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国基準三千倍の六価クロム
都立大島小松川公園
現地視察(速報-1)
青山貞一 Teiichi Aoyama  池田こみち Komichi Ikeda
環境総合研究所顧問(東京都目黒区)

掲載月日:2013年10月12日

 独立系メディア E−wave
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 荒川区東尾久の「環境基準の1100倍もある土壌中ダイオキシン」の現地報告と動画を公開したところ、多方面から多くの反響やご意見が寄せられました。マスコミからも意見が寄せられました。感謝いたします。

◆池田・青山:東京で国の基準1100倍のダイオキシン検出 You Tube
◆青山貞一:基準千倍超ダイオキシンの荒川区東尾久、都有地現地調査
◆池田こみち:荒川区内工場跡地、基準千倍超の土壌ダイオキシン
◆青山貞一:基準千倍ダイオキシンの発生原因についての推察 

 寄せられたご意見の一つに、東京臨海部近くといえば、江戸川区と江東区の境界線上にある旧日本化学工業の工場跡地で現在、都立公園となっているところで、国の環境基準の3000倍もの六価クロムが集水枡の水から発見されていますよ、というものがありました。

 何でもすぐに現地調査に行くのが、青山、池田流なので、昨日(2013-10-11)、夕方に現地に出かけました。下はグーグルマップで見る江戸川区と江東区の境界にある都立公園の位置です。


グーグルマップで見る江戸川区と江東区の境界にある都立公園の位置

 東京都目黒区大岡山にある環境総合研究所から江東区と江戸川区の境に位置する小松川1丁目までまで車を飛ばして、といいたいところなのですが、当初首都高速に乗ったら「首都駐車場状態」となっていたので、溜池付近で首都高を降り、一般道で都心を横切ることにしました。

 しかし、東京の西はずれから東はずれまでは直線25km程度ですが、都心を回るルートを取ったこともあり、結構、時間がかかりました。


やっと江東区に入る
撮影:青山貞一 Vicotor GZE265B 2013-10-11渡り直す

 やっとのことで、荒川にかかる大きな橋(葛西橋)まで来たものの、その橋を渡ってしまったため、目的地から大幅にずれ、何度か荒川を行き来し、最終的に江戸川区から荒川を渡り、東大島駅近くで一旦停止しました。


荒川を何度も撮影
撮影:青山貞一 Vicotor GZE265B 2013-10-11渡り直す


撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 2013-10-11

 ここには荒川の堤防があります。

 荒川の堤防を都営新宿線の東大島駅まで歩きました。上の写真のように、すでに日は暮れかかっていました。


荒川の堤防沿いに東大島駅近くまで来る
撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 2013-10-11

 このあたりは、小松川千本桜で有名なところです。


撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 2013-10-11

 ここでグーグルの地図や新聞記事などで再度場所をチェック。

 下は現地の航空写真です。点線で囲われたところが江戸川区小松川一丁目、左側が江東区ですが、目的地は、ぎりぎり江戸川区にありました。現地調査の目的地は、中川と荒川に挟まれたエリアの中央を通る新大橋通りの北側になります。


対象地域の空撮写真。右上にある円い公園が都立大島小松川公園
出典:グーグルマップ

 グーグルマップの立体地図で見ると以下のようになります。調査目的地は、超高層住宅側の上側(北側)の道路下から公園となります。


都立大島小松川公園と超高層住宅群との位置関係。目の鼻の先である
hana出典:グーグルマップ

 超高濃度の六価クロムが東京農工大の先生らによって検出された場所は、東大島駅からほど近い、小松川一丁目の超高層アパートの下のあたりであることがわかりました。

 そこで車で新大橋道路高架橋の下にある駐車場に車を停めました。下は高架道路の下にある駐車場に車(トヨタの赤いアクア)を駐めたところです。


高架橋となっている新大橋通りの下にある駐車場に車を駐めた
撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 2013-10-11

 下は私たちが車を駐めた駐車場と超高層住宅群の位置関係です。下の図中、現在位置とあるのが駐車場です。都立公園は現在位置より下側一帯に広がります。


駐車場と超高層住宅群の位置関係
撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 2013-10-11

 この駐車場の正式名称は、江戸川区東大島駅駐車場です。

 実はこの駐車場のあたりが東京農工大学の先生らがますの中の水をサンプリングした場所であり、すぐ隣は日本化学工場跡地で、現在は東京都江東区と江戸川区にまたがる大きな都立公園(東京都立大島小松川公園)となっています。

 下の写真は、新大橋道路高架橋の下に池田がいますが、そのすぐ右側のみどりがある場所が旧日本化学工業があった場所であり、現在、東京都立大島小松川公園がある場所です。
 

高架となっている新大橋通りの橋脚。右は都立公園
撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 2013-10-11

◆六価クロムとは

 クロム(原子番号24の元素)化合物の形態の総称。おもな六価クロム化合物としてクロム酸、重クロム酸カリ、ニクロム酸カリウムなどがある。

 強力な酸化剤として働き、電気メッキ、酸化剤、金属の洗浄、黄色顔料などに広く使用されている。非常に強い毒性をもち、環境基準値は0.05ミリグラム/リットル以下。

 皮膚などに付着すると皮膚炎や腫瘍を起こし、長期間体内に取り入れると、肝臓障害・貧血・肺がん・大腸がん・胃がんなどの原因となりうる。

 化学工場跡地など六価クロムに汚染されている場所は日本全国にあり、2012年に東京都の都立公園周辺で基準の220倍の六価クロムが検出されるなど、たびたび問題になっている。

出典:http://kotobank.jp/word/%E5%85%AD%E4%BE%A1%E3%82%AF%E3%83%AD%E3%83%A0

 以下は、江東区役所による六価クロム汚染問題についての解説です。

 今回、私たちが現地調査を行った目的のひとつ、都立公園の南側にある新大橋通り高架橋の橋桁下のますから採取した水から環境基準の3000倍もの六価クロム汚染については、 「平成24年4月及び平成25年1月にわんさか広場の北側入り口付近において見られた滲出については、東京都において滲出水の還元処理及び清掃を実施し、補修工事を行いました」とあるのみです。

 当初、六価クロム汚染禍が見つかってから、かれこれ半世紀を経過しつつある今、環境基準の3000倍もの汚染が第三者(東京農工大学グループ)によって検出された事実をあまりにも軽視していると言わざるをえません。 

◆六価クロム鉱さい問題(江東区)

土壌処理の経緯

 昭和40年代後半から昭和50年代前半にかけて、日本化学工業(株)小松川工場から排出された大量の六価クロム鉱さいによる土壌汚染が江東区大島地区等や江戸川区内で確認されて大きな社会問題になりました。

 本区は昭和46年に日本化学工業グランド跡地に野積みされていたクロム鉱さいから六価クロムを検出し、同社や東京都に対して対策を要請しました。

 昭和48年5月には東京都に対して早期の対応の申し入れを行った結果、東京都は環境、住民健康、上水道等の調査を本区や江戸川区とともに行いました。本区はさらに昭和50年8月に「江東区六価クロム等問題緊急対策本部」を設置して、健康診断、公共施設の土壌調査や環境調査を行いました。

 東京都は、昭和54年3月に日本化学工業(株)と「鉱さい土壌の処理に関する協定」を締結しました。以降、この協定にもとづいて六価クロム鉱さいの処理が行われ、江東区内には3ヵ所の処理地が設置されて平成12年5月に処理は終了しました。

処理後のモニタリング調査(東京都実施)

 東京都は毎年、江東区と江戸川区内の処理地で、定期的に大気(9地点)と水質(5地点)について六価クロム等のモニタリング調査を行っています。24年度の調査結果によれば、大気中から六価クロムは検出されませんでした。 また、旧中川等の河川水から六価クロム、全クロムは検出されませんでした。

 平成24年4月及び平成25年1月にわんさか広場の北側入り口付近において見られた滲出については、東京都において滲出水の還元処理及び清掃を実施し、補修工事を行いました。

出典:江東環境清掃部 環境保全課 調査係


つづく