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その後(2)
福島原発事故で
本当に怖いのは魚介汚染
青山貞一
東京都市大学大学院
掲載月日:2011年11月17日
 独立系メディア E−wave 無断転載禁


 今朝(2月13日)で、公表後6日目で7000を超えるアクセスを記録しています。多くの方々が見られたことで、視聴者からの情報提供も相次ぎ、いろいろ新事実も分かってきました。

◆青山貞一「福島原発事故で、本当に恐ろしいのは魚介汚染」
http://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=ALvIdgc824Q#!

 とくに重要と思えるのは、国が公表している魚介類に含まれる放射能データですが、どうも国などは多くの魚を採取し、計りながら、低い値だけを選択して公表している可能性が大であることです。

 これについては国会議員の協力を得ながら、国に情報開示請求をしつつ真相を確かめます。

●底生魚の汚染

 動画でも伝えましたが、昨年秋以降は、海底近くに棲むアイナメ、ヒラメ、ホウボウ、メバル、カレイ、アンコウ、タチウオなどの底生魚の濃度が高くなっているはずです。事実、最近1800Br/kgを超える底生魚が福島県北部から報告されています(これは新聞などにはでていません)。

 鷹取敦さんの調査では、魚介汚染が深刻化する昨年秋以降、国の魚介調査の件数は減少しているとのことです。今年に入ってからの測定数は極端に少なくなっています(以下参照のこと)。

◆鷹取敦:水産物の放射能汚染の解析(1)生息域と汚染の変化
 http://eritokyo.jp/independent/takatori-fnp0008.htm

 高い値の底生魚が発見されても、国、県、漁協はいずれもその対策にまともに応えず、たらい回しし、マスコミも一切書かず、うやむやのうちに、産地偽装で食卓に高濃度魚介が到着している可能性があります。

 底生魚の濃度が今後高くなることは、先のNHKの特別番組の調査でも明らかになったことです。

●今後の予想(海流などとの関連)

 ところで福島県沖の海域は、親潮、黒潮、潮流が複雑に混ざりあいます。以下の図は、親潮と黒潮が混ざり合い向かう方向を示した概要図です。北からの親潮と南からの黒潮が福島県沖で混ざり合うことが分かります。


日本近海における親潮(緑)と黒潮(赤)の概略図
出典:Wikipedia

 下は水産庁の海産魚境類の放射性物質検査の実施の概要にある海流の図である。


出典:水産庁

 当然のこととして、汚染は潮流や海流によって移流し拡散します。

 そのため、動画にも掲載しました以下のフランス、米国の研究機関による海洋汚染シミュレーションにも明確にあるように、近海魚、沿岸魚、底生魚だけでなく、かなり沖合にも汚染が広がる可能性が大です。以下では汚染の程度を色で示しています。紫→赤→黄→白と濃度が下がってゆくことになります。

 以下は、フランスの Institut de Radioprotection et de Surete Nucleaire及び米国のNOAA(米国国家海洋気象局)、US Navey(米国海軍)、GEBCOが行った福島第一原発による海洋汚染のシミュレーションの一部。


福島第一原発事故による海洋汚染予測(海洋汚染系)
出典: Institut de Radioprotection et de Surete Nucleaire(France)


福島第一原発事故による海洋汚染予測(海洋汚染系)
出典: NOAA(米国国家海洋気象局)、US Navey(米国海軍)、GEBCO

 汚染がさらに太平洋全体に広域化したりベーリング海に拡大すれば、国際問題にも発展することは想像に難くありません。

 チェルノブイリ事故時でさえ、日本近海で2,3年汚染が続いたことからして、今後10年以上、海洋汚染が続き、太平洋側の魚介の汚染は継続する可能性があります。その意味でも、水産庁などがしっかり定期的かつ大規模に定点近くで試料採取した魚類を測定分析し、すべてを公表する必要があります。

 期待はできませんが、政府に提案したいと思います。

 とりいそぎ