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民主主義を自らかなぐり捨て
破壊する民主党
青山貞一
掲載月日:2012年11月2日
 独立系メディア E−wave Tokyo
無断転載禁


 いまさら言うまでもない、というか言いたくもないことだが、民主党は、三党合意などと言って、政権交代時、民主党に投票した有権者の意向を完全に無視し、こともあろうか自民党と公明党にすり寄り、談合して消費増税を行った。

 有権者が支持した政策、また公約、マニフェストにある政策であればまだしも、まったく公約にもマニフェストにもない公約を勝手に三党合意などと言って強行したこと自体、民主政治の破壊である。

 もとをただせば、2010年夏に棚ぼた的に首相となった、菅直人総理(当時)が、こともあろうか参議院議員選挙で消費税を増税して若者の雇用を増やすという、奇想天外なことを突然言いだし、民主党は参議院議員選挙に大敗した。

 民主党がいくら衆議院で過半数どころか当時2/3近くをもっていたとしても、参議院で過半数をもっていなければ大部分の法案は通過しない。中学生でも分かるこんなことを無視し、菅総理(当時)は信じられない増税政策を参議院議員選挙で持ち出し、大敗したのである。私はこれが民主党大転落の一大きっかけであると思っている。

 実質、半世紀続いた既得権益と官僚独裁政治を続ける自民党の悪政をヤメさせるため、民主党は国民、有権者の信託を受け政権交代を実現した。

 その過程で2009年3月、突然、小沢一郎代表の公設秘書の大久保秘書が逮捕された。その後、次々に秘書や元秘書で現役議員の石川衆議院議員まで東京地検特捜部は逮捕した。さらに小沢一郎衆議院議員の家宅捜査までしたものの、東京地検特捜部は、選挙資金規正法違反で小沢氏を逮捕、起訴することはできなかった。

 もとより、この冤罪事件は、民主党による政権交代を阻止したい勢力が、最高検など検察司法に圧力をかけデッチあげた可能性が大であることが、その後の調査でわかっている。もともと、小沢氏にかけられた嫌疑そのものが、他の国会議員ならたいしたお咎めもなく修正申告で済んでいることである。

 結局、あの東京地検特捜部が起訴できなったこの案件は、こともあろうか、第五検察審査会において2回にわたる起訴相当裁定により、小沢氏の強制起訴に持ち込まれた。

 しかし、元地検特捜部検事をつとめた郷原信郎弁護士(関西大学教授)が、その近著「検察崩壊 失われた正義」で述べ、また森ゆうこ参議院議員がその近著「検察の罠」で述べているように、またしても検察側が仕組んだ罠であったことがほぼ明確になっている。

 地検特捜部検事は、村木事件同様、調書を捏造してまで小沢強制逮捕に関与したことが明白になっているのである。これについては、元大阪地検公安部長の三井環氏がこの7月14日に刑事告発をしている

 私見では、果たして本当に検察審査会の委員が選定され、審査会が開催されたかどうかも疑わしいのである。

 要するに、民主党の政権交代を阻止するために、当時民主党の代表だった小沢氏に無理筋で行った一連の冤罪嫌疑が、この事件の根底にあったわけだが、にもかかわらず、小沢氏はこともあろうか、民主党の幹部から党員資格停止とされ、実質的に政治家小沢一郎は蟄居させられることになった。

 ここでの大きな問題は、そのような策動に新聞、テレビなどのマスコミがどっぷりつかり、その先兵として、また東京地検特捜部の犬となって何ら根拠がない嫌疑、容疑を連日連夜報道したことにある。

★小沢報道は全部ウソだったと謝罪の必要 日刊ゲンダイ

 もともと日本国民は、世界一新聞・テレビを鵜呑みにする国民である。これは国際調査結果で明確になっている(日本人の鵜呑度72.5%、英国人の鵜呑度12.5%)。

◆青山貞一:<検証>世界で最も「情報民度」が低い国民が日本人である
◆青山貞一:マスコミ報道「鵜呑度」、日本人70%、英国人14% You Tube

 ”けなげな”日本国民は大新聞、テレビが連日、報道したことですっかり悪いのは小沢一郎代議士であると思いこんできたのだが、その実態は、少しでも知性がある国民なら、容易に違うことがわかったはずだ。

 すなわち、事件の核心は既得権益や官僚支配体制に切り込む政治家小沢一郎をありとあらゆる手で葬り去ろうとしたことにある。

 最大の問題は、その策動に民主党幹部、とりわけ松下政経塾出身の幹部が乗ったことである。民主党の民主主義破壊の本丸はここにあると思う。

 小沢一郎氏が菅直人総理以降、蟄居させられ、その間に民主党は政権交代時のあらゆるマニフェスト、公約を反故にするだけでなく、国民、有権者が民主党に頼んでないことを次々にやりだしたのである。

 消費増税しかり、沖縄問題しかり、武器輸出三原則緩和しかり、TPP参加しかり、原発再稼働しかり、原発輸出しかりである。

 結局、政権交代の最大の立役者であるはずの小沢一郎氏を蟄居させた後、民主党は民主主義をかなぐり捨て、こともあろうか三党合意などと言いながら自民党や公明党と談合し、再度、日本を民主主義国家から程遠い、官僚独裁国家に舞い戻らせているのである。

 大マスコミは、この間、何の反省もないまま、第三極はどこかなどマヌケなことで特番を組んでいる。民主主義の基本が破壊されれば、さもなくとも人権が無視され、格差社会が進む日本社会の不幸は進むだろう。