エントランスへはここをクリック   


シムシティを楽しむ! 
実複雑地形の環境都市
ルイス・ランディング


青山貞一 Teiichi Aoyama
掲載月日:2014年6月7日  
独立系メディア E−wave

無断転載禁


 実践Aは、前回の「カーソン・ショア」のとなりまち、「ルイス・ランディング」のまちづくりである。人口は現在9345人である。



 「ルイス・ランディング」も第一作の「カーソン・ショア」の隣だけあって、地形は複雑そのものである。

 違うところは直接海辺に面する場所がない点である。今回も前作同様、電力は風力発電と太陽光発電のみとし、高層ビルでなく戸建ての低層住宅でまちを構成してみた! 結果的に一切の起債発行無く、また住民税などの増加も無く、健全かつ持続可能な都市づくりが出来ている。

 ひとつ都市経営がうまく行くと、周辺地域で市長にならないかという誘いがでてくる。本編では触れないが、第三作目も当初市長として成功した「カーソン・ショア」や第二作である「ルイス・ランディング」の近くにある。いずれも超がつく複雑地形の土地、しかもはじめから前提条件として全体面積に制約がある点も同じである。

 最初に以下の写真をご覧いただきたい! 第一作の「カーソン・ショア」同様、米国のグランドキャニオンやモロッコのトドラ渓谷のように地形は複雑そのものだ。



 下の写真は「ルイス・ランディング」の薄暮の写真である。シムシティでは時間の経過ともに、日の出から日中、日没、深夜、日の出を来り返す。時間の経過加速度は、自分で3段階に変えられる。それぞれに名前が付いている。一番早い状態を「チーター」と言っている。例のネコ科のほ乳類チーターだ。いうまでもなく走るのが一番早いからだろう。

 薄暮だと地形の色が夕闇で黒くなり、まち全体の様子が分かりやすい。左上に@住宅都市、右側中段にA市街地、下側にB工業都市があることが分かる。シムシティでは時間変化に伴う光とともに、影、陰影が3次元で表現されている。

 ただし、パソコンの能力が低い場合を想定し、ディフォルトでは細かい影はつけられていない。もしパソコンに力がある場合は、設定で影をオンにするとよい。さらに映像のリアリティがます。下の写真では右側にある独立記念塔がライトアップされている。
 


ルイス・ランディング」も前作同様、小さくてもきらりと光る環境に調和した持続可能なまちづくりを都市経営の基本としている。事実、債権発行ゼロ、増税なしで黒字となっている。予行演習のときは、いろいろ試したが、日本型の箱物公共事業志向をやると、すぐに財政が破綻する。インフラ整備、ライフライン整備の基本を怠ると、市民の不満、企業主の不満が爆発し、市長がリコールされそうになる。すべての社会経済指標が公開されているので、知性のある市民が見れば、どこに問題があるかが一目瞭然となるからだろう!

 「ルイス・ランディング」は、繰り返すと、上の写真にあるように外部と高速道路で接続し市役所がある市街地と、その上段にある住宅都市、さらに下段にある工業都市の3つから構成されている。

 上の写真から分かるように、市街地と上段の住宅都市、下段の工業都市に行くには急斜面の道路を車で行くことになる。

 下の写真は上段の住宅都市から中段の市街地を見たところである。市街地と住宅都市とは2つの道路で結ばれている。下の写真では見えないが左側にも市街地に降りるための道路がある。また車が交通する道路とは別に、市民の健康を考えトレッキングや遊歩道が可能な非常階段的な小さな道路もつくっている。

 かなり勾配がきつい急斜面にあるが、道路や鉄道の軌道を路線選定する際、シムシティは一定以上勾配がある地形の場合、規制がかかるようになっている。ただ2013年版のシムシティではシムシティ4と異なり、地形を人為的に造成するコマンドはない。したがって、市長は地形を考慮して道路や軌道の路線選定をしなければならない。



 下の写真の右側に見えるのは住宅都市の給水塔である。給水塔はまち全体にいくつか設置したが、全部が電力同様ネットワークとなり、浄水を家庭に供給する。同様に下水道もネットワークとなっており終末処理場で処理される。

 シムシティでは相当ズームアップして見ることが可能だ。一軒一軒の家や樹木、街路灯などの精緻なデザインが見てとれる。さらに複数の子供がわいわいがやがや遊んでいる様子も見れる。



 下は少し角度を変えて撮影した写真である。上段の住宅地はかなりの標高にあることが分かる。遠くに見える橋梁は実践@の「カーソン・ショア」に行き来するための道路の橋梁である。



 下は建設途中の中段の市街地である。ほぼ中央奥に見える建物が市役所である。市役所の背景に断崖絶壁がある。右端にはワシントンDCの独立記念塔を模した塔を立てた。それより右側は急斜面の崖となり下段の工業地域となる。 



 下の写真は、「ルイス・ランディング」の中段にある市街地における「電気」の送電グリッドである。黄色い線が電気の送電グリッドである。幹線、支線があり、最終的に一軒一軒の家庭に電気が送電されていることが分かる。
 
 「電気」のコマンド・アイコンをクリックするだけで、どこにどう電気が供給されているのかが、すべて可視化される。これらの送電線は、複数の風力発電や太陽光発電所の変電、送電システムにネットワーク的につながっている。



 下はさらに断崖絶壁近くから撮影した中段の市街地と隣まちに行き来する道路の橋梁である。市街とは言っても、こじんまり、そしてゆったりとしているまちの様子が分かるだろう。さすがに写真手前にある岩山の上は建築規制がかかっている。



 下の写真は下段の工業都市を建設中の写真である。 年間を通じて吹く風は左から右の方面とあらかじめわかっている。したがって工業施設からの汚染が市街地や住宅地方面には行かない。土地利用指定する際、工業系土地利用や施設を選ぶと、指定段階で確認できる。工業都市とは言っても火力発電所や焼却炉など大気汚染を出す心配はない。

 闇雲に石炭火力発電所を立地、稼働させるとたちまち酷い大気汚染(スモッグ)がでて市民から苦情が出る。また本格的な病院が必要となるので財政的にも大変になる。

 面白いのは住宅地や商業地ひとつひとつに名称、何何ドーナツ店などとついている。ひとつひとつの工場、建物にも会社名があり、何をつくっている工場かが分かることだ。社長が大声で市長に文句言うこともある。その場合には音声と吹き出し字幕がでる。逆に市長が成果を出しているときは、市民が激励してくれる! これについては、そのうち市民生活の動画を撮影しYouTube化し、このシリーズに掲載したい。



 
◆シムシティにおけるまちづくりの手順(概要編)

 今回は、まちづくりの手順を簡単に話してみたい。

 下はシムシティにおけるまちづくりの手順について触れよう。あまりにも膨大、複雑なので最初は面食らう。しかし、まちづくりについてのVSP、すなわちビジョン(V)、シナリオ(S)、プログラム(P)をもつことが最も大切なことがシムシティを通じて確認できる。当然、それに関連しプログラムの具体的内容としてのスケジュールと予算、財政などバジェッティングが重要なことも分かる。

 シムシティでは、荒野からまちづくりがはじまる。ただし上述したように地形を改変するような造成工事はできない。

 以下が基本となるまちづくりにおけるインフラとライフライン整備のためのコマンドである。キーボードによるコマンド入力もあるが、分かりやすいアイコン(絵)をマウスでクリックするだけで司令は出せる仕組みになっている。


基本となるまちづくりにおけるインフラとライフライン整備のためのコマンド一覧

 具体的に見ると、左から<道路整備>、<土地利用指定>、<電力供給>、<上水道供給>、<下水道整備>、<廃棄物処理>、<市役所(シティホール)>、<消防署>、<診療所・病院>、<警察署>、<小中学校>、<公共交通機関>、<公園>、<災害>である。

 以下、上に掲げたアイコンのうち黄色でゴジック化した最初の3つについて簡単に紹介してみる。

 下は「道路」のアイコンを選んだ場合のメニューである。シムシティは道路づくりからはじまるが、それは同時に、まちのイメージ、土地利用と密接に関わっている。


「道路」のアイコンを選んだ場合のメニュー

 一番左は砂利の道であるが、右に行けば行くほど車線や幅員が広くなる。本格4車線、中央分離帯をもつ広さのものまで7種類もある。さらに直線、区画、曲線、円などで道路の路線を計画するためのアイコンもある。通常は一本ずつこまめに引くのだが、シムシティ2013版で曲線系が追加されている。

 道路は、電力線、上下水道などのインフラ、ライフラインがその下に入る。日本のように電信柱はない。すべて地下化されている。

 したがって、道路をどの位置に指定するかはまちづくりの根幹をなす。

 位置の指定とともに車線数、幅員、あとからモノレールや路面電車を入れるかどうかをあらかじめ計画しておかなくてはいけない。

 当然のこととして、幅員が広い4車線の道路の場合には、沿道の住宅、商業、業務、工業などの用途地域における容積、建坪率が高くなる。したがって高いビルの建築をしやすくするかそれともしにくくするかなどまち全体のイメージ、ビジョンとの関連性が重要となる。

 一方、中密度のまちづくりをする場合には真ん中より左の道路を使うことになる。とりわけ一般住宅地を計画する場合には中密度、低密度など片側1車線の道路を使うことになる。

 上述のように、道路は土地利用と密接に関連する。同時にインフラ整備、ライフライン整備とも密接に関係してくるので、これをいい加減にすると、取り返しが付かなくなる。

 次は土地利用のアイコンだ。



 シムシティでは、原則として森林、原野、湖沼、海、川などの原生自然以外は、<住宅地>、<商業・業務>、<工業>の3つの土地利用の指定しかできない。ただし、たとえば上説したように道路の種類また個別建築物、開発物などとの組み合わせにより同じ住宅地でも低密度、中密度、高密度とすることが可能となる。超高層のまちづくりもゆったり気分の農村ややすらぎのリゾート地にするかの選択にも大いに関係してくる。

 また当然のことだが、もともとある身近な自然や地形を生かしたまちづくりをすれば、経費がかかる人工的な植栽、植樹による公園は不要となる。単に見栄えだけがよい公園では存在そのものの意味が無い。

 道路、土地利用ともに、一度指定したらそれで終わりでは無く、道路指定や土地利用指定を変えるためのアイコン(コマンド)もある。ただし、道路と土地利用の指定は、まちづくりの基本中の基本なので、あまりいい加減にしてはいけない。

 また工業用地を指定する場合には、自動的に風向きが示される。住宅地の風上に工場用地があるとのちのち大気汚染などの公害が発生することになる。基本は住宅地の隣にはせいぜい商業地域であり、いきなり工業地域を指定してはいけないことは言うまでも無い。

 シムシティ4では、土地造成というコマンドがあったそうだが、シムシティ2013では、地形改変はできない。地形を最大限生かしたまちづくりが不可欠となる! またたとえば商業を指定すると、自動的にさまざまな店舗、商業活動施設が立地されていく。これを見るのも一つの楽しみである。さらに住宅地の場合には、隣近所の子供たちが声を出して遊んでいる様子も見える。

 次はライフラインの要、電力供給源である。下がメニューだ。



 左から風力発電所、石炭火力発電所、石油火力発電所、太陽光発電所それに原子力発電所がある。追加のバージョンでは、潮力発電なども加わっている。

 私の場合、大部分は風力発電所数カ所と太陽光発電所数カ所で7000人から1万人のまちの電気を自給自足するようにしており、それで大きな不足はない。当然、脱原発である。潮汐発電は加わったが、地熱発電はまだない。ゴミ発電がないのはよいことである。

 面白いのは、自分のまちに発電所がなくても、まちに財政の余裕があれば隣のまちなどから電力の供給を受けることが出来る点だ。まるでチェルノブイリ事故以降のイタリアやドイツである。もちろん、いつまでもそれに頼っていてはいけないが、重要な対応だと思う。

 さらに面白い所は、自分のまちに太陽光発電と風力発電などを多数立地し発電中心のまちづくりを行うことができることだ。他のまちに売電することをまちのミッションとしている。非常に面白いまちづくである。

 これは浄水、資源、廃棄物処理などについても同じである。他のまちから有料で買ったり処理を頼むことも出来る。さらに隣町からゴミ拾いのボランティアが来るなんていうのもあった!

 下はシムシティ4におけるウィンドファームの例。 ただし、シムシティ4に比べるとシムシティ2013では、この種の細工がしにくくなったようだ。この辺はまだ十分把握していない。さらにすごいのは、MODと言ってソフト開発が可能なユーザーが、さまざまな追加コマンドや施設モジュールを考案し、世界中のユーザーに提供できるようになったらしい。

 シムシティ本体のソフトが壊れると困るが、優れたユーザーが世界中に多数いるので、Maxis社のプログラマーだけで無く、彼らが参加し、オプションを増やしてくれると楽しい。また場合によってはアドオンのアプリをオリジン社、EA社経由であれ、これは500円、これは1000円と買えるようになれば、飛躍的にシムシティへの参加者が増えると思う。



 一方、以下はフランスや韓国、日本のような「原発」都市国家の例である。これだけはやりたくない(笑い)。



 その他、公共輸送機関にはオプションとして路面電車、電車(列車)、バス、船、飛行機さらにはリニア鉄道まである。この種の選択では投資額や金額が重要なものとなる。分不相応の選択をすると、すぐに破産してしまうことになる。一方、市民参加あるいや市民の要望で、バス停をあちこちに設置するだけで、車をもたない人々や高齢者にやさしいまちとなる。私の場合、低所得者層の女性からの提案で多くのバス停を設置している。

 さらに、インフラ、ライフラインコマンドでは、警察署、消防署、市役所、病院などでは、それぞれ何種類もの施設がある。最初から資金的な余裕がないのに立派な市役所を建てると財政が悪化するのはどこかの国のどこかの自治体の話しであるが、それが見事生かされている。警察、消防、病院、学校は重要だが人口規模を考慮して投資しなければならない。

 その他、公園も多くの種類がある。植樹との関連で高木のある公園、児童公園、都市公園などなどある。当然だが、これらも予算との兼ね合いがあるので、いきなり豪華な公園を造成すると都市の経営が悪化する。私が市長を務めているまちでは自然と地形を生かし人工的な公園は最小限にしている。 小学校、中学校などの学校も、子供がいない段階では不要である。

 一方、オンラインのマルチプレイであれば、研究学園都市をつくることも可能である。もちろん、この場合でも研究者のための住宅や商業施設は不可欠である。


◆「シムシティ」における「都市の特化」

 上記の一般的なまちづくりのコマンド群とは別に、先端工業、ハイテク、海外貿易、ギャンブル・娯楽、スポーツ、学術、超高層、メガタワー、未来都市などに「都市の特化」も行える。

 さらに歴史文化都市の特化がある。欧州に行くとどこにでも、旧市街がある。たとえば、文化都市を選ぶと、世界各国の歴史的文化的建築物がたくさんでてくる。礼拝堂、教会などもいろいろな種類がある。世界的に著名なドイツのブランデンブルグ門、フランスの凱旋門やエッフェル塔、米国のエンパイアステートビル、オーストラリアのオペラハウス、イタリアのピサの斜塔、ストックホルムやデンマークの庁舎、ロシア正教の聖ワシリイ教会、ワルシャワの王宮などなど、興味は尽きない。私達はその半分以上を実物で見ているので、さらに興味がわいてくる!

 なお、住宅やビルなどの建築物をドイツ、フランス、イギリスの昔の建築様式とするオプションもある(それぞれ1000円)。これを使えば、パリやロンドンライクな旧市街や町並みを造ることも簡単にできる。

 なお、都市の特化の一部は、おまけで付いてきたPlus EditionSimCity of Tomorrowをインストールすることにより使えることになる。下はPlus EditionSimCity of Tomorrowの内容である。

・メガタワー:RCIが複合した超高層ビル。単にシムたちが住むだけではなく、公園機能、消防・警察・病院の機能を持ち、さらにメガタワー同士を直結して交通渋滞を減らす事が出来る。詳細は公式ブログ記事「シムシティ シティーズ オブ トゥモロー: メガタワー」を参照の事。

・アカデミー:大学に似た機能を持つ。周辺から学生を集め、各種の施設やモジュールの研究を行う。詳細は公式ブログ記事「シムシティ シティーズ オブ トゥモロー: アカデミー」を参照の事。

・OmegaCo:オメガ(Omega)という資源を作りだし、それを近隣のRCI施設に販売 する事で莫大な利益を得る事ができるようになります。しかし、その代償として、石油と鉱石、水と電力を消費し、さらに甚大な公害をもたらします。詳細については公式ブログ「シムシティ シティーズ オブ トゥモローオメガ社(OmegaCo)」を 参照の事。

・新交通システム:高架鉄道「マグレブ」、メガタワー接続道路「スカイブリッジ」、空中移動する各種車両「ドローン」が登場。詳細についてはシムシティ シティーズ オブ トゥモロー:交通を参照の事。

・新災害:シムシティ4にもあった災害「ロボット」が追加。詳細については SimCity Cities of Tomorrow: New Disasterを参照のこと。

つづく