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シルクロードの今を征く

Now on the Silk Road

法門寺 珍宝館 地下宮E

(宝鶏市、中国)

青山貞一 Teiichi Aoyama  池田こみち Komichi Ikeda 共編
掲載月日:2015年1月22日 更新:2019年4月~6月 更新:2020年4月1日
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 本稿の解説文は、現地調査や現地入手資料、パンフなどに基づく解説に加え、百度百科中国版から日本への翻訳、Wikipedia 日本語版を使用しています。また写真は現地撮影以外に百度百科、Wikimedlia Commons、トリップアドバイザーさらに地図はグーグルマップ、グーグルストリートビュー、百度地図などを使用しています。その他の引用に際しては、その都度引用名を記しています

 中国宝鶏市にある法門寺の1988年に開館した法門寺博物館(珍宝館地下)Eです。

宝鶏市の法門寺珍宝館地下宮E

  

 次に進む前に、ここでは、2.後室八重宝函胎蔵界曼荼羅について中室捧真身菩薩曼荼羅について、 4.中室捧真身菩薩曼荼羅についてを法門寺博物館の前館長、韓金科氏の平成19年3月10日(土)に奈良国立博物館主催の講演レジメから概括しておきます。なお、出典は以下の通りです。

 出典:(No36) 韓金科先生特別講演会「法門寺塔地宮の文物と密教」聴講記 その2 
     韓金科氏は、法門寺博物館の前館長。
     平成19年3月10日(土)に奈良国立博物館主催で上記講演会が開催された
     http://chinaalacarte.web.fc2.com/bijututen-36.html

 2.後室八重宝函胎蔵界曼荼羅について

 (1) 八重の箱の構成について
  ア 第八重 銀棱 頂黒漆宝函(檀香木函)
    ※ 全体は紅錦袋に包まれている。一番外側の箱は保存状態が悪いが、他の保存
       状態は良好。
  イ 第七重 鎏金四天王 頂銀宝函
  ウ 第六重 素面(※ 箱の各面に飾りがない) 頂銀宝函
  エ 第五重 鎏金如来坐佛説法 頂銀宝函
  オ 第四重 六臂如意輪観音純金宝函
  カ 第三重 金筺宝鈿珍珠装純金宝函
  キ 第二重 金筺宝鈿珍珠装 石宝函
  ク 第一重 宝珠頂単檐四門純金塔(※ 四方に門の開いた金製の塔。内部に銀の柱があり、
      舎利はそこに挿したような形で安置されている)

 (2) 第四重如意輪曼荼羅の研究
  ア 宝箱正面の造像→唐密六臂如意輪観音曼荼羅
  イ 同左側面の造像→薬師曼荼羅
  ウ 同後面の造像→大日金輪曼荼羅
  エ 同右側面の造像→唐密釈迦金輪曼荼羅

 (3) 第五重釈迦説法曼荼羅の研究
  ア 宝箱正面の造像→唐密釈迦説法曼荼羅
  イ 同左側面の造像→唐密文殊説法曼荼羅
  ウ 同後面の造像→唐密大日説法曼荼羅
  エ 同右側面の造像→唐密普賢説法曼荼羅
  オ 同頂面の造像→唐密金輪曼荼羅

 (4) 第七重四天王曼荼羅の研究
  ア 右側面→東方持国天
  イ 前側面→南方増長天
  ウ 左側面→西方広目天
  エ 後側面→北方多聞天

 3.秘龕五重宝函金剛界曼荼羅について

 (1) 頂面唐密中台方壇内為金剛界大日如来、四波羅密、内四供養曼荼羅

 (2) 頂面唐密中大方壇外四供、四摂、四大神、四大明王曼荼羅
  ア 四供→東方阿閦如来、南方宝生如来、西方阿弥陀如来、北方不空成就如来
  イ 四摂(菩薩)→金剛鈎菩薩、金剛索菩薩、金剛鎖菩薩、金剛鈴菩薩
  ウ 四神→地、水、火、風神
  エ 五大明王→不動明王、降三世明王、軍荼利明王、大威徳明王、金剛夜叉明王
  ※ レジュメには最初「四大」明王とあり、その下に「五大」明王とあった。どちらが
    正しいのだろう?

 (3) 頂面変唐密金剛界曼荼羅宝珠、宝生草及三股金剛杵界道

 (4) 後側面為唐密東方阿閦如来及四親近曼荼羅
  ※ 前方:金剛薩凱菩薩(※ レジュメでは字が脱落していた。JIS基準外で印字されて
   いなかったのだろう)、右方:金剛王菩薩、左方:金剛愛菩薩、後方:金剛喜菩薩

 (5) 右側面唐密南方宝生如来及四親近曼荼羅
  ※ 前方:金剛宝菩薩、右方:金剛光菩薩、左方:金剛幢菩薩、後方:金剛笑菩薩

 (6) 前側面唐密西方阿弥陀如来及四親近曼荼羅
  ※ 金剛法菩薩、金剛利菩薩、金剛因菩薩、金剛語菩薩

 (7) 左側面唐密北方不空成就如来及四親近曼荼羅
  ※ 金剛業菩薩、金剛護菩薩、金剛牙菩薩、金剛拳菩薩

 4.中室捧真身菩薩曼荼羅について

 (1) 捧真身菩薩曼荼羅
   地宮中室には鎏金や珍珠で装飾された捧真身菩薩像がある。これは懿宗が咸通
   12年(871)に敬造したものである。

   菩薩像は吉祥天女的な造形をしている。
  ※ 画像については、HP「耀州窯と法門寺」右下の方の「法門寺地宮珍寶之謎」という
     ポスター参照

 (2) 金剛界五方五佛、大日如来三身陀羅尼、四波羅密、内四供、外四供、四摂之曼
    荼羅、十六大菩薩生、四大天王

  ア 五佛→大日如来、阿閦如来、宝生如来、阿弥陀(無量寿)如来、不空成就如来
  イ 四波羅密菩薩→金剛波羅密菩薩、宝波羅密菩薩、法波羅密菩薩、羯摩波羅密菩薩
  ウ 十六大菩薩→阿閦如来之四親近:上記3-(4)参照、宝生如来之四親近:上記3-
    ※ 参照、阿弥陀如来之四親近:上記3-
    ※ 参照、不空成就如来之四親近:上記3-
    ※ 参照
  エ 八供養菩薩
    内四供養菩薩:金剛嬉菩薩、金剛鬘菩薩、金剛歌菩薩、金剛舞菩薩
    外四供養菩薩:金剛香菩薩、金剛華菩薩、金剛灯菩薩、金剛塗菩薩
  オ 四摂菩薩 上記3-(2)イ
   ※ 四天王→東方持国天、南方増長天、西方広目天、北方多聞天

 (3) 胎蔵界中台八葉種子曼荼羅の研究

 (4) 八大明王曼荼羅の研究
  ア 降三世明王・・・・・金剛手菩薩
  イ 大威徳明王(六臂六頭六足金剛)・・・・・妙吉祥菩薩
  ウ 大笑明王・・・・・虚空蔵菩薩
  エ 大輪明王・・・・・弥勒菩薩
  オ 馬頭明王・・・・・観音菩薩
  カ 無能勝明王・・・・・地蔵菩薩
  キ 不動明王・・・・・除蓋障菩薩
  ク 歩擲明王・・・・・普賢菩薩
  ※ 大笑明王は軍荼利明王と同一と考えられている。


珍宝館Fつづく