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国家主義教育の実態
〜桜美林大学の場合〜

青山貞一

2006年12月4日


  2006年11月29日、東京都町田市にある桜美林大学 町田キャンパスで、17時45分から『緊迫するアジア情勢と日本』というシンポジウムが開かれた。

 たまたまこのシンポジウムに参加した方から独立系メディア編集部に情報提供があった。以下は情報をベースに書いたものである。

 まず、シンポジウムのパネリストは以下の通り。
 
 逢沢一朗衆議院議員(自民党)
 前原誠司衆議院議員(民主党)
 松原仁衆議院議員(民主党)
 西原正(平和・安全保障研究所理事長)
 小峯弘靖(PHP総合研究所研究員)
 加藤朗(桜美林大学教授)
 他に、高市早苗大臣(自民党)が遠隔参加

 討論の主な内容は次の通り。

 東アジアの国際情勢
  「第二次・朝鮮半島危機」問題
  「米軍再編成」と日本の対応
 近未来の「アジアの有効・融和・統合」のために

 なお、桜美林大学のゼミ学生(履修者)は全員が参加させられたという。これについては別途、個人情報保護などの法的問題もあるようだ(巻末に付記)。

 上記のパネリストを見れば、話しを話しを聞く前からおおよそどんなことが話し合われたかが分かるというものである。

 案の定、このパネル討議は極めて扇情的な討論、内容となったそうである。各パネリストの発言内容は別途報告したいと思っている。

 パネル討議の後、質疑応答が行われ、日本人の聴衆が二人ほど発言した。

 一人は年配で旅行をして中国人と接しても、話が通じない、彼らは「宇宙人」だと要ったそうです。もう一人は、若者で、核論議をある議員たちがしようとしていることを、他の議員が抑えこむのは間違いだという意見だったそうだ。

 会場には多くの留学生がいたが、議員を含め彼らは日本人だけの内輪の会の如く話していたいと映ったようだ。本来、自己主張は関係性に基づいて発せられなければならず、議員や教員は、自分の意見を言い放しにすることがそうだと思い込んでいたようだ。

 すると、本当は黙っていようと思ったらしいが、中国からの留学生が手を上げ、質問を始めた。

 以下は開場にいた学生の記憶によるもので、一字一句正確ではない。

 日本は「中国の脅威」というけれども、それでは中国は昔のような状態であればいいのか。昔の中国であれば、日本は友好関係を結べて、今の「中国の脅威」と言われる状態であると、友好関係は結べないというのか。

 台頭する中国は日本にとって脅威であるなら、1949年前の中国は日本の国益になりますか。日中貿易はお互いにとって1位になっているので、日本の黒字貿易は中国も貢献しているはずです。これは脅威と言えますか。

 私(中国からの留学生)は日本で生活し、日本で勉強しているので、日本は第2のふるさととなっている。

 しかし、先生方は中国は脅威であるとおっしゃっています。私はこのご発言について心を痛めております。私の周りは日本人は友達がいるから、日本のことが好きになりました。

 西原先生は、中国は歴史教育において日本はけしからんと子供達に教えているとおっしぃいましたね。しかし、私達が勉強したのは45年までの日本であり、現在の日本ではない。先生はどう思います。

 中国にいる中国人は、見ているのがTVに映されている先生方のお顔だけでございます。自分達のことを敵とみなしている相手に、常任理事国入りを賛成できますでしょうか。

 中国の環境破壊というが、日本が高度成長時代に水俣病などの公害に苦しめられた経験や技術をなぜ日本は中国に支援しないのか。


 彼女の質問の直後、会場から拍手が沸き起こったそうです。発言した彼女は一介の留学生にすぎません。ところが、パネリストたちからはただの一人も満足な答えができなかったという。

 環境問題の上記の質問に対しては、逢沢議員が次のように答えたそうだ。

 日本はODAを渡すときに、中国に環境汚染に対して注意を促すが、中国は日本に戦後賠償金をもとめなかったのだから、ODAをいかに使うかまで口をだしてほしくないという。

 教授のなかには、親戚の小学生が中国で日本人だからといじめられたのを引き合いに出したそうだが、ここでは自らがまったく無能さを露呈してしまっといえる。

 日本人でまともなことを言ったのは桜美林大学の大越貴副学長くらいだったようだ。これはパネル討議の閉会の挨拶を述べた時である。

 ところで、このシンポジウムには内容、議論の前の大きな問題があった。

 政治家の警備陣の要求に従って、桜美林大学当局がシンポジウムに参加した全員の氏名・住所・電話番号・所属学部の名簿を提出したことである。

 一部学生は早稲田大学で問題になったことと同じではないかと大学当局に抗議したが、聞き入れられなかったという。

 続報が入り次第報告する予定です。