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ウィーンフィル

ニューイヤーコンサート

2007


青山貞一

2007年1月1日



 正月恒例、ウィーンフィルのニューイヤーコンサートが、元旦の日本時間午後7時過ぎからウィーンの楽友協会大ホールであり、NHK教育テレビによる午後7時からの生中継、2時間遅れのデジタルBS2による中継録画で2度楽しんだ。


ウィーンにある楽友協会(撮影:青山貞一)
 
 私はここ10年ほど、毎年欠かさずウィーンフィルのニューイヤーコンサートを楽しんでいるが、今年も大いに楽しんだ。

 今回の指揮者はズービン・メータ。ニューイヤーコンサートは後述するように今回で4回目となる。
 
 ちなみに、昨年の指揮者はマリス・ヤンソンス氏、以下は2006年のニューイヤーコンサートの後に書いたブログである。

青山貞一:ウィーンフィル、ニューイヤーコンサート2006を聴いて

 その指揮者、ズービン・メータ(Zubin Mehta)は1936年4月29日 にインドのボンベイで生まれている。父メーリ・メータも指揮者、地元ボンベイのオーケストラの指揮者として活躍した。1954年ウィーン国立音楽大学に留学、ハンス・スワロフスキーに指揮を学ぶ。1959年にウィーン・フィルを指揮しデビューそして成功を収めた。

 1990年、1995年、1998年そして今年(2007年)にウィーン・フィル新年恒例のニューイヤーコンサートを指揮している。ズービン・メータはオペラの指揮にもたけ、1965年にザルツブルク音楽祭でモーツァルトの「後宮からの誘拐」を指揮、大成功を収めている。


アンコールでラデツキー行進曲を指揮するメータ(NHKBSより撮影)

 一方、言うまでもなくウィーンフィルは数あるオーケストラのなかでもピカイチ、とくに地元、オーストリアのザルツブルグで生まれたモーツアルト、第九をウィーンで初演したベートーヴェンとともに、ウィーン出身でワルツやポルカで世界有数の作曲家、シュトラウス一家が作曲した曲の演奏ではウィーンフィルの右に出るオーケストラはいない。

 昨年はW.A.モーツアルト生誕250周年でもあり、ウィーンフィルは世界中で引っ張りだこ。日本でもあちこちで演奏会が開催されている。年末には、NHKホールでベェートーヴェンの第九交響曲などでも来日している。


ウィーン楽友協会大ホールのィーンフィルハーモニー管弦楽団(NHKBSより撮影)

 このところ日本でも古楽演奏が流行しているが、演奏だけでなくウィーンフィルは楽器そのものも18〜19世紀のものを使っている。

 NHKの衛星中継でゲスト出演したN響のバイオリンコンサートマスターによると、フレンチホルンやオーボエなどの管楽器には、ウインナホルンやウインナオーボエがあると言う。

 番組では通常のフレンチホルンとともに、ウインナホルンの実物が紹介され、構造の違いがよく分かった。

 曲目はおなじみのシュトラウス2の喜歌劇「くるまば草」の序曲、J・シュトラウスのポルカ「水車」などものに加え、今回ニューイヤーコンサート初めての曲も数曲あったが、とりわけシュトラウス2の通称、「レモンの花咲くところ」(Wo die Zitronen Bluh'n) Op. 364 が良かった。この曲は、シュトラウスがイタリアで作曲したとか。

....

 ところでニューイヤーコンサートは、毎年、ORF(オーストリア)、ZDF(ドイツ)そしてNHKが全世界に生中継しているが、そのひとつの目玉はなんと言っても、地元ウィーンの宮殿や城を使ってのバレエとの連携だ。

 今回は、私もウィーンに行くたびに季節を問わず何度も足を運んだシェーンブルン宮殿を舞台し、ウィーンフィルがアンコール曲としてラデツキー行進曲の前にいつも演奏するシュトラウス2三曲の「美しく青きドナウ」(An der Scheonen Brauen Donau)に合わせて登場したバレエがすごくよかった。

ウィーンフィルで「美しく青きドナウ」を!
以下は、ウィーンフィルが演奏する「美しく青きドナウ」。ウィーンフィルのWebでMP3にて公開しているもの。ただし、指揮者はズービン・メータではなくRudolf Streicherである。ダウンロードまでに時間がかかる場合がある。
J.Strauss (1825-1899)ヨハン・シュトラウス Jr. 
An der schoenen blauen Donauクリック 
Vienna Symphonic Orchestra conducted by Rudolf Streicher

 バレエはウィーン国立歌劇場、フォルクスオーパーのバレエ団、またバイエルン国立歌劇場バレエ団のソリストが華麗な踊りをシェーンブルン宮殿で披露してくれた。

シェーンブルン宮殿を舞台に「美しく青きドナウ」踊るソリスト(NHKBSより撮影)


シェーンブルン宮殿を舞台に「美しく青きドナウ」踊るソリスト
(NHKBS Hi-Visionより撮影)

 上の写真に写っている女性の独演者が、何とオードリーヘッブバーンにそっくり。顔、髪型、華奢なスタイルなど、どれをとっても似ていたのにはびっくり。

 アンコールの演奏曲目となったヨハン・シュトラウスの「美しく青きドナウ」の演奏にさきがけ、ズービン・メータは、今年からルーマニアとブルガリアがEU(ヨーロッパ連合)に参加することについてコメントしメッセージを発していた。

 旧東欧ではすでにチェコ、ハンガリーなどがEUに加盟しているが、現場に行ってみると、雇用、物価、貨幣価値、為替などさまざまな面で旧東欧諸国のEUへの参加はけっして楽なものではないようだ。

 そんなこともあってか、ルーマニアからウィーンの楽友協会のコンサートに首脳が来ていたようで、大きく映し出されていた。

<EU>ブルガリア、ルーマニアが加盟 27カ国体制に
2006年1月2日毎日新聞

 【ソフィア会川晴之】
 ブルガリアとルーマニアが1日、欧州連合(EU)に加盟し、EUは27カ国体制となった。両国では1日、記念式典やコンサートが開かれ、EU加盟と新年を同時に祝った。また、スロベニアが同日、単一通貨ユーロを導入し、ユーロ圏は13カ国となった。

 EUの拡大はポーランド、チェコなど10カ国が加盟し、25カ国体制となった04年5月以来。

 ブルガリアの首都ソフィアでは1日午後、広場で式典が開かれ、パルバノフ大統領が「今日は偉大な日だが、改革努力は続けなければならない」と司法改革や組織暴力追放などを誓った。同日夕開かれたコンサートではスタニシェフ首相が「夢がやっと実現した」と喜びを語り、オーケストラがブルガリアとルーマニアの作曲家が合同で作った曲を演奏し、加盟を祝った。

 式典参加の市民には若者を中心に「EUのどこでも働けるようになる」「若者の未来が開ける」「孤立から脱し、大きなEU家族の一員になれる」など肯定的な意見が目立つ。一方、中高年からは「加盟は早すぎる」「物価が上がるのが心配」などと懸念する声も漏れた。


シェーンブルン宮殿を舞台に「美しく青きドナウ」踊るバレリーナ(NHKBSより撮影)


シェーンブルン宮殿を舞台に「美しく青きドナウ」踊るバレリーナ(NHKBSより撮影)


シェーンブルン宮殿(Schloss Schonbrunn)

 オーストリアの首都ウィーンにある宮殿。ハプスブルク王朝の歴代君主が主に離宮として使用した。現在同宮殿と庭園群は世界遺産に登録されている。市内からは地下鉄U4号線に乗りシェーンブルン駅下車。 庭園は東西約1.2km、南北約1kmの規模。

 建物は、あらゆる部屋を合計すると1,441室あり、両翼の端から端まで180mあり、正面右側翼には宮廷劇場がある。 また、広いフランス式庭園を挟んで宮殿に向かい合う丘の上にはグロリエッテという見晴台のような建物があり、ここからは周囲が一望できる(写真はこの丘からの 眺望)。 オーストリアで一番重要な観光資源で、年間入場数150万人。更に公園と動物園や行事での集客数520万人を合計すると年間には670万人が訪れる。 外壁はマリア・テレジアの好みに合わせて黄色になった。       出典:ウィキペディア(Wikipedia)
 

2005年3月のシェーンブルン宮殿。この宮殿の中でバレエが行われた(撮影:青山貞一)


夏はこの通り観光客などでにぎわう(撮影:青山貞一)


2002年8月のシェーンブルン宮殿。この庭でもバレエが行われた。
シェーンブルン宮殿の庭はなかなかのみもの(撮影:青山貞一)


.....

 ところでズービン・メータの前回のニューイヤーコンサートも聴いたが、今回は落ち着いたなかにもメータ流のオチャメな式が随所に見られ大いに楽しめた。とくにシュトラウス父のエルンストの思い出(作品126)はおそらく全世界の聴衆をわかせたに違いない。


アンコール曲の指揮を終えたズービン・メータ(NHKBSより撮影)


ウイーンやザルツブルグで簡単に生演奏を楽しむためには.....

 ところで、私のブログでは何回か書いているが、5年ほど前から予約しないと楽友協会大ホールのニューイヤーコンサートにはまず参加できない。

 日本円で10から15万円のプレミア付き切符もあるとウィーンにいる知人から現地で聞いたことがあるが、エコノミーとは言え往復航空券並のチケットを購入してまでと言うはと言う向きに、朗報がある。

 何と、今回バレエの舞台となったハップスブルグ家の主、マリア・テレジアの居城でもあるシェーンブルン宮殿の一室(私が参加したときは白金の間の隣)で、W.A.モーツアルトやヨハン・シュトラウスの名曲を集め、弦楽四重奏プラス管楽器による生演奏が毎日聞ける。オペラやバレエもある。しかも、50〜70人規模を対象としているので、まさに目前で以下のバレエも楽しめる。


シェーンブルン宮殿白金の間の隣で(撮影:青山貞一)

 予約はウィーン中の比較的大きなホテルのフロントで可能。チケットは日本円で4000円(数年前の値段)、時間は毎日夜8時ごろから2時間、途中休憩が20分ほどある。詳しくは以下を見て欲しい。

青山貞一:真冬の夜のウィーン:シェーンブルン宮殿コンサート  

 もっぱら、ウィーンやザルツブルグでは、季節を問わず毎日どこかで本格的なクラシックコンサートをしているし、天気が良ければ路上でセミプロがクラッシックを演奏し、1000円ちょっとでCDも買える。

 下の写真(左)はホーエンザルツブルグ城の前でバラライカでシュトラウスの「春の声」Fruhlingsstimmen を演奏するセミプログループ。CDを買ったが演奏、音質ともに秀逸。

 どういうわけか、別のグループもバラライカとアコーデオンで演奏していた。こちらはモーツアルトの曲を演奏していた。いずれもさすがザルツブルグと言うべきか、演奏は秀逸。

ホーエンザルツブルグ城前でバラライカを演奏するグループ(撮影:青山貞一)