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日本国民は不幸

遠因は男女格差(3)


青山貞一
掲載月日:2013年6月2日
独立系メディア E−wave Tokyo
無断転載禁

 デンマークや上記の国々の実態を見ると、あるいは逆説すれば、男女平等が実現されていない国々の幸福度が低いとも考えられる。またミシガン大学及びOECDの個別社会経済指標の多くは、家庭、地域社会(コミュニティ)、個人の自由、個人の価値観に係わる指標が多い。となればそこで男女差別(Discrmination against women)があれば、いきおい幸福度は下がるという仮説がなりたつだろう。

 では、日本の男女平等、男女格差、男女差別などは世界でどうみられているのであろうか? 以下に入手できたランキングを示す。毎年スイスで開催される世界経済フォーラム(WEF)のジェンダーギャップ指数を用いた調査では、世界で79位であり、最新の調査では101位とさらに悪化していた。 

 さらに、女性共同参加を示す主要な指標である議員に占める女性の割合では、日本は何と125位と低位にあった。ちなみにデンマークは15位である

 ●世界各国における日本の男女格差(上位が男女格差が少ない)
 @日本の男女格差は世界で      79位(WEF)
 A最新調査では            101位(WEF)
 B議員に占める女性割合では   125位

◆世界の女性国会議員、初めて20%超 日本は後退
 議会同盟調べ
 日経新聞 2013/3/6 10:37

 議会の国際交流を推進する列国議会同盟(IPU)は5日、世界の国会議員(二院制の国では下院)に占める女性の割合が2012年末に20.3%となり、1945年の調査開始以来、初めて2割を超えたと発表した。特に国会議員の女性枠を設けている国での増加が顕著という。いわゆる「クオータ制」の効果が出た格好だ。
 12年の女性議員比率は前年から0.8ポイント上昇した。国別ではセネガルが同24.7ポイント上昇したほか、アルジェリアでも女性比率が23.9ポイント上がった。セルビアやモンゴルも約10ポイントの上昇だった。IPUによると、いずれもクオータ制がある国だという。
 一方、日本は昨年の選挙で女性議員の比率が下がり、世界ランキングでは122位と前年の106位から大きく後退した。IPUの順位表は同順位の国があっても次の順位を飛ばさないよう作成されているため、実際の順位はさらに低く、190カ国・地域のうち162番目に相当する。(ジュネーブ=原克彦)

 統計解析はしていないが、間違いなく男女格差、男女差別がある先進国の国民は幸福でない、すなわち不幸であることが分かる。残念ながら我が日本国はその典型であろう。

 以下は賃金格差に見る女性の社会経済参加というデータであるが、調査対象国で日本は最下位となっている。ここでも、スカンジナビア諸国が上位を独占している。


図  賃金格差に見る女性の社会経済参加の国際比較
出典:国連開発計画

 結論を要約すれば、日本は先進諸国の中で最も国民の幸福度が低い、すなわち不幸な国であること、個別指標から見るとその原因はさまざまなものがあるが、それら個別指標に密接に関わるものとして、また幸福度の高い国々との対比において、男女格差、男女差別の顕著な先進諸国である日本の幸福度は著しく低いと言えよう。

 統計的に見れば、間違いなく先進諸国にあっては、幸福度と男女格差は逆相関の関係、すなわち男女格差がある国の幸福度は低いと言えるだろうが、今後、主成分分析、クラスター分析、重相関分析などを駆使して私の仮説を検証してみたいと思う。

 実はここ数年、幸福度と男女格差問題を調査研究している最中、橋下大阪市長、日本維新の会の橋下徹氏の「従軍慰安婦」関連発言が起き、日本国内だけでなく外国人記者クラブを通じて海外にも配信され、世界各国を巻き込む大問題となった。

 それは当然のことながら人権問題にまで発展している。以下の記事は、その一例であるが、各国議会や国際組織からも非難の声が上がっている。

橋下氏慰安婦発言:ノーベル平和賞受賞の女性5人が非難
毎日新聞 2013年05月31日 02時30分

 イランのシリン・エバディさん(65)ら女性のノーベル平和賞受賞者5人が連名で30日、旧日本軍の従軍慰安婦を巡る橋下徹大阪市長の発言を強く非難する声明を発表した。
 声明を出したのはエバディさん(受賞2003年)と、北アイルランドのマイレッド・コリガンマグワイアさん(同1976年)▽グアテマラのリゴベルタ・メンチュウさん(同92年)▽米国のジョディ・ウィリアムズさん(同97年)▽リベリアのリーマ・ボウイーさん(同2011年)。
 声明は、「戦時における『性の奴隷』は、今日では戦争犯罪と規定されている」と指摘し、「私たちノーベル平和賞受賞者は、いわゆる従軍慰安婦制度を『必要だった』などとした橋下市長の発言を最も強い言葉で非難する」とした。
 そのうえで「性暴力は紛争後も被害者や社会に、長期間にわたって深い傷を残す。慰安婦への罪は個人や家族に大きな痛みを与えるだけでなく、東アジアの緊張を高め不信を増大させることになっている」として橋下市長に発言の撤回と十分な謝罪を求めている。
 また声明は、日本政府に対し、戦時におけるレイプや性暴力を停止させるための政策推進を求めるとともに、日本の市民に対し、性暴力に反対する声を結集するよう呼びかけている。
 声明発表後、ジョディ・ウィリアムズさんは、「性暴力は戦時においても、必要ではなく容認もできるものではない。日本政府は、紛争時の性暴力を禁止する主要8カ国(G8)宣言を支持している。私たちは(橋下)市長が、この動きを支持することを期待する」とコメントした。【小倉孝保】
 
 橋下氏は、言い訳に躍起になっているが、日本維新の会のもうひとりの共同代表である石原慎太郎氏も、以前、「女性が生殖能力を失っても生きているってのは無駄で罪です」「男は80、90歳でも生殖能力があるけれど、女は閉経してしまったら子供を生む能力はない。そんな人間が、きんさん・ぎんさんの年まで生きてるってのは、地球にとって非常に悪しき弊害」とも発言し、裁判沙汰となった。

 石原氏はこれは自分が考えていることではなくある先生がそう言っていることを述べたまでだなどと言い訳していたが、橋下氏も問題が起きると、メディアのせいにしたり、自分はそうはいっていないなど、石原氏とよく似た論法で火消しに躍起になっている。

 おそらく、相対的にみて勤勉で正直な日本国民がかくも不幸であることの大きな原因が日本における男女格差、差別であることを示す証拠は枚挙にいとまがない。

 翻って、私は日本はおよそ民主主義国家ではないと常々思っているが、過日ウォールストリートジャーナルの記者が取材に来られたとき、最後に日本がまもとな民主主義国家になるには100年かかるのではないかと私が言ったら、記者は自民党が政権を再度とったことで、最低でも200年はかかるでしょうと話された。

 今後とも、この分野の調査研究を進め、その都度、公開したいと考えている。

外国メディアに理解されなかった橋下会見
  
ジャーナリスト・伊豆村房一 2013.6.2 09:27  

 日本維新の会共同代表の橋下徹大阪市長が、日本外国特派員協会で行った記者会見は実に2時間半に及んだ。橋下氏は報道の自由を尊重する政治家らしく、外国メディアの質問に逐一通訳をまじえながら丁寧に答えていた。 だが、橋下氏が意図した外国メディアへの説得が成功し、理解が深まったとは、とてもいえないだろう。

 元新聞記者で現米大学教授は「トゥ・クオ・クエ」(お前も同類さ)というラテン語の論法を引き合いにした。「戦場と性の問題は日本だけの問題ではない。他国もだ」という橋下氏の言い分はまさにそれであり、そういう論法は国際社会では評価されないというのだ。 また、橋下氏をよく知る古老の記者は、こうつぶやいた。「(外国メディアには)『言い訳』としか受け取られないだろう」

 案の定、外紙は批判的だった。質問にも立ったニューヨーク・タイムズ紙の記者は、5月27日付電子版に「橋下氏は性的奴隷発言の大反響を鎮めるために記者会見に臨んだが、かえって火種を再燃させた」と書いた。英フィナンシャル・タイムズ紙は「橋下氏の失言、その言い訳は彼の政治生命に傷をつけた」(同日電子版)と報じた。

 外国メディアにすれば、橋下氏の会見は、慰安婦問題をめぐるさまざまな質問に対して、納得のいく説明に乏しく、結局、弁護士ならではの受け答えに終始した、と映ったようだ。用意した文書「認識と見解」の内容を繰り返し、弁明に時間を費やしたからである。

 以下略