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バルト3国現地調査 フィンランド
フィンランドの概要

青山貞一 Teiichi Aoyama
池田こみち Komichi Ikeda

10 April 2010 無断転載禁
初出:独立系メディア「今日のコラム」

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【フィンランド・ヘルシンキ】 【ヘルシンキ歴史地区】
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●2010年2月21日(日) ヘルシンキの概要

フィンランドについて予習をしておこう!

フィンランドの国旗

フィンランドの紋章


 正式名称は、フィンランド語では Suomen tasavalta(スオメン・タサヴァルタ)、通称 Suomiスオミ)。スウェーデン語では Republiken Finland(レプブリケン・フィンランド)、通称 Finlandフィンランド)。公用語はフィンランド語とスウェーデン語。

 日本語の表記は フィンランド共和国、通称 フィンランド。漢字による当て字では芬蘭(古くは芬蘭土とも)と表記し、と略す。

歴史

 通常は先史時代(〜1155年)、スウェーデン時代(1155年〜1809年)、ロシアによる大公国時代(1809年〜1917年)、独立後の現代(1917年〜)の四つの区分に分かれる。

 フィンランドは「フィン人の国」という意味、スオミはフィン人の自称である。スオミの語源については多くの説が提唱されており定説はない。「フィン」についてはタキトゥスが残した「北方に住む貧しいフェンニ人」の記述が最古のものである。


出典:Wikipedia

 「スオミ」については古くはフィンランド南西端、バルト海沿岸にある都市トゥルクを中心とする限られた地域を指す単語であったのが、後に国土全体を指す単語に変容し、そこに住んでいたスオミ族の名が後にフィンランド語の名称になった。トゥルク周辺は現在では「本来のスオミ(Varsinais-Suomi)」と呼ばれている。

 1155年にはスウェーデン王エーリク9世は北方十字軍の名のもと、フィンランドを征服し、同時にキリスト教(カトリック)を広めた。

 1323年までにはスウェーデンによる支配が完了し、正教会のノブゴロド公国との間で国境線が画定したことで、名実ともにスウェーデン領になった。

 16世紀の宗教改革でスウェーデンのグスタフ1世がルター派を受け入れたため、フィンランドもルター派が広まることになった。カトリックの承認を得ずに司教となったアグリコラが聖書翻訳を進めたことでフィンランドは新教国としての性格を決定的にした。


出典:http://www.bjork.norden.ee/content_eng.php?nid=97

 1581年にはフィンランドの独立が模索された結果、フィンランド公国がスウェーデン王国を宗主国とする形で建国が宣言される。しかしこれは、フィンランドに植民したスウェーデン人が中心で長くは続かなかった。この時代のフィンランドはスウェーデン=フィンランドと呼称されており、スウェーデンによる大国時代を形成していた。

 1700年から始まった大北方戦争の結果の1721年のニスタット条約で、フィンランドの一部(カレリア)をロシア帝国に割譲された。 ナポレオン戦争ではスウェーデンの敗北で、1809年にアレクサンドル1世はフィンランド大公国を建国し、フィンランド大公を兼任することになった。その後スウェーデンが戦勝国となったが、フィンランドはスウェーデンにもどらず、ロシアに留め置かれた。

 19世紀の民族主義の高まりはフィンランドにも波及し、「カレワラ」の編纂など独自の歴史の探求が研究された。その一方でロシア帝国によるロシア語の強制などでフィンランド人の不満は高まった。

  1899年には、ニコライ2世がフィンランドの自治権を廃止すると宣言したため暴動が発生。ロシア総督ニコライ・ボブリコフ暗殺の惨事にいたり、ついに1905年には「自治権廃止」は撤回される。

 1917年にはロシア革命の混乱に乗じてフィンランド領邦議会は独立を宣言した。

 1918年に共産化し、オットー・クーシネンらがフィンランド社会主義労働者共和国(Finnish Socialist Workers' Republic)が成立する。

 その後ドイツ軍など外国の介入もあり、フィンランド南部で優勢だった赤軍は白軍・マンネルヘイムにより鎮圧され、1919年にはフィンランド共和国憲法が制定された(フィンランド内戦)。しかし、独立後の政情は不安定で1921年にスウェーデンと領土問題で争い(オーランド諸島)、さらに1939年から1940年のソ連との冬戦争では国土の10分の1を失った。

 第二次世界大戦(継続戦争)ではソ連と対抗するために枢軸国側に付いて戦い、一時は冬戦争前の領土を回復したが、ソ連軍の反攻によって押し戻され、良く持ちこたえたものの、1944年にソ連と休戦。休戦の条件として国内駐留ドイツ軍を駆逐するために戦ったにも関わらず(ラップランド戦争)、敗戦国として終戦を迎えた。

 戦後はソ連の勢力下に置かれ、ソ連の意向によりマーシャル・プランを受けられず、北大西洋条約機構にもECにも加盟しなかった。自由民主政体を維持し資本主義経済圏に属するかたわら、外交・国防の面では共産圏に近かったが、ワルシャワ条約機構には加盟しなかった(ノルディックバランス)。

 この微妙な舵取りのもと、現在に至るまで独立と平和を維持した。ソ連崩壊後には西側陣営に接近し、1994年にはEU加盟に合意。2000年にはユーロを導入した。

■フィンランドの人口の推移

 フィンランドの人口は、現在約520万人である。

Population of Finland,2000
Year Population Year Population
1750 421,000 1880 2,060,800
1760 491,000 1890 2,380,100
1770 561,000 1900 2,655,900
1780 663,000 1910 2,943,400
1790 705,600 1920 3,147,600
1800 832,700 1930 3,462,700
1810 863,300 1940 3,695,617
1820 1,177,500 1950 4,029,803
1830 1,372,100 1960 4,446,222
1840 1,445,600 1970 4,598,336
1850 1,636,900 1980 4,787,778
1860 1,746,700 1990 4,998,478
1870 1,768,800 2000 5,181,000

■フィンランド国内の都市

City   Population Land area Density  
Helsinki 583,549 213.66 2,731.2
Espoo 244,474 312.22 783.02
Tampere 211,633 525.03 403.09
Vantaa 198,039 238.38 830.77
Turku 176,242 245.7 717.31
Oulu 139,275 1,410.19 98.76
Jyvaskyla 129,676 1,171.17 110.72
Lahti 100,944 135.06 747.4
Kuopio 92,730 1,124.02 82.5
Kouvola 88,193 2,558.09 82.5
Pori 82,809 833.99 99.29
Joensuu 72,730 2,381.83 30.54
Lappeenranta 71,919 1,433.54 50.17
Hameenlinna 66,511 1,785.83 37.24
Rovaniemi 59,890 7,582.41 7.9


■フィンランドの民族構成

 フィンランドでは、ロシア系の人がほとんどおらず、フィン系以外ではスウェーデン系が6%を占めるに過ぎない。

民族構成(フィンランド)
フィン人
 ?
93%
スウェーデン人
 ?
6%
その他
 
1%


■フィンランドの宗教

 フィンランドの宗教は、バルト3国と異なり、プロテスタントのキリスト教であフィンランド福音書ルター教会が80%の割合を占めている。その他としては、フィンランド正教教会が1%程度ある。これらは80%近くがカソリックを信ずるバルト3国とは異なる。

year Evangelical Lutheran Church of Finland Finnish Orthodox Church Other Not religious
1950 95.7% 1.7% 0.4% 2.7%
1980 90.3% 1.1% 0.7% 7.8%
1990 87.9% 1.1% 0.9% 10.2%
2000 85.1% 1.1% 1.1% 12.7%
2005 83.1% 1.1% 1.1% 14.7%
2006 82.5% 1.1% 1.2% 15.1%
2007 81.8% 1.1% 1.2% 15.9%
2008 80.7% 1.1% 1.3% 16.9%
2009 79.7% [1]
(1) Church 2009 member statistics Evangelical Lutheran Church of Finland


■フィンランドの音楽

 フィンランドの音楽と言えば、このひとを除いて他にはいない!

 そう、フィンランディアの作曲者、シベリウスである。何はともあれ、フィンランディアを聞いてもらおう。スウェーデン、ロシア、ソ連の侵略から自力で独立を勝ち取ったフィンランド民族にとって、シベリウスとフィンランディアはおそらく神様のような存在であるに違いない。



 
つづく


【参考資料】
・地球の歩き方、「バルト3国、エストニア・ラトヴィア・リトアニア」、ダイヤモンド社
・Wikipedeia English Edition