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自然力を生かし
幸せが実感できる
持続可能なまちづくり
A自然との共生

青山貞一 
掲載月日:2013年9月3日
 独立系メディア E−wave Tokyo

無断転載禁

目 次  
@ 1世紀後を見据える    E 国を滅ぼす巨大事業
A 自然との共生    F 発想を変えよう
B 「循環型」まちづくり    G 必要な社会変革者
C 「幸福」まちづくり    H 青山からの政策提言
D 「脱」土建公共事業   

 次に、自治体の将来、それも100年先を見据えた将来を展望する際には、自然と人間、さらに自然・環境と経済社会の共生が重要なテーマとなります。とりわけ地球温暖化がもたらす異常気象が顕在化し、灼熱地獄が現実の物となってきた現在、このテーマは、きわめて重要だと思われます。



 今の日本そして世界各地では、従来の産業公害、都市生活型公害の環境問題から、ひとつひとつの影響は小さくても、まとまると大きな影響をもたらす地球環境問題が深刻なものとなりつつあります。いや深刻化しています。

 世界では毎年四国の面積ほどの森林がなくなり、それにつれ多くの生物種が絶滅しています。これは人類生存の危機の前触れといえます。

 幸い設楽町は、町の面積の90%が森林、自然と人間との共生は十分可能となっています。





 今年の異常気象は、単なる気圧配置や前線の停滞だけで説明できないほど深刻化しています。

 これは言うまでもなく、地球温暖化現状が顕著になってきたからです。大都市では、さらに地球温暖化に加え、熱孤島現象(ヒートアイランド現象)が加わり、夏の大都市は到底、ひとが生活できる場ではなくなっています。



 地球温暖化は、「茹で蛙」にたとえられます。

 初期の段階ではほとんど何も感ずることがないにもかかわらず、ひとたび大気中のCO2の濃度が増え出すと、急激に地球温暖化が加速して行くからです。

 今や人間社会は、その加速段階に入っています。加速段階になると、なかなか以前の段階には戻れません。

 というのも、今や二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスの排出による温暖化は、日本、欧米などの先進諸国からの二酸化炭素の排出だけでなく、中国、インドなどあの京都議定書に加わっていない多くの国々からの排出が看過できなくなっているからです。さらに人口爆発している発展途上国からの二酸化炭素の排出も増えています。


青山が9年間在籍したローマクラブの「成長の限界」報告の一部
38年前にCO2による地球温暖化に警鐘を鳴らしていた!
出典:成長の限界、ダイヤモンド社

 3.11以降、日本では石油、天然ガス、石炭を燃料とした火力発電所が激増していることも、温暖化を加速する大きな原因となっています。

 この地球温暖化は、下のスライドにあるように、今後急激に進むと世界中の科学者が参加するIPCCという科学的な研究の収集、整理のため学術的な政府間機構が警鐘を鳴らしています!



 では、地球温暖化が進むとどうなるのでしょうか?

 以下に日本国内で想定される温暖化の影響を列記してみます。

 温暖化による深刻な影響は、当然のことながら大都市で深刻になりますが、地方都市も例外ではなくなります。事実、今年の大降雨は全国各地で甚大なものとなりました。温暖化の影響は、当然、農業生産にも及びます。

 そして地球温暖化の最も深刻なリスクは、「高齢者の死亡リスク」であり、これは年々深刻化しています。



 では、昨今の気候変動による豪雨、灼熱化など地球温暖化が進み、ひとびとの生命にまで影響が及ぶなか、これからのまちづくりはこの問題にどうたちむかうべきでしょうか? 

 もちろん、温暖化の本質的な対策は、温室効果ガスの削減を減らすことです。しかし、上述のように温暖化は一地域、一国の問題ではなく、世界各国、地球全体の問題なので、その具体的な対策は、一世紀、二世紀にわたるはずです。
 
 さらに言えば、一旦地球全体が危機に落ち入らない限り、改善の方向に向かわないかも知れません。先に紹介したローマクラブの「成長の限界」(人類の危機リポート)は、そう予測しています。地球全体のシステムダウンです。

 下のグラフは、シミュレーション結果を示しています。今のまま推移すると、21世紀の後半に世界各国の経済社会が崩壊すると予測しています。



 さらにローマクラブの報告では、仮に資源エネルギーが無尽蔵にある場合でも、世界各国は汚染により滅びると警告しています。下はそのシミュレーション結果です。



 今年の夏のような異常な状況が今後、より顕著となって行くとすれば、全国各地の自治体のまちづくりは、それに対応した政策、施策が必要となります。しかし、それは当然のこととして容易ではありません!

<参考>
◆青山貞一:温暖化抑制のために化石燃料ではなく自然エネ利用の促進を!

 しかし、温暖化に対応する最も有効かつ現実的な対応があります!

 それは「高台移転」です。もちろん、これはどの自治体でも可能なものではありません。当然のこととして標高がほどほど高い自治体だけが可能なものと言えます。

 下の地図は、設楽町の位置を示しています。設楽町は長野県の南信と接しており、まさに高台標高500〜1000mの高台にあります。



 下の図は、設楽町名倉地区をイラスト化しています。地域全体が高台にあるだけでなく、自然と共生していることがよく分かります。



 幸い設楽町は愛知県と長野県の県境にあるまちであり、標高は500m〜1000mにあります。まさに「高台移転」が現実に行われているまちなのです。 

 青山らの環境総合研究所は10年前に群馬県の北軽井沢地区に保養所をつくりましたが、その場所は、東京などの大都市に比べ夏に10℃以上気温が低く、湿度も低く、まさに快適な場所となっています。





 すばらしい自然、景観のなかで、存分に環境研究、ソフト開発、そして自然探索、歴史探訪などをエンジョイしています。  環境総合研究所が購入した北軽井沢の住宅は、バブル期に東京のIT企業が設置した役員用の大型別荘でした。

 それを10年前、非常にリーズナブルな値段で購入しました。もともと標高1000m近くの土地は、大都市の1/10いや1/20以下、さらに宅地に転用していない現況森林なら1/100以下のところが多いのです。

 今の日本では、一生あくせく働いても、まともな住居を大都市でもつことは、ほとんど不可能です。ウサギ小屋と欧米から嘲笑される小さなマンションを購入するのが精一杯です。

 しかし、大都市生活者や定年退職者が発想を転換すれば、容易に高台移転は可能です。研究者村だけでなく、芸術家村、工芸家村、陶芸家村などの可能性も大いにあります。







 東京などの大都市が地球温暖化とヒートアイランドのダブルパンチで、よほどエアコンをフル稼働させない限り、生きることさえままならないとき、たとえば、日中の気温が36℃の時でも、22〜24℃、そして朝夕は18℃前後と快適なのです。すくなくとも、春から秋にかけて存分に快適な活動がエンジョイできます。

 標高が500m〜1000mにある設楽町は、50年後、100年後を見据え、今後、高台であることを生かした土地利用、まちづくりを進めることが大切となります。


つづく