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2018年・東日本大震災
復旧実態調査(福島県編)

南相馬・飯舘・福島・会津
空間放射線量率の連続測定結果


青山貞一・池田こみち 
環境総合研究所顧問
掲載月日:2018年7月28日 2020年3月11日第2次公開
 独立系メディア E-wave Tokyo
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 久ノ浜・末続 原発立地自治体放射線量 新地町1 新地町2 相馬市松川浦
 相馬市大洲松川線 南相馬市沿岸部 飯舘村(放射線量) 久々の会津若松



◆南相馬市・飯舘村・福島市・会津若松を走る
  車上1m高における空間放射線量率の連続測定

 先の報告で詳細を示したように、2018年6月18日、私たちは宿泊先の相馬市から一旦、福島県最北部にあります新地町に向かい、池田の知人の吉田博新地町議員宅によった後、相馬市の沿岸部から南相馬市の沿岸部を経由して一旦、南相馬市役所に行った。

 地元住民2名と会い議論し、昼食をとったた後、私たちは、南相馬市役所から飯舘村を経由し一旦、福島県庁に向かい、県庁で所用を済ませた後、この日の宿泊先である会津若松市に向かった。

 この後の調査としては、南相馬市→飯舘村→伊達市(115号:中村街道)→福島市(国道4号)→二本松市→大玉村→本宮町→郡山市(東北自動車道経由)→磐越自動車道へ→磐梯町→猪苗代町→会津若松市を対象に、乗用車を使って道路上での空間放射線量率を計測した。

 使った自動車車は「国道6号放射線調査」と同じトヨタプリウスの同型車である。調査方法も基本的に「国道6号放射線調査」と同じだが、飯舘村では車から降りて地上1mの高さで測定した箇所が数か所ある。

◆測定対象放射

 測定対象は主にガンマー線(γ線)である。ガンマ線(γ線、英: gamma ray)は、放射線の一種で、その実体は波長がおよそ 10 pm よりも短い電磁波である。ガンマー線は放射性物質が核分裂する際に放出される放射線である。

放射性核種の半減期

 ヨウ素  129 1870万年間
 ヨウ素  131 8日間
 ヨウ素  133 20.8時間

 セシウム 134 2年間
 セシウム 136 13.1日間
 セシウム 137 30年間


出典:放射能の正しい理解

 なお、線量計は米国製のDOSE RAE2。


出典:トヨタ自動車

 以下はグーグルマップで示した移動経路(走行ルート)である。

 ただし、所要時間は福島県庁などに立ち寄っており、あくまで参考である。

走行経路:南相馬市→飯舘村→福島市→...→会津若松市  

出典:グーグルマップ

 周知のように、飯舘村は除染を行っても依然として村内各所での放射線量は高いことが想定される。そこで、途中までは通常、南相馬市から県道12号線で福島市に向かうルートを走行した。

 その後、膨大な量の除染後の汚染土壌などをトンパックに入れ村内各所にフェンスで囲った敷地に「保管」している場所を多数目撃したことから、車は通常のルートを外れ、大量なトンパックの「保管」箇所でフェンス越しに放射線量を測定した。

 以下は福島交通バスの飯舘村・糠塚停留所の標識である。時刻は13時36分である。この後、除染土壌を入れたトンパックが多数保管されている地域に私たちは入っていった。


撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S9900

 以下は飯舘村の糠塚停留所で時刻表を確認する青山貞一。


撮影:池田こみち アイフォーン
 そのため、飯舘村では県道12号から芦原付近で県道31号線沿いに除染土壌保管地域で原則として車内の1m高で空間放射線量率の測定している。

 以下はその
飯舘村芦原付近県道12号から31号へのルートの詳細をトヨタプリウスのナビをもとに示するともに、グーグルマップ上に膨大な量のトンパックの設置場所を示してみた。

ナビの画像 (飯舘村芦原付近県道12号から31号へのルート)

出典:トヨタプリウスのナビ


福島県飯舘村県道12号線及び31号線脇の除染土壌保管地域での測定場所

出典:グーグルマップをもとに池田こみちが作成
 以下のグラフは上述のルートを走行した乗用車内で連続測定した空間放射線量率である。

 測定高は上述のようにGLから1mである。グラフ中、青線は実測値であり、赤線は車外/車内の比を1.3として補正した放射線量率である。

 ※ 車外/車内の比は、当日及び翌日の飯舘村での実測結果に加え、
    一般的遮蔽率である0.8(=1.25)を考慮し、ここでは1.3とした。


 グラフ1において13時39分あたりから13時47分にかけ高い線量率がみられるが、これらは上記の福島県飯舘村県道12号線及び31号線脇の除染土壌保管地域での測定結果である。最高値は補正前の実測値で約1.5μSv/h 、またグラフ2では、約1.5μSv/h となっている。


撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S9900


撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S9900


撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S9900


撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S9900


撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S9900

 これらの測定値は、いずれもフェンスの外側から測定した値であるが、フェンス内部でトンパック近傍で測定した場合には、上記の2倍以上となる可能性がある。現地には多数の作業員がおり、除染土壌の保管処理にあたっていた。

 なお、汚染状況重点調査地域の指定や除染実施計画を策定する地域の要件である毎時0.23マイクロシーベル ト(μSv)との対比では、今回走行した飯舘村の高汚染地はもとより、多くの地域で0.23マイクロシーベル ト(μSv)/hを超えていることが分かった。これは膨大な費用と時間をかけ飯舘村内で行われてきた除染作業にもかかわらず、トンパック保管地域周辺で高い放射線量が依然としてあること、また14時10分までのトンパック非保管地域でも0.23マイクロシーベル ト(μSv)/hを超えており、依然として帰還が困難であることが分かった。
  

グラフ1


グラフ2

 以下は磐越自動車道を走行中の写真である。時刻は16時36分である。


撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S9900

 以下は2018年6月18日の宿泊地でもある会津若松市の会津若松インターチェンジである。時刻は17時07分であり、上記のグラフの右端の時刻と一致する。
 

撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S9900


つづく