層乾電池で稼働するもので軽量かつ高精度、3桁の有効数字で分析結果が表示されます。測定は3度行いその平均値としています。下の写真はデジタル計測器です。


今回使ったデジタル水質測定システム
撮影:青山貞一、Nikon Cool Pix S10 2010.5.5

 今回の予備的な水質調査で、仮説がほぼ検証されました。また草津側(白根山系)と浅間山系との土質、地質、水質の違いが明白となりました。

 今後、処分場からの浸出水についても現地調査を行い、結果を環境行政改革フォーラムや環境科学会の論文にしたいと考えています。


●六合村遺跡調査

 群馬県六合村(現在は中之条町六合村支所)には、過去10回以上でかけていますが、今回は時間をかけ、じっくりと歴史と文化、自然がおりなす六合村の神秘を探索しました。

 たとえば、吾妻線(鉄道)の支線で昭和45年に廃止された太子線の遺跡を探索し、要塞のような瓦礫となった太子線の駅や鉄道を探し当てました。まったく観光案内に地点が示されていない場所でした。戦時中の昭和19年、国家動員で日本鋼管工業が群馬鉄山からの鉄鉱石を首都圏に送るため、吾妻線の支線を太子まで入れた跡です。


六合村太子駅の廃墟にて 撮影:池田こみち、Nikon Cool Pix S10 2010.5.4

 群馬県には六合村だけでなく、軽井沢から北軽井沢を経由し草津まで往復した草軽鉄道も戦前から戦後ありましたが、最終的に廃止されています。

 下は草軽鉄道について以前書いた私のブログです。
http://eritokyo.jp/independent/aoyama-co11034.html


●草津・志賀高原自然環境視察

 今回、はじめて草津から白根山系を経由し、長野県の志賀高原さらに新潟県との県境まで、最高標高2172mから3000m級の山々の天空自然観察を行いました。


撮影:青山貞一、Nikon Cool Pix S10 2010.5.4

 志賀高原、横手山などは2−3mとかなりの積雪がありましたが、無事登坂できました。

◆環境総合研究所・自然と歴史文化ギャラリー:春の志賀高原


撮影:青山貞一、Nikon Cool Pix S10 2010.5.4