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マレーシアMH370便

ブラックボックスからの信号か

青山貞一 Teiichi Aoyama

April 6 ,2014
Alternative Media E-wave Tokyo
無断転載禁

◆マレーシアMH370便失踪事故
 2014年3月8日、午前0時41分(日本時間同1時41分)にマレーシア航空のボーイング777―200機MH370便は、クアラルンプールを出発しました。同機の搭乗者は乗客が227人、乗員が12人の計239人。このうち5人が5歳未満の子どもです。


 早くも忘れられつつあるマレーシアMH370便、ボーイング777機の失踪ですが、中国巡視船がマレーシア機捜索海域(オーストラリアのパースの西北西1700kmのインド洋上)で信号らしき音波のパルス信号を傍受したと報告しています(場所は以下の地図)。

 CNNによれば、中国営新華社通信は、中国の巡視船「海巡01」がオーストラリア西部パースから西北西へ約1640キロ離れた海域で信号を探知したと伝えた。この位置は、同日の捜索海域から350キロほど外れていたとみられる。上海の共産党機関紙「解放日報」によると、海巡01は4日にも信号を探知していたが、突然停止したため記録できなかった。5日に再び確認された信号は約1分半続いたとされる。といいます。


出典:CNN

 ブラックボックス(巻末の解説参照)は、航空機に必ず常備されている遭難時捜索用のブラックボックス(巻末に詳細記述あり)がたとえ深海に落下していても、一定期間(約1ヶ月)、37.5キロヘルツの音波信号を出し続けるもので、MH370便も例外なく37.5キロヘルツの信号をだしています。したがって、本当にこの海域で37.5キロヘルツの信号を受信したのだとしたら、その深海にブラックボックス及びボーイング777機の残骸が落下している可能性は高いと思えます。


中国の巡視船が4月5日、パース西北西のインド洋でブラックボックスと
おぼしき37.5Khzの音声パルス信号を受信?
出典:JNN

 今回のマレーシア機の探索では、20カ国に及ぶ各国が当初協力を申し出、米国、フランス、中国などが詳細衛星画像からインド洋上に24m規模の残骸があるのではないかと報告しました。場所はオーストラリア西岸のパースから西2500kmほどの場所でした。その後、各国は飛行機や船で現地に急行したものの、洋上は波も荒く確証はつかめていませんでした。


       図1 想定されるマレーシア旅客機MH370、ボーイング777墜落現場
              出典:グーグルアースより筆者作成

 当初、各国が先を争った背景には、いうまでもなく軍事衛星の精度に関わること、すなわち詳細な映像を公開すると軍事衛星の精度が他国に分かってしまうことから、わざと精度を荒くして公開するなどしていました。日本も詳細衛星画像を独自にもっているはずですが、フランス、中国などが公開する中、一切、衛星情報は公開しませんでした。このように、各国が協力を約束しながら、各国の軍事機器秘密などを優先するあまり、被害者らを無視した対応となったことは否めません。

 周知のように日本の特定秘密保護法案では、法案成立以前から軍事衛星からの映像などの情報を最初に特定秘密に指定することが判明しています。50万件以上の詳細衛星画像を特定秘密扱いしていたことを政府自らが言明しています。

 そんな軍事上の機密もありましたが、マレーシア航空機事故で圧倒的に多くの被害者をもつ中国国民は、今まで探査情報に翻弄されてきたとも言えます。

 逆説すれば、中国は多数の自国民が被害者となっており、北京で待機させられている被害者家族からの圧力もあって、他の諸国が探索活動から去っても全力を挙げ探索活動を進めていたと言えます。

 今回の中国のブラックボックス探査についてですが、ブラックボックスの製造元会社が、AFPの取材に対し、「MH370便に搭載されていたブラックボックスの製造元であるハネウェル・エアロスペース(Honeywell Aerospace)の広報担当者がAFPに語ったところによると、同機のフライトデータレコーダーおよび操縦室のボイスレコーダーの水中音響ビーコン(Underwater Acoustic Beacons)はともに、この周波数で作動しているという。」ことからマレーシア機MH370便のブラックボックスも37.5KHzの信号を約1ヶ月送信していることは間違いないと思えます。

 また、中国からの報告に当該海域に白い浮遊物が多数散乱しているとのことから、マレーシア機である可能性がかなりあると思えます。

 ただ、以前からオーストラリア軍(実際は米国か)がこの4月上旬からブラックボックス探査の機器を使うとしていたこともあり、中国に先を越されたことから、やたら慎重な態度をとっています。 その意味で、もしオーストラリアのブラックボックス探査のロケーターが投入され、ほぼ同じ場所と判定した場合、中国の持つ当該分野の技術は、かなりの物であることになります。

 もっぱら、これからの捜索では、1ヶ月しかもたないとされる電池が切れブラックボックスからの音波信号が受信できない可能性もあります。いつ墜落したかにもよりますが、仮に3月10日頃だとすれば、4月10日頃に電池が切れることになります。

 以下がオーストリア海軍がこれから投入するブラックボックス探査機 Pinger Locator。 


Souruce:AFPB


Source:EPA

 各国が表向き善意で、失踪したマレーシア機の捜索に協力したとしても、現実には、搭乗していた顧客やその家族の考えと離れ、軍事機器の機密保持により、捜索が遅れたり、中止されたことは否めません。

 そんな中、中国人の搭乗客が最も多かったことで中国軍が孤軍奮闘しここまでオーストラリアのパースの西1700kmでブラックボックスの音波を受信したことにより、捜索が進むことを期待したいと思います。

◆ブラックボックス (航空)


 ブラックボックスの例 手前がフライトデータレコーダ、奥がコクピットボイスレコーダ

 ブラック・ボックスとは、フライトデータレコーダー(FDR)とコックピットボイスレコーダー(CVR)の通称である。航空事故に関してブラックボックスと表現する場合は、FDRないしはCVRそれぞれ、あるいは双方を纏めて指している。航空事故の原因調査に大きな役割を持つ。旅客機に装備され、軍用機には一般に装備されない。

 ブラックボックスとは内容物が隠蔽ないしは封印されていることの比喩的形容であり、必ずしも「黒い箱」を意味しない。FDRやCVRは事故後発見回収しやすいよう実際には赤色やオレンジ色に塗装されている。

 事故が発生した際、乗員・乗客が全員死亡することも珍しくない航空事故では、事故原因究明の手掛かりを得ることが大変難しい。

 そのため飛行中のコックピット内で操縦士たちが交わした会話や航空交通管制機関との交信内容、機体の飛行状況を記録し続けることにより、事故原因究明のための手掛かりとするべく旅客機に搭載されていることが多く、法によって搭載装備を義務付ける国もある。

 外装は、墜落に伴う衝撃や火災、海没に耐えられるよう高い耐衝撃性・耐熱性・耐水性を備えた密閉容器である。搭載位置は、比較的破損が及びにくいとされる機体尾部が多い。

フライトデータレコーダの例
 FDRの試作機は、父を航空機事故で亡くしたオーストラリアの科学者デビッド・ウォーレン(1925年3月20日 - 2010年7月19日)が、1956年に初めて設計した。開発当初は金属製のテープにダイアモンド製の針で飛行高度、飛行速度などのデータを刻印する方式だったが、1980年代までにデジタル化され、最低でも(事故による)動作停止前400時間の詳細なデータ(機体に加わった加速度やエンジン回転数など)が記録できるようになった。

コクピットボイスレコーダの例
 旅客機のコックピット天井に会話収音用マイクロフォンが装備されているとともに、航空無線機の音声信号も簡易なミキサーを通じて収録される。

回収
 海没した場合に発見を容易にするため位置通報用の音響発信機(アコースティック・ビーコン)を内蔵しているものもある。バッテリーが30日しか持たないため、引き上げ準備に手間取った場合、バッテリー切れで捜索が困難になることもある。

 だが、ごく稀にブラックボックスのうちどちらか一方もしくは両方とも発見できない場合がある。海から引き揚げた場合海水の塩分による錆で電子部品を痛めてしまうため、まず真水で海水を洗い流し、空気(すなわち酸素)との接触を絶ち錆の発生や進行を抑えるべく、真水を張ったクーラーボックスに入れられ解析当局にクーラーボックスごと送られる。

出典:Wikipedia