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都民の水瓶、狭山湖岸の
「トトロの森」湿地帯に
巨大墓地計画(1)

 
〜トトロの森に大墓地開発〜
青山貞一 Teiichi Aoyama 池田こみち Komichi Ikeda
掲載月日:2014年6月21日  
独立系メディア E−wave

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 2014年6月20日は以前、環境行政改革フォーラムの正会員の所沢市の女性市議から連絡をもらっていた所沢市西部にある東京都民の水瓶でもある狭山湖の湖畔に計画されている900区画の巨大墓地の予定を現地視察した。

 東京都練馬区にある池田こみちの自宅から現地までは車で1時間程度、今回は行きも帰りも一般道で行った。自民党政権になってから関越自動車道の高速料金が高くなり、深夜、土日割引も大幅に減ったことからか、以前にも増して一般国道254号線はトラックなどの大型車の数が混雑していた。

 練馬から所沢西部に一般道で向かうには、途中、和光市、朝霞市、新座市などを通過する。和光市にはSTAP細胞問題で今やオールジャパンで有名となった利権、間違い理研、正式名独立行政法人理化学研究所がある。和光には理研の本部がある。その真ん前を通過した。ものすごく広大、巨大な敷地である。


写真1 和光市にアイル正式名独立行政法人理化学研究所

 所沢市航空公園近くに所沢市役所がある。その近くには環境省の研修センターがあり青山、池田はよく講義で行った場所である。


写真2 所沢市航空公園近くにある所沢市役所に向かう看板

 墓地計画地の周辺は、所沢市南西部の有名な「トトロの森」の一角にあり、「トトロの森ふるさと基金」がナショナル・トラスト活動を進めている地域である。しかも、計画地は狭山湖の湖畔のすばらしい自然地であるというだけでなく、保全すべき湿地帯であり、環境省、埼玉県、所沢市などが首都圏に残された希有な湿地帯と認めている地域である。


図1 所沢市全図  南西部に墓地計画地がある。


図2  都民の水瓶、狭山湖半の巨大墓地計画地  出典:グーグルマップ
   出典:グーグルマップから青山貞一作成
 
 下は予定地を衛星で撮影した写真である。狭山湖と早稲田大学所沢キャンパスの間に残されたトトロの森の一角にあることがよく分かる。また早稲田大学所沢キャンパスがトトロの森を破壊してつくられたことも一目瞭然である。


写真3 衛星写真見た巨大墓地計画予定地  出典:グーグルマップ衛星画像

 ※2014年6月21日午後になり開発予定地の詳細が分かった。これについては
   (4)に詳述する。


 それにしても、ここ数年、環境総合研究所(東京都目黒区)や環境行政改革フォーラムに寄せられる案件には火葬場、墓地などの相談案件が多くなっている。これも先進国で世界一の高齢国、日本が抱える新たな社会問題の一部であると思える。

 肝心な巨大墓地計画の予定地だが、直近には早稲田大学の所沢キャンパスがある。

 上述のように、もともとこの辺一帯は東京都民の一大水源として、またトトロの森として保全されるべきすばらしい里山や谷戸、湿地が多数ある。また宮崎駿の長編アニメーション映画 『となりのトトロ』の舞台となった狭山丘陵の一角にある。

『トトロの森』の由来
 公益財団法人トトロのふるさと基金が取り組みをすすめるナショナルトラスト事業によって確保され、保全されている一連のトラスト地の愛称。その多くは狭山丘陵北麓周辺の山林地である。
 狭山丘陵が、長編アニメーション映画 『となりのトトロ』に登場する風景のモデルのひとつであるとされることから、作品の生みの親である宮崎駿の承諾を得て命名された。
 狭山丘陵は、宮崎の自宅からも近く、宮崎自身この運動に呼び掛け人の一人として名前を連ねている。
 1991年に取得された「トトロの森1号地」を皮切りに、2013年10月までに21ヶ所の「トトロの森」が確保され、その多くが一般市民向けの散策地として公開されている。 一部のトラスト地では谷戸田を中心とした里山環境の復元構築にも取り組んでいる。
 なお、広義の用法としては、狭山丘陵そのものを指して「トトロの森」と呼ぶようなこともある。
出典:Wikipedia

 そのトトロの森を最初に大規模に開発し、破壊したのは早稲田大学の所沢キャンパスである。現地視察で判明したのは、(地元の寺院であり土地所有者?)が大規模墓地を計画した湿地を含む現況山林は、和製打大学所沢キャンパスと接している広大な土地であることである。広大とは行っても早大所沢キャンパスの数分の1の規模ではあるが、現地は残された貴重なトトロの森の一角であり、そこには首都圏の希少な湿地があったことである。

 一方、周知のように所沢といえば、私たち環境総合研究所が1999年当時、体を張って闘った産業廃棄物処理施設がある場所、とくに所沢市北部に三芳町との境界となる「産廃銀座」を中心に、所沢市内あちこちに産廃業者が大小50カ所以上の施設をもっていた。あのダイオキシン騒動、ダイオキシン事件により、多くの焼却施設は撤退したり、業種を焼却か破砕などに変えている。

 今回、現地に行って驚いたのは、巨大墓地計画地の入り口に大きな産廃業者があったことである。さらに予定地入り口から狭山湖畔を堰堤側にグルリと回ると、湖畔のあちこちに産廃業者とおぼしき施設が多数あったことである。所沢ダイオキシン事件で全体の施設数は減ったものの、焼却しない産廃業者は、所沢市の依然としてあちこちにあるということです。

 下は巨大墓地予定地のすぐ南にある産廃施設の衛星写真である。東京都水道局管理地のフェンスの真ん前にある。


写真4 巨大墓地予定地のすぐ南にある産廃施設
       出典:グーグルマップ衛星画像

 それにしても湖畔のトトロの森を大規模に開発したのは早稲田大学である。何も、こんなすばらしい希有の自然を壊してまで新学部を設置することはなかったと思う。しかも、このあたりは簡単に行けない場所でありあらゆる交通手段のアクセスも悪かったはずだが、早稲田大学キャンパスができたことでシャトルバス、路線バス、教員等の自家用車の交通量を大幅に増やし、さらには学生、院生用のアパートやワンルームマンションを増やすなど、土地利用面からも非常に問題が多い開発となっていると思う。

つづく