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大臣辞職では済まされない!?

小渕優子経産大臣

青山貞一 Teiichi Aoyama

Octoberr 19, 2014
独立系メディア E-wave Tokyo
Alternative Media E-wave Tokyo

 新聞、テレビなどの大マスコミは、「辞任避けられない見通し」 とか「辞任不可避、近く首相判断」などと言っているが、マスコミが言うところの「政治と金」問題で日本中が大騒ぎとなったのは、言うまでもなく2009年〜2010年の「陸山会」をめぐる小沢一郎議員の事件だ。

 この小沢一郎衆院議員の資金管理団体「陸山会」をめぐる事件では、政治資金規正法違反(虚偽記載)の罪に問われた前衆院議員の石川知裕被告(41)を禁錮2年執行猶予3年とした2審・東京高裁判決が最近確定している。最高裁第三小法廷(大橋正春裁判長)が9月30日付の決定で石川前議員側の上告を退けている。

 周知のように、石川前衆議院議員にかけられたのは、政治資金収支報告の虚偽記載である。その実態は、その道の大専門家が法的に問われることはないと指摘した収支報告書記入の「期ズレ」問題であった。石川前衆議院議員はまさに冤罪に近い問題で有罪確定、それも禁錮2年執行猶予3年となった。当然、公民権も停止させられる。

 小渕大臣が過去10年間にしてきたことは、あまりにも多く、政治資金規正法に抵触する問題だけではない。以下は,今回の小渕大臣の一件で関係がありそうな法律である。

 ※政治資金規正法
 ※公職選挙法
 ※虚偽公文書作成等罪
 ※偽造公文書行使等罪


 以下の図は小渕優子氏関連政治団体を巡り問題となっているカネの流れである。


出典:毎日新聞

 小渕大臣は、自分が知らないことだと何度も繰り返している。

 しかし、最大の問題となる7年間続いているという明治座での観劇会では、「小渕優子後援会」と「自民党群馬県ふるさと振興支部」が企画し、2007年から毎年開催しており、会費は1人につき約1万2000円で、1千人が入れる会場を使っている。小渕氏本人も出席し、挨拶していることが分かっている。

 明治座で開かれた観劇会に参加した70代の女性によると、当日朝、大型バスで地区の会員と一緒に群馬を出発し、会場へ向かった。「各地区から大型バスが全部で27台出ていると聞いた。参加者は1千人ぐらいいたのでは」と朝日新聞の質問に答えている。

 当日は、女子部幹部のあいさつの後、食堂で昼食の弁当をとり、正午から天童よしみさんの歌謡ショーを見たという。席は地区ごとにくじ引きで決められ客席の1、2階部分は満席、午後3時半にショーが終わり、再びバスで帰ったという。(朝日新聞)

 となると、上の図にあるように、参加者から徴収した1人1万2000円だけでは、到底かかった経費(おおよそ3384万円)を賄うことは出来ず、毎回約2642万円を「小渕優子後援会」と「自民党群馬県ふるさと振興支部」が補填して支払っている可能性が濃厚である。

 下の図は、テレビ朝日ANNによる解説である。もとの出典は2010年、2011年の政治資金収支報告書である。


出典:テレビ朝日ANN

 公職選挙法では、(買収及び利害誘導罪)では、第二百二十一条  次の各号に掲げる行為をした者は、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。また(多数人買収及び多数人利害誘導罪)、第二百二十二条  左の各号に掲げる行為をした者は、五年以下の懲役又は禁錮に処する。さらに(公職の候補者及び当選人に対する買収及び利害誘導罪)、第二百二十三条  次の各号に掲げる行為をした者は、四年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する、とある。

 
これらは、国会議員自身が指示しなくても、小渕氏の政治団体が行っていても政治家は連座し、議員を辞職するだけではすまず、公民権も停止させられる

 さらに、政治資金規正法では、政治資金の収支を正確に報告書に書き入れることが義務づけられているが、2008年分は2団体報告書に観劇の収入が不記載であったことが判明している(各報道)。

 以下は2つある小渕優子氏の政治団体のうち、扱う額が小さな方の政治団体の政治資金収支報告書にみる収支である。2008年は、収入、支出ともに報告がないことが分かる。また2008年、2009年は収入についての記述がない。


出典:朝日新聞

 以下はその政治資金規正法における罰則である。
政治資金規正法違反でも公民権停止がある。収支報告書の不記載、虚偽記載だけでも 5年以下の禁錮、100万円以下の罰金(法第25条)が科せられる。

◆政治資金規正法の罰則

(1)罰則
 政治資金規正法における収支報告や寄附制限等の履行を担保するための主な罰則は次のとおりです。

・無届団体の寄附の受領、支出の禁止違反
 5年以下の禁錮、100万円以下の罰金(法第23条)
・収支報告書の不記載、虚偽記載
 5年以下の禁錮、100万円以下の罰金(法第25条)
・寄附の量的制限違反
 1年以下の禁錮、50万円以下の罰金(法第26条)
・寄附の質的制限違反
 3年以下の禁錮、50万円以下の罰金(法第26条の2)

(注)寄附の量的・質的制限等違反による寄附にかかる財産上の利益については、没収または追徴する。(法第28条の2)

(2)公民権の停止
 政治資金規正法に定める罪を犯した者は、選挙犯罪を犯した者と同様、次の期間、公民権(公職選挙法に規定する選挙権および被選挙権)を有しないこととされています。(法第28条)

・禁錮刑に処せられた者
 裁判が確定した日から刑の執行を終わるまでの間とその後の5年間
・罰金刑に処せられた者
 裁判が確定した日から5年間
・これらの刑の執行猶予の言い渡しを受けた者
 裁判が確定した日から刑の執行を受けることがなくなるまでの間

(注)政治資金規正法違反によりその公民権を停止された者、併せて選挙運動も禁止されます。(公職選挙法第137条の3)

 
ということで、小渕優子に関連する今回の一連の問題は、まさに「疑惑のデパート」「疑惑の総合商社」であり、刑事告発され、まともに司法当局が調べ上げれば、選挙民への多数人買収及び多数人利害誘導そのものであると想定されること、またいずれも総額、累積額が大きいこと、しかも毎年何度も行ってきたこと、さらには現在分かっているだけでも高額の不記載があることなどなど、どうみても大臣辞職で済まされる内容ではない。さらにいえば議員辞職だけで済むものでもないと思える。

 冒頭述べたように、石川前衆議院議員は、本来微罪にもならないようなことで議員辞職し、公民権停止となっている。現職大臣がこれだけ多くの政治と金に関わる問題を惹起していることからすれば、到底大臣辞職では済まされないだろう!。

 早晩、専門家などから刑事告発状が東京地検特捜部に出されるだろうが、司法当局は全力を挙げ立件すべきである! 

2012年における小渕優子経産大臣を巡る政治資金の流れ

 以下の図は「週刊新潮」による2012年における小渕優子経産大臣を巡る政治資金の流れを示す。この年(2012年)は衆議院議員選挙があった年である。参考のため示す。選挙年であるためか、巨額な資金の流れがあることが一目して分かる!


出典:週刊新潮 2014年10月23日号(2014/10/16発売)
 
 上の図を見ると、2012年には、小渕優子後援会に2946万円、自民党群馬県ふるさと振興支部に2880万円が流れ混んでいることが分かる。さらに自民党群馬県第5選挙支部には、合計4299万円が入っている。 


出典:週刊新潮 2014年10月23日号(2014/10/16発売)