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大間原発事故時
放射性物質拡散シミュレーション
インタビュー
(HTB,北海道テレビ)

青山貞一

掲載月日:2013年7月4日
独立系メディア E−wave Tokyo
無断転載禁


 2014年7月4日、予定通り函館と札幌から北海道テレビ(HTB,テレビ朝日系)のスタッフが3名で研究所に来られ大間原発第一回公判に関連した取材を受けました。

 Jパワー大間原発事故時シミュレーション・インタビューでは過去のTBS系、フジテレビ系などのテレビ取材では間に合わなかった最新の大間原発事故時のシミュレーションを見せながら詳しく説明しました。


青森県大間と北海道函館の位置関係
出典:グーグルマップ

 通常、シミュレーションでは風向を16の方位(22.5度)×16=360度を用いますが、今回はその間の角度、すなわち32方位、11.25度を用いることにより、より正確に大間原発から函館市中心市街地に向かうプリュームを数値計算した結果をお見せすることができました。

 以下は従来のシミュレーションの南南西の風の場合(大間から函館市東部)の現地での空間放射線量。


従来のシミュレーションの南南西の風の場合の函館市東部での
空間放射線量の推定値
出典:HBC(北海道放送)、原典:環境総合研究所(東京都目黒区)

 下の地図は、N(北)から11.25度ずらした角度を矢印で示しています。この角度だと、函館市の中心部を直撃することになります。従来は、真北、北北東ともに函館市の中心市街地からずれていたことになりますが、通常、シミュレーションでは天気予報同様、16の方位で行うので、仕方がありません。


出典:グーグルマップ

 地形を考慮しないシミュレーションの場合は、角度を変えてもまったく分布のパターンは変わらず、正規分布となります。

 しかし、地形を考慮する私達の3次元流体シミュレーションの場合には、地形により非正規分布となります。そのためちょっとした角度の違いでシミュレーション結果が大きく変わることがあります。

 今回、大間原発に関連して行った従来と11.25度異なるシミュレーションでは、大間原発の裁判で原告側も使っているシミュレーションに比べると、予想通り函館市中心部の濃度がかなり高くなることが判明しました。

 実は地形の影響は、プリュームが向かう方向だけなく、発生源の背後の影響も受けます。下図の2次元断面シミュレーションがそれを示しています。

 大間の場合、下の地形図にあるように背後に複雑な地形をした山脈があるので、その影響をもろの受けることになります。


発生源の風下、風上に丘がある場合のシミューション結果の例
出典:環境総合研究所(東京都目黒区)


大間原発背後地の地形
出典:グーグルマップ地形図


HTB北海道テレビの大間原発事故時シミュレーションインタビュー
撮影:鷹取敦


HTB北海道テレビの大間原発事故時シミュレーションインタビュー
撮影:鷹取敦

 下の図は、気象庁の大間アメダスのデータをもとに作成した大間の年間風配図です。年間風配図では、WとE、すなわち西風系と東風系が卓越していることが分かります。しかし、だからといって大間から函館に吹く風が夏場以外にないわけでは決してありません。


気象庁大間アメダスデータをもとに作成した大間の年間風配図
出典:環境総合研究所(東京都目黒区)

 HTBの記者からは羽田から北海道に帰られ飛行機の出発時間ぎりぎりまで、写真のようなインタビューを受けましたが、研究所は目黒区と大田区の境界線上にあり、羽田に近いので先ほど、乗り遅れすること無く帰れたと言うメールが来ました。

 HTBでは、今後、30分ちょっとのまとまったドキュメント番組を制作する中で使うとのことで、できたらDVDを送ってもらいます。


 以下はこの5月、環境総合研究所が行った青森県現地調査時に撮影した大間原発の建設現場の写真です。


大間原発建設工事現場    
撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 2014-5-17


大間原発建設現場(建屋)
撮影:鷹取敦 Sony DSC-HX50V 2014-5-17


大間原発建設工事現場   標高(TP)22mの丘から撮影 
撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 2014-5-17