エントランスへはここをクリック   


伊藤詩織氏

FCCJ会見視聴雑感

青山貞一 Teiichi Aoyama
東京都市大学名誉教授(公共政策論)
掲載月日:2017年10月25日  
独立系メディア E−wave Tokyo


 以下は、2017年10月24日、東京有楽町の公益社団法人 日本外国特派員協会(以下、FCCJ)で開催されたの伊藤詩織氏の会見の写真です。写真は全体の半分以下ですので、ざっと、FCCJ200名以上の国内外のジャーナリストが参加していました。


出典:The Page 中継録画の一部静止画


出典:The Page 中継録画の一部静止画

 25日夜になって、ざっと調べたところ、昨日(24日)の伊藤詩織さんの会見内容を記事、ニュースにした大手メディアは、朝日新聞、産経新聞、毎日新聞だけ、あとはハフポスト(朝日新聞系)はじめネットメディアだけのようです。

 自分たちが批判されると一切無視する日本の大メディアの習性はいかんともしがたいと思います。また批判が安倍政権下の警察幹部に及んでいるからか、NHK,テレビ朝日、日本テレビ、読売新聞、日経新聞などはスルーしているようです。 
 
 もっぱら、元テレビ朝日社員が東京都目黒区在住時代複数の若い女性を強姦し、逮捕、起訴され、裁判で実刑10年間を言い渡され、刑務所服役し後、すぐにまた、強姦を働いて再逮捕されていますので、人ごとではありません。


 実は、今年の事件以前に、現場近くで起きた複数の強姦事件も、この元テレビ朝日社員が行ったの可能性が高いとして現在、警察・検察が調査中です。

 さらに、ご承知のように、NHKもやはり類似の事件を抱えています。ということは、テレ朝やNHKは伊藤詩織氏の一件については何も言えないのでしょうか? とはいえ、事実は事実として概要を報道すべきではないのでしょうか?

 
 さて、2017年10月24日の伊藤詩織氏の会見では、当然のこととして、質疑において、なんで、この2017年5月の時点でFGCJに伊藤詩織氏が要望した会見をFCCJ側が拒否したのか、という質問が参加者からでました。

 これに対し、会場内にいたFCCJ役員(おそらく会長)は、要約すれば、本件は、逮捕、立件されていない、また裁判や検察審査会の判断が下されていないから、と苦し紛れの返答をしていました。
,
 しかし、その主張は おかしいのではないでしょうか?
,

伊藤詩織氏  出典:The Page


伊藤詩織氏の弁護士  出典:The Page

 たとえばあの有名な桶川事件を見るまでもなく、この種の事件、問題では、被害者からの声に早めに対応しないと被害が拡大するという傾向があります。事実、桶川事件で被害者は死亡しています。

 刑法上、強制性交等罪(従来の強姦罪の改正)は、重罪であり、現に 元テレビ朝日社員の強姦事件では、先に書いたように実刑で10年間の懲役刑となっています。にもかかわらず強姦関連事件が立件されることが著しく低い(推定で20分の1という数字もある)のは、被害者がその後を考慮し、警察や検察に(刑事)告訴しない、被害届を出さないことが多いからだとされています。
,
 
◆強制性交等罪とは

  強制性交等罪とは、暴行又は脅迫を用いるなど、一定の要件のもとで性器を被害者の性器、肛門又は口腔へ挿入する行為(強制性交等)を内容とする犯罪類型。刑法177条から180条に定められる。

 性犯罪の中で最も重い犯罪とされる。
かつては被害者が女性の場合のみに限定されていた強姦罪が存在したが、2017年(平成29年)7月13日に、男性が被害者の場合を含む性別不問の強制性交等罪の規定が設けられたことに伴い、強姦罪は廃止され、強制性交等罪がその役割を引き継いだ。

 なお、従来の強姦罪の法定刑が3年以上の有期懲役から、5年以上の有期懲役に引きあげられた


◆準強制性交等罪(準強姦罪)とは

 暴行又は脅迫を用いて,暴行・脅迫を用いて,姦淫や肛門性交,口腔性交等の性交類似行為を行った場合,強制性交等罪(旧強姦罪)が成立します。これがいわゆるレイプです。

 これに対して,準強制性交等罪とは,心神喪失又は抗拒不能となった人に対し上記行為を行った場合―例えば,酩酊し,抵抗できない状態となった人に性交等を行った場合―に成立します。(すでに酩酊状態となっている人に上記行為を行った場合にも成立します。)

 「準」強制性交等罪とはいうものの,「軽い」強制性交等罪という意味ではなく,強制性交等罪と法定刑が同一の重大犯罪です。(5年以上の有期懲役)

,
 私見では、おそらくFCCJの日本側会員(TBSはじめ多くの大メディア)からいわば同僚である山口氏をかばう声て5月時点での会見が見送くられたのではないかと推察されます。

 ちなみにFCCJ側は、5月時点では会見の開催に反対の数が多かったが、10月の今回は検察審査会の判断が下ったあとで賛成が多かったと述べていました。

 しかし、伊藤詩織氏が会見で述べていたように、検察審査会はまるでブラックボックスであることはいうまでもありません。審査会の審査結果のみが公開されるだけで、審査過程はもとより審査要旨すらでていません。

 詩織氏によると、やっとのことで審査員の男女比が男7人、女4人、平均年齢51歳を聞き出しただけと述べていました。そしてその検察審査会には、詩織氏自身また弁護士が一度も呼ばれていないとも述べていました。果たして、審査会ではどのような情報提供、議論が行われたのか、まったく闇の中であることは言を待ちません。

,
 さらに昨日の会見で非常に気になったのは、司会(FCCJの女性役員)が、後半、TBSや日本の大メディアへの批判的コメントが出はじめた時点で、あと10分で会見を終えるように何度も伊藤詩織氏に伝えていたことです。
,
 いつもなら予定時間より10分程度遅れても、何ら問題ないはずなのに、日本の大メディアへの批判コメントが増えてきたら、そそくさと会見をやめさせようとしていたと思えます。
,
 一方、その中で、TBSのJNN報道特集の金平キャスターが会場から挙手し詩織さんに対して詫びを述べ、また上杉隆氏が山口某が帰国時はすでにワシントン支局長を辞任していたと彼女に情報提供するなど、日本側ジャーナリストの良心を垣間見る場面もありました。
 
 下の写真は伊藤詩織氏会見で質問に立った金平JNN報道特集キャスター(TBS)です。
,

出典:The Page 中継録画の一部静止画

 以下はオリコン・ニュースの記事です。

 元TBS金平氏「元同僚に非常に怒りを覚える」、
 伊藤詩織さんの記者会見で強く批判

 https://www.oricon.co.jp/article/325259/

 いずれにせよ、FCCJも、日本のメディア風土である権力忖度や護送船団そして閉鎖性など、大メディアの影響を受けているなと感じた次第です。


追記  男女格差.ジェンダーで日本は 世界111位

 いくら安倍首相が自画自賛で力んでみても、評価は他人がするもの、すべきものです。日本は多くの指標のなかで到底、G7,先進国とは言えないものが多数あります。
.
 以下はその最たるものです。とりわけいつになっても改善されないのは、男女格差 ジェンダー指標です。また報道自由度も低いままです。

 またジニ係数とは別に新たに設定されたOECDの経済民主主義指数でも加盟35カ国中、31位となっています。
.
 さらに総合指標である「幸福度」でも、国連による最新調査で51位です。もっぱら、G7諸国で10位以内はカナダくらいです。富国強兵の覇権系諸国の国民はいずれも幸福ではないという結果が出ています。
,
 男女格差 ジェンダー          111位
.
 報道自由度                72位
.
 経済民主主義指数(OECD)    ワースト4位
  ※これは格差についての新たな指標
.
 幸福度(国連)               51位