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東京都市大学講義
「情報化と市民参加」
@7つの国際「幸福度」
調査結果
青山貞一
掲載月日:2013年1月12日
 独立系メディア E−wave Tokyo

無断転載禁


 日本人にはあまり知られていないが、「世界各国民の幸福度調査」がある。私が知っているだけでも5つ、6つの国際調査がある。

 なんとその「世界各国民の幸福度調査」において、日本国民は上位にいたためしがないのである。

 以下は、私が政策学校一新塾の基調講演や講義でたびたび引用するミシガン大学による国際幸福度調査の結果である。なんと日本の幸福度は世界で43位である。

 
出典:青山貞一

 上の世界の中の「日本」ランキングの多くは少々古いデータであるが、それを見てみると、教育予算がOECD28か国中最低とか、男女格差問題で日本は世界79位とか、民主主義ランキングで日本は20位とか、報道の自由度ランキングで日本は37位、環境保全能力が62位など、これで日本はまともな民主主義国であり、先進国であるのかと疑問を感ぜざるをえないことが多いのである。

 まじめで正直者が多いイメージが強い日本だが、実は日本人自身が知らないだけで、世界の中の「日本」を冷めた目で比較してみると、日本という国がそこに生活する人々にとって決して幸福ではなく、冷酷な実態が見えてくる。
 
 次に、幸福度に限って、世界各国の研究者らが行っている国際幸福度ランキングについて、その主なものを見てみよう。

 最初は、私が一昨年以来注目している米国ミシガン大学の研究者らによる幸福度ランキングである。このランキングは、毎年、スイスのダボスで開催されている世界経済フォーラム(WEF)、通称ダボス会議で公表されているものである。日本は43位である。

表  米国ミシガン大学幸福度調査ランキング

出典:ミシガン大学ロナルド・イングルハート(政治学)

 次はオランダの第二の都市、ロッテルダムにあるエラスムス大学のベンフォーフェン教授らによるランキングである。日本は46位である。

表   ロッテルダム・エラスムス大学幸福度ランキング

出典:ロッテルダム・エラスムス大学ベンホーフェン教授

 次はイギリスのレスター大学のホワイト教授らが行った世界178か国、8万人を対象とした国際調査の結果である。日本は90位となっている。

表   国際「幸福度」ランキング

出典:英国レスター大学ホワイト博士、世界178カ国8万人調査

 次は米国の有名な雑誌、フォーブスが行った世界155か国を対象としたギャラップ世界調査結果である。日本は81位である。

表  世界155カ国、幸福度ランキング

出典:フォーブス誌、2005〜2009年の世界155カ国
    ギャラップ調査  

 次は、先進国クラブと言ってよいOECD(経済開発協力機構)が行ったOECD諸国を対象とした幸福度調査である。順位は34か国中19位である。

表  OECD「幸福度」(Better Life)ランキング

出典:OECD

 次は、日本の国民生活選好度調査結果である。日本は欧州各国に比べ低くウクライナ並みであることが分かる。


図  日本と欧州諸国の幸福度比較
出典:国民生活選好度調査

 次は国民の幸福度と研究者の満足度という調査である。日本の研究者の満足度は一番低いことが分かる。


図  国民の幸福度と研究者の満足度、国際ランキング
出典:上記URL参照

 ただ、ひたすら経済、経済成長、成長戦略、欧州諸国からエコノミックアニマルと嘲笑されながらも、一丸となって働いてきた結果が世界でミシガン大学の調査で世界で43位、先進国の金持ちクラブであるOECD調査でも34か国中19位とは驚きである。

 その他の調査でも、ロッテルダムにあるエラスムス大学のベンフォーフェン教授らによるランキングでは日本は46位、イギリスのレスター大学のホワイト教授らが行った世界178か国、8万人を対象とした国際調査では日本は90位、米国の有名な雑誌、フォーブスが行った世界155か国を対象としたギャラップ世界調査結果でも日本は81位など、日本のランキング、評価結果はさんざんである。

 そしてミシガン大学、OECDはじめほとんどすべての調査からわかることは、日本国民が到底、幸福と感じていないことである。

 私(青山貞一)は、過去50カ国以上を現地調査、学会発表などで訪問してきたが、そこで実感したこととして、仮に経済的には日本よりはるかに貧しくても、歴史、文化を大切にし、家族や友人とのつながりを大切に生活をエンジョイしている国が欧州には多数あることがある。

 とりわけデンマーク、ノルウェー、スウェーデン、フィンランドなどのスカンジナビア諸国、カナダ、オーストラリアなど、自然や環境を大切にしながら生活の質を重視し、教育に力を入れている国もある。

 国際幸福度調査で分かったことは、欧州とりわけスカンジナビア諸国やカナダ、オーストラリアが幸福度ランキングで絶えず上位にいることである。

 この結果を見ると、何とかの一つ覚えのように経済、経済だ、成長戦略だと言っているどこかの国とはまったく異なることを示唆している。 すなわち、経済が重要ではないとは言わないが、上位にいる国々で大切なことは、そこに生活するひとびとの毎日が楽しく、明るく、子供やお年寄りが活き活きとしていることこそが大切なのではないだろうか。

 さらに重要なことは、この種の国際ランキングの結果は、政府はもとよりその御用学者そして政府の広報機関と化している大マスコミからほとんど国民に伝えられていないのである。

つづく