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除染地域を年間積算1mSv
とした場合の推定対象地域
青山貞一  
東京都市大学大学院
環境総合研究所(東京都目黒区)
掲載月日:2011年10月17日
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 細野豪志大臣は年間1ミリシーベルト以上の地域も国が除染する、大見得を切った発言をしたのはよいとして、私たちが今まで行ってきました放射線量の現地調査との関連でも、年間1ミリシーベルトとなると、単純に時間線量で0.12マイクロSv/hを超える地域とした場合、福島県のほぼ全域以外に以下のように、かなりの地域が含まれることになります。 ただし、測定は地上1m高。

 0.12マイクロSv×8760時間=約1ミリSv/年
 ~~~~
 ・福島県は会津若松地区の一部を除きほぼ全域
 ・宮城県南部及び北部など
 ・山形県南部地域の一部
 ・新潟県東部地域のほぼ全域
 ・茨城県北東部、南部地域ほぼ全域
 ・栃木県北部地域ほぼ全域
 ・群馬県南部の一部を除きほぼ全域
 ・千葉県北西部ほぼ全域、南部(木更津市、君津市など)
 ・埼玉県西部全域及び東部(吉川町、三郷市、八潮市など)
 ・東京都東部及び西部(足立区、葛飾区、江戸川区、奥多摩地区など)
 ・神奈川県北部(相模原市、山北町など)

 ただし、上記は自然線量に事故による追加線量を加えた値です。

 とはいえ、当然のこととして、現状での自然放射線量は不明(測定出来ない)なので、福島第一原発事故以前の各地域の国設モニタリングポイントの値を自然線量としているようです。

 しかし、人間が実際に受ける外部被曝の放射線の積算量は、自然線量+事故による追加線量の合計であるので、自然線量を引いた残りの放射線量の年間積算線量が1mSvを除染すると政府が特措法の基準として決めても、意味がないと言うのが私の考え方です。

 さらに言えば、上記の地域のうち福島県以外の多くの地域は、除染の目標年次となる2年後には、<追加線量>の年間積算地は、1mSvとなることが予測されるので、今後2年間、それらの地域が除染されず放置されても特措法の基準内となります。これでは、細野豪志大臣は「年間1ミリシーベルト以上の地域も国が除染する」は、結局、政府が何をしなくても達成ということになりかねません。


 今回は東京から継続的に原発直近まで放射線量を連続に測定していますが、流山、柏、松戸周辺は非常に高濃度となっていました。

 この夏、群馬県北軽井沢で連日同一場所で計測しましたが、0.12マイクロシーベルト/hを超えていました。この場所は群馬県の最西部です。

◆青山貞一:人身惑わすNHKによる毎日・各地の放射線量情報

 上記以外でも、連日、スポット的に高濃度地点が発見されています。その中には間違い、誤差や発生源が原発以外からのものもありますが、今回の調査で明らかになったこととして、福島県内の放射性物質に汚染された瓦礫の直近で計測した放射線量は、10m近く離れて計った通常の地上1m高放射線量の数倍高いことがあります。

 もし、細野氏が大臣を務める環境省が今後、放射性物質で汚染された瓦間違いなくバックグランド濃度(背景濃度)が上昇し、除染の必要地域が増加することになると予想されます。


いわき市薄磯海岸の瓦礫の前で放射線量を計測する鷹取敦
撮影 青山貞一 2011.10.16 


小名浜港近くのアクアマリンパークでアスファルト瓦礫からの
放射線量を測定する鷹取敦
撮影 青山貞一 2011.10.16

<参考>
環境総合研究所の放射線測定結果
(第4回調査結果も近日中に速報予定)

第3回調査結果

◆宮城県・福島県北部放射線測定調査〜全265地点(速報)
◆東北新幹線車内での放射線量測定〜東京・福島・仙台間

第2回調査結果
◆福島放射線測定現地調査(詳細報告、21本一挙公開)