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パソコンの故障と速度低下
その主な原因と対策
青山貞一
掲載月日:2013年1月25日 独立系メディア E−wave


 大メーカー製、BTOショップ製、自作を問わず、パソコンの故障や速度低下の原因と対策について、以下に私の経験をもとに示したいと思います。

●パソコンの故障の原因と対策

 パソコンの電源スイッチを入れても起動しない、起動はするが再起動を繰り返す、起動時に有る程度まで行って止まる、稼働中にフリーズ状態になる、パソコンが通常通り終了しない、ファイルが破損しているなどパソコンに関連した故障は結構多いものです。とりわけ私のように仕事、研究、ボランティアなどでパソコンを酷使し続けている場合、それなりに故障が起きたり、速度低下が起きます。

 まずは故障ですが、その症状、原因には、

@電源系統の故障、破損、
Aハードディスクドライブの故障、破損、
B主メモリーの破損、ソケット抜け
Cシステム起動レジストリーの不具合、
DOS、ドライバー系の関連の不具合

などがあり、それらが単独あるいは複合化することによって起きる場合が多いはずです。

 ひとつひとつ説明しましょう。

@の電源系の故障、破損

 @の電源系の故障、破損は、おそらくパソコンの故障のなかでNo.1のものと推察できます。

 原因のひとつは、電源そのものの容量(ワット数)が小さく、パソコンを連続してフル稼働させる場合に、消費電力に耐えられずに発熱し、最後はトランスやヒートシンク、コンデンサなどの関連部品がやけ焦げることになります。

 以下はグーグル検索時にあった電源関連が不調な場合の症状です。

・100%の確率で電源入らず、うんともすんとも言わない
・時々電源は入るけれど、時々入らない
・一瞬PowerLED(電源ランプ)は点灯するが、約0.2秒で消える
・電源が入りファン類は回転するが、約3秒で切れる
・PC使用中に電源が落ち、再度スイッチを押しても入らない


小型電源の場合、容量が取れず故障の原因となることが多い


トランスが焼け焦げている

 上記の症状が出る場合には、最終的に電源系統のトランス、コンデンサ、ヒートシンク類などの部品に焼け焦げの臭いがするので分かります。

 たとえば、数時間かかるCPUをフル稼働させる動画レンダリング作業をする場合などに起きやすくなります。もちろん、電源容量が大きく、またCPUも4コアなどの場合は、同じことをしても障害は起きません。

 フル稼働しているかどうかを監視するには、<ctl>+<alt>+<delete>キーを同時に押した上で、<タスクマネージャーの起動>を選択してください。画面に時間経過を追って、CPU使用率とメモリ使用率がグラフと数字で示されます(以下の図参照、図はCore o5 750CPUの場合)。


 
 もし、ある作業をさせている場合に、CPU使用率は100%を長時間継続させるような場合は要注意となります。

 焼け焦げの臭いがするこの場合には、電源システムが壊れていることが多いので、同じサイズ(寸法、ワット数)の電源を部品として通販などで購入して入れ替えることになります。

 もし、パソコンのケースに余裕があれば、ワット数の大きな電源を付け替えることをおすすめします。寸法は各種の規格がありますが、小型ケースの場合、このサイズが厳密となるので要注意です。

 電源システムに、以下のマークが付いているかどうかもひとつの目安になります。私の経験では、薄型(スリム)なケースのパソコンの場合、どうしても大きさも小さく、電力容量も200W−250W電源を小型なものにせざるをえず、故障となることが多いようです。



 電源の価格には、3000円から100000円超までさまざまであり、ケースに付属しているものもありますが、あくまでも電源は余裕を見て選ぶことが大切です。


Aのハードディスクドライブの故障、破損

 Aのハードディスクドライブ(HDD)の故障、破損は、大別して2つあります。

 ひとつは、外付けHDDやノートPCの場合、HDDが机などから落下し、破損する場合です。私は、過去何度かこれを経験しています。ノートPCを持ち歩かないわけには行きませんが、デスクトップ用のHDDは出来る限り持ち歩かないに超したことはありません。

 もうひとつは、データなどを書き込んでいる最中に、100Vの電源がoffになった場合です。ノートPCの場合には電池がバッファーとなっており、AC電源が落ちても、1〜3時間は問題ありませんが、デスクトップPCの場合は、即座に電源が落ちるので、深刻な破損となることが多いようです。

 いずれのケースでも、場合によってHDDに入っているシステム系のファイルが破損し、パソコンが立ち上がらなくなることもあります。


内蔵ハードディスクの外観

 システム系に障害がない場合でも、アプリケーションソフト、また一番多いのはHDDにセーブしたデータ系ファイルに破損が及ぶことです。

 一件、問題なさそうな場合でも、落下や電源落ちがあった場合には、チェックディスクすることをおすすめします。物理的に破損していると、いくら再フォーマットをしてもHDDの複数のセクターは使用不可能となりますが、使っている上でそのセクターだけを避けて使用するのは困難なので、結局、そのようなHDDは使えなくなります。

 HDDが事実上使用不能となった場合は、慌てず騒がず慎重に、次の対応をしてください。

 システム系が健在な場合、PCは起動するのでOSの<コンピュータ>からC:ドライブなどに入り、OS,アプリ系以外のソフト、データファイルを外付けHDDや大容量のUSBメモリーなどにコピーしてください。ただし、場合によっては破壊されたセクターはコピーができない場合があります。

 次に、システム系が破壊されPCが起動しない、立ち上がらない場合には、電源のコードを抜いた上で、一旦PCのふたを開け、壊れた内蔵HDDを取り出します。次に、自分の別の健在なPCのふたを開け、SATAコードで取り出した内蔵HDDにつなぎます。PCを起動させると、OSの<コンピュータ>でD:なり、E:などのドライブとして認識されるので、OS,アプリ系以外のソフト、データファイルを外付けHDDや大容量のUSBメモリーなどにコピーしてください。ただし、この場合でも破壊されたセクターはコピーができない場合があります。

 HDDについては、仮に上記の2つの事故が起きなくても、<消耗品>であると認識する必要があり、データなどのバックアップを定期的にとっておくことがきわめて重要です。

 なお、内蔵HDDは、通販あるいはアキバのBTOショップで500GBが5000円前後、1TBが8000円前後、2TBが1万円から1万数千円、3TBが2万円から3万円で売られていますが、できれば郵送ではなく店で手渡ししてもらうのが安全です。


Bの主メモリーの破損、ソケット抜け

 Bの主メモリーの破損、ソケット抜けですが、これは思いの外あるものです。実際、私や同僚の鷹取が何度も遭遇しています。

 うまく起動しない、再起動を繰り返す、起動しながら途中で停止するなどの症状がある場合、このメモリー問題も疑う必要があります。

 市販品、BTO製品、自作を問わず意外と多いのが、このBのメモリーのソケット抜けです。マザーボードにあるソケットにキチッとメモリーの板が挟まっていなかったり、ゆるんでいたりするとパソコンの動作が不安定になったり、フリーズします。

 グーグルでの検索でも、この主メモリーの破損、ソケット抜けは結構多いものです。

 以下はグーグル検索時にあったメモリー関連が不調な場合の症状です。

電源が突然落ちる。
・パソコン使用中にブルースクリーンになる。
・何かのソフトやアプケーションを起動させるとパソコンが再起動する。
・上と似ていますが、クリックしたタイミングでパソコンが再起動する。
・電源は入るが、パソコンが起動しない、画面に何も表示されない。
・リカバリー(パソコンの初期化)・Windowsのインストールができない。
・パソコンが起動しない、起動中に再起動。


 メモリーが多い場合は、全部のスロットについて、キチッと差し込まれているかしっかりチェックする必要があります。また留め金がいい加減になっていると、最初は良くても時間が経つにつれ浮き上がってくる可能性があります。




ソケットにしっかりメモリー板が入っていることを確認する

 その場合には、一旦メモリーを引っこ抜き、再度キチッと音がするまでしっかり差し込むことで直ることがあります。

 一方、上記の対応をしても回復しない場合、ひょっとするとメモリーそのものがダメな場合があります。これは高額なメモリーだから安全、廉価なバルクものだから起きるというものでもないようです。

 このような場合、2列メモリー板を差し込んでいる場合は、2枚とも交換することをお勧めします。またこれを機会に、32ビットOSの4GBを、64ビットOSの8GBなどにグレードアップするのも手です。

 しかし、OSが32/64ビット選択の場合はよいとして、32ビット専用の場合には、64ビットOSを新たに購入する必要があります。


Cのスタートアップなどのレジストリーの不具合

 まずパソコンOSのレジストリについて説明します。

 ウィンドウズのレジストリとはアプリケーション設定、ユーザーパスワード、デバイスドライバ情報、ウィンドウズ設定、その他のWindows PC上の全ての設定を格納する階層型データベースです。アプリケーション設定は以前テキストベースの構成ファイルが各アプリごとの別ファイルとして格納されていました(一部のアプリでは未だにそうなっています)。ウィンドウズレジストリは全てのアプリに対しての設定を一カ所にまとめることにより、その問題を解決することを目的としています。システム設定を統合する以外に、これら全ての設定を一カ所にデータベース形式で格納します。これにより、テキスト構成ファイル解析よりも早くレジストリの値にアクセスすることが可能になり、設定以外の部分でレジストリを使用することが出来るようになります。実際、全てもしくはほとんどのレジストリは、システム起動の際に毎回メモリに読み込まれるため、レジストリへのアクセスを瞬時に行うことが出来るようになっています。出典
 

 Cのシステム起動関連レジストリーの不具合は、ハードディスクのデフラグやレジストリーのデフラグなどをしている最中に、電源が落ちたりして、本来必要となるレジストリーが部分的に破損したり、損失した場合に起きる可能性があります。したがって、デフラグ作業は慎重の上にも慎重に行わなければなりません。 


DOS、ドライバー系の関連の不具合

 パソコンの起動に不具合がおき、自己流で何度となく無理矢理、再始動させるなどをしているうちに、本来必要なOSのファイルの一部、ドライバーの一部が損傷することがあります。軽度の場合には、OSそのものの修復機能により修復されますが、重傷の場合は、OSを全面的に入れ替えることになります。Windowsの入れ替えについは、後述します。

 またOSの再インストール時に、使うマザーボード固有のドライバーやアプリケーション独自のドライバーをインストールし忘れると、特定のアプリケーションが稼働しないことがあります。


●パソコンの速度低下の原因と対策?

 次に故障ではありませんが、パソコンの速度が遅くなる場合の理由としてCPUそのもの以外では考えられるのは、

@アプリケーションのインストール数が多すぎる、
Aハードディスクがファイルで満杯近くになっている、
Bレジストリーの不具合、
Cテンポラリーファイルの蓄積、
Dウィルスチェックの存在、
ECPUそのものの能力不足

などがあります。


@アプリケーションのインストール数が多すぎる

 これは良くある事例です。

 @の対応としては、ほとんど使わないアプリケーションソフトをアンインストールすることが対策となります。

 一年に一回使うかどうかのソフトやドライバーをインストールしておくと、かなりの量になります。またソフトをバージョンアップしたとき、今までのソフトを残してインストールするときなどもこれに当たります。

 動画編集のアプリはかなり大容量になりますので、古いバージョンは原則としてアンインストールするようにします。もちろん、ある目的で頻繁に使用する場合は、その限りではありません。

 これらのアプリ系ソフトは、通常、OSのシステムと同居しC:ドライブにインストールされているので、Cドライブがもともと容量が少ない場合には、ドキュメントディレクトリー、ミュージック、ムーヴィーなどにあるデータファイルをD:ドライブなどに設置した別の内蔵ドライブか、外付けのHDDに移すようにします。

 可能ならハードディスクを一旦再フォーマットし、OS、アプリともに入れ替えるのがベストです。また安くなっている内蔵HDDを第二のHDDとして導入し、データファイル系はすべてその第二のHDDに仕舞い込むのがベストだと思います。


Aハードディスクがファイルで満杯近くになっている、

 Aのハードディスクがファイルで満杯近くになっている場合も、@とほぼ同様の対策がひつようとなります。

 データファイルを新たに導入した内蔵HDDに移すか、外付けのハードディスクドライブに移すようにします。その上で、満杯近くになっていたハードディスクにデフラグをかけます。 HDDのデフラグは、残りの使用可能バイト数が全体の10%以上ないと稼働しないものが多いので、何はともあれ、満杯状態を改善する必要があります。

 可能ならハードディスクを再フォーマットし、OS、アプリともに入れ替えるのがベストです。


Bのレジストリーの不具合

 Bのレジストリーの不具合については、レジストリーのクリーニングを行うことが対策になりますが、日本では、あまりこのレジストリークリーニングは、実施されていないようです。しかし、米国では、このレジストリークリーニングに加え、可能ならレジストリーのデフラグを定期的に行うユーザーがあり、それなりの効果を得ています。

 しかし、このレジストリーデフラグは、ひとつ間違うとパソコンが起動しなくなることもあるので慎重に行うとともに、定評のあるレジストリー・クリーナーやレジストリーデフラグのソフトを選ぶ必要があります。

 私は、以下のWise Registry Cleaner Free(無料)を使用していますが、この使用はあくまでも自己責任で行ってください。また無料ソフトを導入しようとすると、何度となく有料のソフトのダウンロードが出てくるので、あくまでもFreeのソフトをインストールしてください。

 WiseRegistryCleanerFree


Cのテンポラリーファイルの蓄積

 Cのテンポラリーファイルの蓄積は、一時的に各種のファイルをダウンロードしているはずのファイルがちりも積もれば巨大なファイルとなっていて、それが速度低下となっていることを意味します。

 通常、テンポラリーファイルの蓄積は、レジストリー・クリーナーなどのメンテナンスソフトに付属しているので、それを使えば良いでしょう。この作業は、定期的に行わなければなりません。

  私は、以下のGlary Utilities(無料)を使用していますが、この使用はあくまでも自己責任で行ってください。

 Glary Utilities


Dのウィルスチェックの存在

 Dのウィルスチェックの存在については、以前もブログで指摘しました。

 ノートンなどの有料ウィルスチェックソフトをOS上に常駐させると、それだけでCPUの使用率を上昇させ、シングルコア、2コア程度のCPUの場合、パソコンの実効速度を低下させます。

 これについては、以前お知らせしましたマイクロソフト社が無料で提供している以下のソフトが非常に有効であり、お勧めできます。以下のインストールと稼働も、自己責任でお願いします。

 Microsoft Security Essentials

 このソフトは、マイクロソフト社が使用を推薦するソフトウェアだけあって、適切、定期的に更新していれば効果は大であると思います。なお、更新は、絶えずあらたなウィルスやマルウェアなどが現れるため、MS社側がその都度、ソフトを更新していることから、ユーザー側もそれに対応しなければなりません。

 なお、上記のMS社のセキュリティチェックソフトをインストールする際には、必ずすでに使っているソフトを先にアンインストールしてください。


EのCPUそのものの能力不足

 EのCPUそのものの能力不足も重要です。

 しかし、よほど古いPC出ない限り、また高度な科学技術計算や動画編集などをしていない場合には、上記の対応さらに後述するOSの再インストールで十分速度は回復するはずです。

 過去10年間を見ると、インテル社やAMD社などのCPUメーカーは、頻繁に新製品を出しており、場合によりソケットまで変えています。そのため、新たなCPUだけを買ってきて、マザーボード上で入れ替えることはできないことになります。

 通常、パソコンは最低でも3年間は使うものだと思いますが、その間にCPUが2世代進化しています。上述のように場合によってソケットも変わります。

 同じソケットでCPUだけを替えることは可能ですが、その場合、CPUのクロック周波数が少しだけ上昇してもあまり大きな効果は期待できません。最低でもシングルコアがデュアルコアになるとか、デュアルコアが4つのコアにならないと体感速度や快適性は得られないと思ってください。

 なお、以下に科学技術計算の場合のCPUの速度テスト結果を示すので参考にしてください。

 ◆青山貞一:パソコンCPUの浮動小数点倍精度演算速度(早見表) 


●ひとつの決めては、OSの再インストール
 
 以上、いろいろ原因と対策について、私の経験の範囲で述べてきました。

 速度低下について最も有効な方法は、購入したときに付属しているWindows XP/Vista/7/8などのOS(DVD)やドライバを使いOSを再インストールすることです。

 私達パソコンユーザーは、正規版、DSP版を問わずWindowsなどのOSのDVDをしっかり保管することが重要です。これがないと、再度OSを購入しなければならず、1万円〜3万円も新たな出費となります。

 再インストールの方法は、購入したパソコン、BTOで買ったパソコン、自作したパソコンにより少し異なります。また32ビット/64ビットを選択してインストールできるOSと、32ビットか64ビットしかインストールできないOSがあります。その他、Premium、Professional、Ultimateなどの種類があります。


Windosw 7 のリカバリーファイル(DVD)の例


Windosw 7 のリカバリーファイル(DVD)の例

 再インストールは、あらかじめパソコンのドライブにOSのDVDを入れ電源を入れます。
 
 立ち上がる途中で<Delキー>などを押すと、OSの再インストールがはじまります。
 
 いわゆるDSP版の場合は、よほど多くの部品を交換した上で再インストールしない限り、プロダクトキーは要求されません。

 そのまま画面上のメッセージに対応して行けば、再インストールが出来ます。

 もし、DSP版でない場合には、途中でプロダクトキーを要求されるので、OSが入っていたケースかパソコンのケースに張りつけられた小さなラベルに記入された英数文字列を入れます。この字が異常に小さいので、別の紙に書き保管することをお勧めします。付属しているDVDに入っているOSのソフトは、万一紛失しても別のソフトでも問題なくインストールできますが、プロダクトキーはパスワード同様、紛失するとMS社から新たに購入しなければならなくなります。

 Windows 7 インストール&再インストール(マイクロソフト社)

 Windows 7 再インストールの流れ(手順)

 こうしてOSを再インストールすることで購入したとき同様の状態に戻ります。OS再インストール後、各種のアプリケーションやドライバーを再インストールすることになり。それなりの時間がかります。しかし、これを数年に一度繰り返せば、パソコンは購入時の速度と快適性を保持できます。