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日本でも電波利用

オークションを導入すべき!


青山貞一 Teiichi Aoyama 

独立系メディア E-wave Tokyo  
October 31 2016
無断転載禁
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 河野太郎氏の最新メルマガによるテレビ局の放送事業からの営業収益、営業利益と電波利用料の比較のデータの意味するところは何かといえば、いうまでもなく、今まで独占的に電波を使用してきた日本のテレビ各局に対し、欧米のような電波利用オークション制度を導入すべきだということでしょう。なお、この電波利用オークションは、河野太郎氏の表にあり、日本にもある電波利用料(手数料)とはまったく別のものです。

 下表を見ると、テレビ各局の年間の営業収益に対する割合は0.5%以下であることが分かります。国民共有の希少な財産である電波(周波数)をいわば独占的に使用しながら、電波利用料は少なすぎるわけです。

◆テレビ局の電波利用料と放送事業による売り上げを比較
                               単位は億円 
放送局 営業収益 営業利益 電波利用料
NHK 6,860 189 21.8
日本テレビ 3,740 488  5.2
TBSテレビ 2,139  48  4.9
フジテレビ 3,190  81  4.7
テレビ朝日 2,443 149  4.9
テレビ東京 1.074  47  4.7
.出典:河野太郎議員のメルマガ

◆放送事業の営業収益と営業利益に対する電波利用料の割合(%)

放送局 営業収益/
電話利用料
営業利益/
電波利用料
NHK 0.32 11.5
日本テレビ 0.14 1.1
TBSテレビ 0.23 10.2
フジテレビ 0.15 5.9
テレビ朝日 0.20 3.3
テレビ東京 0.43 9.
出典:河野太郎議員のメルマガ

 ここで、まず、電波利用オークション制度について概説しましょう。

 電波利用オークションとは、周波数帯域の利用免許を競売で電気通信事業者に売却して事業を行わせるものです。当然のこととして、一番高い額が落札の対象となります。

 この電波利用オークション制度は、有限な公共財である電波を有効利用するための手法であり、オークションの方式にはいろいろあります。導入している各国では1回のオークションは一日から数か月の期間で公開入札形式で実施されています。

 この制度は米国の携帯電話など移動体通信事業で1996年に世界ではじめて採用されました。その後、ヨーロッパ各国の第3世代携帯電話で採用されています。OECD加盟国の約2/3は既に周波数オークションを導入しており、実施されているオークションの大部分は大きな問題や批判がなく運用できているのも実態です。

 電波利用オークションは、携帯・スマホなどの移動体通信だけでなく、テレビの周波数についても本来同じことが言えます。しかし、日本では、携帯、スマホなどで周波数(電波)利用オークション制度がないだけでなく、テレビに対しても制度がなく、総務省の電波審議会で割り当てが、恣意的に決められ、一度決まると半永久的に電話利用手数料だけでNTT、KDDI(AU),ソフトバンクは周波数を占有できることになっています。

 たとえば、携帯電話・スマホなどの移動体通信への新規参入を目指したソフトバンクは、当初、総務省に新規参入の手続きをとろうしましたが、日本には周波数(電波)利用オークション制度はもとより、新規参入のための公平な制度がないため、総務省(電波審議会)を提訴しました。しかし、提訴したものの、時間ばかりかかりまったく前に進まないことから、日本に当時あった日本テレコム系のボーダフォンを買収し、移動体通信に新規参入しています。

 日本でも電波利用料(行政手数料)は徴収されていますが、米国やドイツなどではこの電波利用料(手数料)以外に<電波利用オークション制度>があり、これから膨大な国家収入を得ています。

 このオークション制度は、国民全体の共有資源である電波を特定のテレビ局などが占有することに対し、定期的に周波数利用を入札制度で決めるものです。この場合、一番高額者が落札することになります。
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 ちなみに、米国のオークションでは1994年7月〜2004年2月に49回実施 され、落札総額 4兆6,039億円にも上っています、またドイツでは数年に一度ですが実に総額5100億円になっています。




 出典:写真2枚を含め諸外国の電波利用料制度
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 日本ではこの電波利用オークション制度がないため、オークションからの国の収益はゼロ円であり、しかも、独占的、半永久的に周波数を利用できます。しかも、放映する内容の質的劣化は激しく、報道・ニュ-スもまるで政府の広報機関です。

 日本では、このように電波利用料だけ払えばテレビ局や携帯・スマホも、独占的、半永久的に周波数を利用でき、大きな収益を上げています。しかも、携帯・スマホの使用料金は世界的に見ても著しく高額となっています。

 以下は、少々古いデータですが、世界各国の電波利用料と周波数(電波)利用オークションによる収入と、放送局にかけられる金額を示しています。

米国
 電波利用料収入約240億円、オークション収入年平均4,600億円。
 放送局の免許も、原則オークションの対象。

◆英国
 電波利用料収入約213億円、オークション収入年平均2,250億円
 放送局に対する電波利用料は減額。代わりに放送事業免許料約538億円
 を徴収。放送局に対する特別措置を勘案して、総額は840億円となる。

フランス
 電波利用料収入約94億円、第三世代携帯電話免許料年平均約113億円+
 売上げの1%放送局に対する電波利用料は免除。代わりに映画産業等の
 支援のための目的税等約380億円を徴収。

韓国
 電波利用料収入約200億円、出損金による収入約250億円
 放送局に対する電波利用料は免除。代わりに広告収入の一部約350億円を
 徴収し、放送発展基金に充当

 注)出損金(しゅつえんきん)=見返りのない出資金や寄付金のことをう。

日本
 電波利用料収入653.2億円(平成19年度)
 放送局に対する電波利用料はわずか7億円。アナアナ変換対策にかかる
 暫定追加電波料30億円。合計38億円。

出典:,http://d.hatena.ne.jp/LM-7/20070505/1178384231