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民主党と沖縄問題

青山貞一
Teiichi Aoyama

東京都市大学大学院教授(公共政策論)

掲載月日:2010年11月29日
独立系メディア「今日のコラム」

無断転載禁

 昨日(2010/11/28)の沖縄県知事選挙は、仲井真氏(71歳)が前宜野湾市長の伊波氏を破り再選された。

 この選挙で最大の争点となっていたのは、言うまでもなく普天間飛行場代替施設の県外移設問題だが、仲井真氏は途中から「県外移設」を公言したため、グアム移設など県外移設を訴えてきた伊波氏との最大の争点が完全にぼやけてしまった。

 仲井真氏が再選されたとはいえ、周知のように名護市議会、沖縄県議会は県外移設を決議している。名護市長の稲嶺氏は辺野古移設反対で当選し、同市議会議員の過半数も辺野古移設反対派であることを考えると、民主党の菅政権が日米合意をベースに淡々粛々と辺野古に立地を進めてゆける可能性はきわめて低い。

 今回の知事選挙で言えることは、外交面での理念、ビジョンをもち論理明快、頭脳明晰で県外、海外移設を公約にした伊波洋一前宜野湾市長が落選したことで、過去何度か辺野古立地容認発言をしている仲井真知事とのパイプがかろうじて残されたことであろう。逆説すれば、同じ「県外」派とはいえ、仲井真知事は国の経済支援策などでいつなんどきにブレる可能性もあり、まったく予断を許さない。

 事実、選挙後の政府談話のなかで北澤防衛大臣は、沖縄の負担軽減(=経済援助)により仲井真知事との対話を求めて行くなどと述べている。カネや物で沖縄に米軍基地を押しつけ強化するような自民政権の方法を踏襲し何になるのだろうか? 

 沖縄県にとって、いまほど「一身独立して一国独立す」ことを肝に銘ずる時期はなかろう! 米軍基地固定化による国の経済援助は一種の麻薬である。ひとたび常用すると、なかなかそこから立ち上がることが困難になる。その意味でも伊波氏の立候補は、沖縄にとっての最後のチャンスであったと言える。

◆「一身独立して一国独立す」福沢諭吉
 「学問のすすめ」(福沢諭吉著)の中でこの考え方を書き残しています。独立した個人こそが国家を支える基本であるという考えです。誰かに頼るという人間ばかりでは社会は腐敗してしまうが、自分が国家を支えようと努力する人間が揃ってくれば社会は繁栄し国家は潤います。ひとりの人間として己を厳しく戒めて質素倹約を旨として、学問に励み、多くの人のために生き抜こうとする姿勢がなければ自分が所属する家庭、会社、地域、国家といった集団は繁栄しないという考え方で近代民主主義の基本となる教えです。

 私は伊波氏(琉球大学物理学科卒)が昨年秋に、米軍、海兵隊の地球規模レベルの再編とアジア太平洋地域の拠点として数ある地域からグアムを選択した経緯、施設規模、根幹的施設配置、それを元に国家環境政策法による環境アセスメントの実施などを理路整然と話されたことに驚嘆した。政治家としての誠心さ、品格もすばらしいと感じる。



宜野湾市の伊波市長に聞く(動画) 

 鳩山氏(東大工)、菅氏(東工大理工)も理工系出身だが、おそらく伊波氏には足下にも及ばないだろう。

 小さな自治体の首長でこれほど論理思考(Logical Thinking)できる為政者は、日本広しといえ、そうはいないと感じたものだった。しかも、基地問題を抱える沖縄県が永年、政府の経済援助、開発援助などのアメに翻弄され結果的に自立の道を失ってきたことを伊波氏は心底わかっていたのである。

 一方、仲井真氏は今回の選挙でこそ、県外などと公言しているが、前政権時代の北部開発や経済援助などとの間でふらふらしていた事実がある。

 ところで、より本質的に言えば政権交代以前から政権奪取後、日本は米国一辺倒追随から抜けだす方向性にふれていたのは、小沢氏と鳩山氏であった。マニフェストにこそ入れていなかったが、間違いなく小沢氏と鳩山氏は各種の会見、講演などで県外、海外移設の可能性について言及してきた。

 そして昨年夏、国民が政権交代を選択した。沖縄県民だけでなく国民の多くも、民主党政権が米国への隷属から脱する道筋が見えたと思った。

 しかし、政権交代後の鳩山政権は、象徴的に言えば、鳩山総理だけが県外、海外移設を展望したものの、その多くの家臣ははるか太平洋のかなたにある米国ワシントンDCを見つめるだけでなく、米国の呪文に心底とりつかれていたのである。

 鳩山総理の自業自得といえばそれまでだが、腹心とされた平野官房長官(当時)、それに岡田外相、北澤防衛相は米国との関連で自民党政権同様、米国追随、隷属的な考えで対応をしたことに原因の半分が求められる。

 また松下政経塾出身の民主党若手幹部である前原国土交通大臣、長島外務政務官、その後の福山官房長官補らが自民党右派顔負けのウルトラ親米派となっていたこともある。さらにその背後には外務官僚や岡本行夫氏ら外務、防衛官僚OBの意向が強く作用したことは間違いがないところである。

 リーダーシップもガバナンスも危機管理能力も、さらにビジョンも政策もあるとは思えない菅氏が総理となれたのは、いうまでもなく鳩山総理が普天間基地移設問題の解決で優柔不断となり、自ら決めた期日までに道筋をつけられなかったからである。

 それ以外の政策ではなく、あくまで普天間基地問題である。

 だが、鳩山政権で副総理だった菅氏は当時からまったく存在感がないばかりか、何を考えているのかもわからなかった。そんな菅氏にあるのは権力志向と保身である。
 
 その菅政権が一転して日米合意にもとづき淡々粛々と普天飛行場代替施設の県内移設(辺野古移設)を進めるなど、ちゃんちゃらお笑い、笑止千万である。そもそも政権交代で一票を入れた国民の多くは、民主党が自民党顔負けの米国隷属から脱してくれることを期待している。おそらく今でもそうだろう。

 民主党のなにが酷いと意って、沖縄政策ほどひどいものはない。到底ひとつの公党とは思えない。
 
 とはいえ、民主党国会議員の中にも、米国の呪文から解き放され県外移設、海外移設に汗をかいている者もいる。

 川内衆議院議員らによるグアム・テニアン現地視察後に鳩山総理に出されたの緊急声明の呼びかけ人、賛同者リストには合計180名の民主党国会議員が含まれている。そこには政務三役、党幹部などとなっていて署名していない議員も多数居るので、おそらく実数は220名はいたと推察できる。

川内衆院議員インタビュー
★鳩山総理大臣宛「5.27普天間問題緊急声明」提出
★5.27普天間問題緊急声明全文(連名議員一覧27日時点

 総理の取り巻きは、伊波氏が昨年末に説明に行ったとき同様、川内議員らの現地視察で得たグアム、テニアン知事らの総理接見も妨害し、その意向が正面から鳩山総理に伝えられることはなかった。

 このように、国民の意を受け政権交代が実現し、当選した民主党国会議員のうち、半分はそれなりの信条、信念をもっているが、残りの半分は自民党政権時代とほとんど変わらぬ議員であることが分かる。

 私は、常々この分野で民主党は第二自民党であると揶揄してきたが、まさに国民にとってこの状況はわかりにくい。わかりにくいだけでなく、詐欺行為であるとさえ言える。

 崖っぷちの民主党だが、最低限、沖縄問題を中心とした外交、防衛ビジョン、政策については、徹底議論を行い国民の前にそれを提示して欲しい。そこでは日米合意にもとづき淡々粛々という常套句はありえない。

 どのみち今のままでは民主党は頓死せざるを得ないのだから!

 以下は沖縄県関連スナップ


この15年、辺野古に10回ほどでかけた!


青山研究室ではここ3年、10回ほど沖縄県に足を運び
沖縄県民との対話を繰り返した来た!


浦添市での青山貞一による問題提起!


出典:青山貞一、政策学校一新塾基調講演ppt


出典:青山貞一、政策学校一新塾基調講演ppt