[ 質疑加納議員 | 福山議員 | 山下議員 | 小池議員 | 大渕議員 | 入澤議員]


(速報)

第145回国会(参議院)
予算委員会公聴会 第1号
1999年03月04日

平成十一年三月四日(木曜日)
午前十時開会

議員との質疑


参議院予算委員会で公述する
青山貞一(環境総合研究所所長)


○加納時男君
 本当に短い時間で非常に実り豊かな御示唆をいただいて、ありがとうございました。お待たせしました。それでは青山公述人に私の専門の環境のことを少し伺いたいと思っております。

 先ほど資料をもとに御説明いただきまして、私も資料をもちろん読みながらお話は全部伺ったつもりでございます。きょう付の参議院予算委員会資料、きょうは参議院でございますが、資料をつくっていただいてありがとうございました。

 この中で、先ほど御説明伺っていてちょっと私わからないことがあるんで、先にそれを伺いたいんですが、資料そこにございましたら、ページ三の課題八というところでございます。課題八は「国際標準との関係」ということで、先ほど初めて私読んだので、読み違えしていたらごめんなさいなんですが、先生は二つのことをおっしゃったような気がします。

 一つは、日本の国際標準が甘いんではないか。特に、アメリカとかそれからオランダ、ドイツに比べて甘いんじゃないか。TDIのことだと思うんですけれども、そういうことをおっしゃったのが一つ。それからもう一つは、WHOが去年一ないし四ピコグラムという数字を出した。このWHOのTDI下限値一を超えるおそれが出てきているのは問題だと、WHOに触れられていると思います。この二点、私若干わからないんで教えていただきたいんです。

 一つ目の、数字だけ見ますと、日本は、TDIは一日に許容される量ですが、先生はもちろん御存じですけれども、一日に体重一キログラム当たりこれだけとっても、一生涯とり続けても許容されるであろう量というのでTDIという数字がここに書かれてあるわけでございますけれども、実は先生おっしゃったとおり、私もちょっと調べているんですけれども、オランダはTDI一なんですね、おっしゃるとおりだと思います。ドイツは私の記憶では一から十だと思いました、TDIは。それから、じゃ世界は大体一から幾つというような感じかなと思っているんですけれども、実はデンマークとかスウェーデン、私の調べたところでは五ぐらいになっていると思います。それから、TDI十という国は、何か日本がおくれているようなちょっと御発言があったかと思うんですけれども、日本は、今の厚生省の出しているTDIはたしか十ですね。見直すとは言っていますけれども、十、おっしゃるとおりだと思います。それから、ほかにカナダとか、私の行った国で言いますとイギリスとかフランスはたしか十だったんじゃないかなと思っております。これも一つです。

 アメリカの、実は、先生ここに〇・〇一ピコグラムと書いていらっしゃるのは、たしかEPAが提案しているというのは私も資料で読みました。私、アメリカへも何回も行っているわけでございます。これは実はTDIじゃないということは先生も御存じのとおりでございまして、これが日本ではごっちゃになっちゃって、アメリカに比べて日本は何百倍とか時々びっくりすることをおっしゃる方がいるんですけれども、これは発がんリスク評価値だと。私はリスクが得意なものですから、発がんリスク評価値でいうのは、要するに百万分の一と、原子力なんかでもよく使うリスク評価の指標でございますけれども。そういう数字で言ったのが〇・〇一で、EPAが提案した数字と私理解していますけれども、もし私の理解が違っていたらごめんなさいでございます。

 もう一つ私は、WHOの出した数字、一から四ということで、特に先生、一に重点を置いていらっしゃいますが、私、実はエグゼクティブサマリーの原文を読んだことがありまして、この記憶が間違っていたら申しわけないんですが、たしかあそこではWHOとしては先進国、インダストリアライズドカントリーズのインテークのレベルは、現在のところ二から六である。私はそういう印象があります。

 一とか四とかというのは、いろんな動物実験なんかのデータもありますけれども、人間の場合にはうんと大事をとって十分の一にしようとか、いろいろあって出てきた数字が一から四ぐらいで、その次に、当面の目標としては四を目指そう。アルティメートゴールと、たしか私英語ではそう思っていますが、究極のはるか先かもしれないけれども、目標値としては一を目指そうと。私はこういう考え方、たしかビロー一だったから一未満ということですね、一よりかもっと少ない。要するにゼロに近ければいいんだ。私も賛成です。

 しかし、当面の目標は四だったというので、ここのところがちょっとわからないので、私の理解が違っているかどうか教えてください。

○公述人(青山貞一君) 加納先生のおっしゃられた一番最初の部分の国際的な話の、日本が国際的なスタンダードじゃないと私が申し上げたのは、実はこのTDI以前の話で、例の測定方法が、国際的に日本だけが検出下限値以下の場合にゼロの扱いをして、それが全体的な過小評価になるというときに申し上げて、このTDIのお話は環境庁の環境安全課の専門官のお話のもとに申し上げたので、ちょっと話が違うかなと思います。ただ、先生がおっしゃられた一連の、ドイツが幾つでオランダが幾つでというお話は、私も同じふうに認識しております。

 それで、私の資料の環境総合研究所の自主調査研究というものの三ページに、今の日本、アメリカ、WHOにおけるTDIという一表が入っております。この表四の一というところに、WHOは一から四という昨年夏ちょっと前の提案が書いてありまして、私も当然英文を全部持っていまして、厚生省が仮訳したものも持っています。アルティメートだかファイナルだかロングタームだか正式には今ちょっと思い出せませんが、最終目標として一を目指すということはおっしゃるとおりです。ただ、その最終目標が今なのか来年なのか十年後なのか百年後なのかというのは、多分汚染状況によって、その国の置かれている状況によって違いますから、それはまさに立法府が日本のように、僕は基本認識として、汚染が非常に進行していて、これから頑張ってそれを改善する国だと。そういうときに、できる限り、一にしたら対策がほとんどできないということじゃなく、逆にある程度厳しい値を置いてアルティメートなやつを、今から究極的なものを目標に据えてというのが私の考えであります。しかし、それはこれから議論をしていただきたいと思います。

 アメリカの話、VSD、実質安全量、これは先生おっしゃるとおりで、発がん性ということをあの国はすごく重視する国であります。たばこの話を先ほどちょっと私申し上げましたけれども、たばこ会社が各州から訴えられ、今連邦政府も訴えつつあると思います。何十兆円という和解金のもとに話がついているということを御承知だと思います。あれは発がん性とあと麻薬性であります。アメリカはこのダイオキシン問題に関する発がん性に関しては、先生御承知だと思いますけれども閾値がない。レベルが低くてもそれなりに発がんリスクはあるという立場をとりますから、本来ゼロエミッション、ゼロを目標とすべきですが、それは現実的じゃないということで〇・〇一ということを出しているわけです。

 ですから、先生と私の間で今のお話に関しては基本認識でそれほど差がなく、日本の汚染状況とか今後の対策を考えてどういう値を、僕は法的なものとしても裏づけがあった方がいいと思っていますけれども、そういうことをぜひやっていただきたいということでありまして、それほど今のお話の中では認識の違いはないと考えております。

○加納時男君 どうもありがとうございました。

 おっしゃることでほとんど、アメリカの直線型、要するに閾値がなくて発がん性のあるものからずっとゼロまで直線で引っ張る、これ自体に私は議論したいことがいっぱいあるんですけれども、きょうはその場ではありませんので、先生とは基本認識は同じだということで。

 それから、測定の問題を先生おっしゃったんですが、私は測定の問題を取り上げたんじゃなくて、あくまでもページ三にある課題八の「国際標準との関係」というところで取り上げたので、それはそういうことでございますので、今の問題はわかりました。ありがとうございました。

 ここから先ちょっとお耳ざわりなことになるかもしれないんですけれども、私は環境問題、実はこれに自分の使命をかけてきたのに対して、非常に最近の報道で残念なことがあります。

 私は基本的に、ダイオキシンを初めとしてあらゆる有害なものについては、ハザードとリスクというものを明確に分けた上で、有害なものはそれをしっかりと評価して、悪さ掛ける排出量イコールリスクというふうに考えて、これを提言していくために全力を挙げているという点では先生と恐らく同じ考えだと思います。

 その立場で大変残念だったのがこの間のテレビ朝日の報道だと思うんです。先生も随分つらい思いをされたと思うんで、それを考えながら質問をさせていただきたいと思うんです。

 あのとき、二月一日のテレビのフリップで野菜のダイオキシン濃度と書いてあるんです。〇・六四から三・八〇ピコグラム、こう書いてあるとわからないわけです、先生の後でおっしゃったことが、ここでは。確かに後から考えると、ホウレンソウ、大根だけじゃなくて、お茶もあったということなんですけれども、これだけ見ているとわからない。

 もう一つわからなかったのは、お茶は乾燥して使う、そうすると同じグラムでもダイオキシンは少し濃縮されてくるはずだ。それから一方、生もの、ホウレンソウというのは恐らく乾燥しないホウレンソウをはかられたんだと思うんです。ホウレンソウは生ですね、水分がある。水分があるものと、もとは水分があってそれが乾いちゃって、使うときにはまた、お茶をそのまま食べるかどうかは別にして、乾いた状態と、これを一緒にしちゃって並べるというのは、私も大学で授業なんか持っていたものですから、そういう立場でいくとこれはちょっと変かなと。これは先生がなさったんじゃなくてテレビ局でやったんだろうと思うんですけれども、これは非常に私は不思議に思ったんですけれども、どうでしょう。どう思われますでしょうか。

 つまり、〇・六四から三・八〇、野菜と書かれたらびっくりしちゃうというのが素人だと思うんですけれども、いかがでしょうか。

○公述人(青山貞一君) 加納先生のおっしゃられたことはもうちまたでわあわあ報道されている話でありまして、私は少なくとも人間が食するときの話として、お茶に関しては生の葉っぱで食する方はまずいらっしゃいません。ですから、口の中に入る前の出荷もしくは製品としての話というふうに考えていますから、生の葉っぱを何ピコということを言うことは逆に実際から遠いかなと。

 ですから、お茶はせん茶なんですけれども、お茶といえばあそこでは狭山茶、先ほど申し上げましたけれども、かなり広域にわたってあります。それを配慮したということが一つありますけれども、せん茶として製品化されているものの濃度を言ったことは、いわゆる人間の口の中に入るリスク、暴露ということからすればそれほどおかしな話ではないというふうにその件に関してはお答えしていいかなと思います。

 あと、例えばこの次、血液を出しますけれども、コプラナーPCBも出しますけれども、何々から何々という表現は、当然そういうプライバシー、あの場合ですとサンプル提供者の問題もありますので、いきなり何々が何々、何々が何々ということを私としてはたまたま出せなかったということで、それが僕に言わせれば、お茶にしてもホウレンソウにしても大根の葉っぱにしても、先ほど宮田教授の環境庁の委員会における議事内容を皆さんに見ていただきましたけれども、お魚とかお肉、お肉よりはかなり高いんです。そういう状況がありましたので、実際テレビを見た方があの数字をもって、三・幾つ、〇・幾つがどれだけわかるということは、多分私の感じでは、なかったんじゃないかなと思います。

 ただ、例えばテレビをごらんになっていた地元の方が、葉っぱものと私は繰り返したわけですけれども、葉っぱものということで多分ほとんど、また数字を言うとそれ自身が問題になりますけれども、私の知る限りすぐ狭山茶だなと現地の方はわかったというふうに聞きました。

 ですから、その話が今回いろいろと議論になっていますけれども、私がきょうここに来た本筋は、その話というよりは、日本自身が、さっきから申し上げておりますけれども、先進国の中で非常にダイオキシン対策がおくれている、法的な整備もおくれている、それがゆえに農民の方々なり農作物に影響が及んでいるということが本筋だと思います。

○加納時男君 私は、あくまでも環境をよくするという見地から青山さんも一生懸命やっていらっしゃると思うんです。私どもそのつもりなんです。そういうときにテレビ報道でもって焦点がずれちゃってデータがよくわからないままに飛んだために、実際農家で出荷が落ちちゃったり、それから非常に被害を受けた方もいらっしゃるというふうに私ども訴えられているわけです。そういうことは非常に残念だと思うので、おっしゃるとおり私は本筋に話を戻すべきだと思います。

 本筋ということになると、こういう問題は実はハザードとリスクという話になると思うんです。つまり、毒性があるかないか。毒性があるから拒否するんだということになると、私は生きていけないと思うんです、ざっくばらんに言って。何でもゼロであればいいというならば死んだ方がいい、いや、死んでも火葬場でやっぱり廃棄物が出るということになっちゃいますから、たまらないわけです。

 問題は、科学的な生き方というのは、ハザードというものはある、それを明らかにした上で、どのぐらい人間がそれに触れるか、摂取するか。摂取量によってリスクが決まる、このリスクをいかに管理していくのかというのが先生のおっしゃるとおり冷静な生き方だと思うんです。

 非常に変な例を申し上げますけれども、この事件が出たときに思い出したことがあります。一九八一年でした。原電という会社があるんですが、敦賀で発電所から廃液が漏れた。これが、暁の記者会見と変なことをやった人がいるものですから、大事件が起きたんじゃないかというのでマスコミで大騒ぎになって、放射能漏れとでかでか出て、不買運動が起こったり大騒ぎになりました。実際は違うんです。そのときはピコキュリーという単位、今回はピコグラム、とても似ているんですけれども、ピコキュリーが出たというので大騒ぎになったんです、御存じのとおりピコキュリー・パー・グラムなんですけれども。

 これはホンダワラに、ホンダワラは余り食べないものですけれども、これに検出された。ほかの魚とかからは検出されなかったんです。実は正確に言うとコバルト60が〇・四九九ピコキュリー・パー・グラムとか、細かいことはどっちでもいいんですけれども、極めて微量であった。

 私の言いたいのは、大事なことは、これが出たことしか言わないから世の中が大騒ぎになったので、ホンダワラを食べる人って知らないんですけれども、毎日四十グラム食べ続けても、一年間食べてこれによって受ける放射能の量というのは、実は法律で決めている安全量というか許容量の一万分の一以下なんです。全然関係ない量だというのでみんな納得したんですけれども、それまでに時間がかかっちゃった。

 今回はピコキュリーじゃなくてピコグラムが出たというので大騒ぎになっちゃったんですけれども、ぜひともこういう正確なリスクについてのコミュニケーション、どういう水準であれば、どういう基準値を外れるとか外れないとか、そういうことはすごく大事だろうと思うんです。そういうので、何か敦賀の事件と今回の、非常に先生にとっては残念な結果だと思うんです。

 私はそういう意味では、プレスも基礎的な科学的な知識とかそういうものを持った方がキャスターとして聞く番組でもないものですからしようがないかなとは思いますけれども、余りにもちょっとあのやりとりは、私は全部克明にビデオも何回も見ましたけれども、正直に言って私は、埼玉の支持者から怒りの電話をもらって非常に悔しい思いをしました。それもこれもこのピコキュリーなんです、ピコグラムなんです。だから、ピコグラムと昔のピコキュリーと、昔は漁民、今回は農民ですけれども、こういうことで十分な情報がつけ加えられないままに数字だけが躍っちゃうのは非常に残念だと思います。

 先生、これに何か御見解がありましたらお願いしたいと思います。

○公述人(青山貞一君) 今おっしゃられたことは、加納先生が東京電力にいらして原子力発電関係をさんざんなさってきた中での御経験として私は一応伺います。

 つい半年前、そちらの社長さん、荒木さんが司会をなさって、私が東京商工会議所で五百社を集めて環境ホルモン、ダイオキシンのお話をしました。荒木社長はえらい評価してくれまして、そのとき塩化ビニールの焼却の問題まで出まして、いろいろと議論しました。

   〔理事竹山裕君退席、委員長着席〕

 私は、こういう分野にいますから、そのリスク、ハザード、暴露の話と先生がおっしゃる話は当然十分わかります。私が言ったことと、先生がおっしゃる隣にいた方の話は私に言われても実は困るわけでありまして、では研究者、科学者、コンサルタントは一切学会以外物を言っちゃいけないのか、全部それを言わないと何も言えないのか。

 先ほどの血液のコプラナーPCB、実は東京電力さんはいっぱいPCBの入っているトランスを今保管していると思います。それを今後どうやって分解するのかわかりませんけれども、ピコどころかナノとかもっと高いのがあると思います。そういうものは情報を開示し、事業者、行政が積極的に開示して初めて今おっしゃるようなリスクコミュニケーションというのがとれるわけでありまして、これから法律を多分通産、環境が出すと思います、PRTR法。まさにそれをやろうとしている。

 これも実は法律じゃありませんが、アメリカではTRI、ほかの国ではPRTRということで制度ができております。そういうものをやはり先につくることが重要でありまして、たまたま今回のことだけで、同じピコでピコキュリーとピコグラムだから云々というのは、私は、加納先生が仮にそういう分野にいらした専門家としても、ちょっと無理があるんじゃないかというふうに思います。

○加納時男君 ちょうどあと一分の時間でございますので、お礼を申し上げて終わりたいと思います。先生のお話、私は共感するところが実は多いわけです。

 PRTRも、私、経団連にいて夢中で取り上げてきたものでありますし、一刻も早く法律としてこれをつくりたい。あくまでもこれは自主的な管理なんですね。法律をつくって統制するんじゃなくて、企業に自分で調査をして出してくださいということを決める法律なんです。そういうことでございまして、私は、PRTRも含めて、企業の自主的な努力を進めていきたいと思います。

 PCBはちょっときょうの話題じゃなかったのでございますけれども、私は、情報公開だとか情報開示ということは非常に大事だと思っていることを申し上げまして、ちょうど時間でございます。
 ありがとうございました。


○福山哲郎君 ありがとうございました。
 お聞きしたいことは山ほどあるんですが、青山公述人にお伺いをしたいと思います。
 先ほどもテレビ朝日の報道のいろんな御議論がありました。私は、どちらかというとテレビ朝日の放送については、議論の余地はありますけれども、あれの是非はともかく、それから農業をやられている方に大変迷惑がかかったことはもちろんそうだと思います。しかし、例えば厚生省が十ピコを規定して、その直後に環境庁が五ピコを規定して、そこを踏まえた安全基準なり摂取基準なりというものを全くしないで放置していた日本政府の無策の方に実は本質的な議論があるというふうに私は思っています。
 その中で、民主党も、そして公明党さんも法案を今提出をさせていただいているんですが、例えば現実に今TDIを一ピコに設定したとしたときに、そこから含めて大気、水質、土壌等の安全基準をつくっていくときに、現実に今の日本の社会にこれだけダイオキシンがあふれている状況の中で急にぎゅっと締めたって、現実問題としてそれが可能かどうかということについての青山先生の御見解をお伺いしたいと思います。

○公述人(青山貞一君) 福山先生の今の御質問はよく私も耳にします。しかし、それが今の日本で例えば一にした場合に、先生多分御承知かと思いますけれども、所沢の辺ですと、バックグラウンド、コントロールとも英語で言いますけれども、物を食べる以前に汚染された空気を吸い、汚染された土壌を吸い、水を飲む、それでどのぐらい一日に一人体重一キロ当たり摂取しているか。あの辺ですと多分〇・六から一・幾つのはずです。つまり、うんと汚染されている地域では物を食べなくても一を超えるという現実があります。多分それを指して言われているんだと思います。

 しかし、私に言わせればそれ自身がそもそも異常なんです。何も食べなくて空気、土壌、水から、水を食べ物と言うかどうかわかりませんけれども、食べ物以前が異常ですから、それを何はともあれ早く下げるということをする意味でもなるべく厳しい値、つまり緩くしておけば緩くしたなりにその後、例えば今の東京の窒素酸化物がもう十五年以上環境基準を上回っています。二回にわたって緩めて、その結果、緩めたものも実は全く満たしていないんです。私は、すごいぜんそく患者ですけれども、実はそれと同じように達成が難しい厳しいものを設定してもしようがないという論理になりますと、結局全部の対策が、さっき言いましたけれども、環境庁の仕事も二十何年やってきた私の今までの経験からしますと、それがなかなか前へ進まない。

 ですから、一から四というのがいいか、一というのを明記するのがいいのか、いろいろと言い方はありますが、厳しいと言ってもその厳しさの一番の部分というのは、日本全体というより、さっき言いましたように十キロ、十キロの中に何十も焼却炉があるようなところがやっぱり重要です。ですから、全体としてはこうだと、だけれどもここはとりあえずこうだという、そういう設定の仕方もあるんじゃないかというふうに思います。

 ですけれども、冒頭言いましたように、一が厳しいから一をやってもどっちみちだめだという考えになりますと、何か今までの大気汚染とかそういうときの環境基準の設定と同じような、行政の努力目標だけれども頑張ったけれどもだめだということがもう今から見えてくるような気がいたします。

○福山哲郎君 そうですね。その可能性は国民の皆さんの不安が増大する中で非常に危ない、余りやってはいけないことだと思います。
 二つだけ端的にお答えください。
 調査費用に対して先ほど言及されなかったんですが、大変価格が高いと聞いております。その調査費用の価格が高いことに対する現状の問題を簡単にお答えいただくことと、調査の透明性を担保するためには、例えば住民がその調査の中に入るとか、地域に第三者機関をつくって調査をするとかという、その調査の安定性というか透明性の担保のためにどういうことが必要なのか、二点だけ簡潔にお願いします。

○公述人(青山貞一君) 前者は、昨年のちょうど今ごろ、アメリカ、カナダ、ドイツ、オランダ、イギリスに同じ英文で価格の調査を出してみました。それが私どもの根拠であります。日本に比べれば当時、今もだと思いますけれども、諸外国は非常に安かった。

 その理由は、例えば日本は人件費が高いとか、技術がこれからでなかなか時間がかかるとか、あと試薬を厚生省の外郭団体が売っていて、これはちょっと事実関係をもっと確かめなくちゃいけません、その試薬自身が高い、それを買わされているというのもありました。あと今言った外郭団体に数十社が集まって、これは民主党の岡崎トミ子先生がたしか国土・環境委で問題にされて、国が通達を出してこういう業者を使えというようなことをしていたことがありまして、それをその後公取委が入ったというのがあります。そういう理由から高いというふうに私は思いますから、もっともっと安くできると思います。

 もう一つは、おっしゃるように、市民だけじゃなく専門家も含めてチェック・アンド・バランスといいますか、透明性を高め、クロスチェックとかインターキャリブレーションと言っていますけれども、相互に値を照らし合うようなシステムをつくらなければ今の問題はなかなか解決できないと思っています。

○福山哲郎君 どうもありがとうございました。


○山下栄一君 青山公述人、また中島公述人、大変お忙しいところをきょうは本当にありがとうございます。
 青山公述人にお伺いいたします。
 所沢問題ですけれども、日本の国、また県、市、さまざまなダイオキシンの測定をしてきた。ところが肝心のデータがない。特に、日本で最も汚染度が高いと思われる所沢において、野菜、その他の食品のデータ、それから人間の体がどれだけ汚れているかというデータを国が今まで一度もはかったことがないのではないかというふうに思うわけでございます。今回はかろうとしていると、環境庁は今血液調査をやっているようでございますが、そのデータもまだ出てこないという現状があります。
 そんな状況の中で、私は、その問題とは別にデータ測定分析そのものの信頼性が非常に薄いという実情があるのではないかというふうに思います。それで、今まで長年さまざまな環境問題に取り組んでこられ、そしてまたお仕事としても測定分析のプロとして、専門家として、また研究者としてのお話をお伺いしたいわけでございます。

 カナダやアメリカ、その他の海外先進国の測定分析のレベル、規模、取り組んできた数々の実績の中身、それに比べて日本の国のレベルでの測定分析との比較、これをお聞きしたいと思います。特に、厚生省がつくっております廃棄物処理におけるダイオキシン類標準測定分析マニュアル、排ガス、排水、また焼却灰、この問題点も含めてお聞きしたいというふうに思います。

○公述人(青山貞一君) お答えいたします。
今、先生がおっしゃられたのはかなり広範にわたっていまして、簡単にお答えすることは容易じゃないんですが、一つの例といたしまして、例えば私どもはカナダといろいろな形で技術提携を結ぶ前に議論をいたしました。その中で向こうが示した一つの重要な資料がございます。

 これは、カナダにありますダイオキシンを分析できる会社二十社が定期的にコンテストを行っている。どういうことかといいますと、同じサンプルから二十社が分析して異性体ごとにダイオキシンとコプラナーPCB全部の実測値を挙げて一覧表になっています。平均値、中央値、その中央値、平均値からのデビエーション、どの程度その会社が外れているか、それを会社の中で全部相互に見せ合っている。つまり自分たちの中で精度をちゃんと管理する。それを世の中全部に公表しているかどうかわかりませんけれども、少なくとも私たちには全部見せてくれました。

 結局、自分たちが正しいと言っても、第三者が見て、それがおたくの会社はこの程度なんだ、おたくのやり方はこうなんだという精度管理、精度保証と言いますけれども、そのシステムがちゃんとしていなければ、あなたの方がおかしいよと。今回、私らに対してそういう疑惑が向けられましたけれども、私に向けるということはカナダ政府に向けるのと同じぐらいの意味が実はあるんです。そういう日常的な精度管理、精度保証、ISOもありますけれども、そういうもの。それから、相互に同じものから値を分析し合って全部の数値を見せ合うということが一つ重要です。日本は、私は余りそれを見たことがございません。

 国際コンテストをやっていまして、日本から五社入っていました。私が今やっていますMAXXAMという会社は常連です。日本からは食品分析センター、今回の所沢でやったところです。それから、日本品質保証機構、島津テクノリサーチ、あと大阪市の研究所、もう一社入っていました。日本には三十五社ありますけれども、国際コンテストに入っていたのは五社です。
 ですから、もっと相互に、クロスチェックといいますけれども、やったことを見せ合い、自分たちがどの位置にあるのかということをやらなければ、これは安易におたくはどうだとかこうだとかということは国家の問題になっちゃいますし、厚生省は少なくとも、先生がおっしゃられました平成九年二月のマニュアルというのは、これは焼却炉の排ガス、焼却灰、排水です。一番濃度の高いもので、私に言わせれば簡単な分野です。その分野のマニュアルを血液にも野菜にも使っていた。結果的に、非常に低い濃度のものを出すところに焼却灰、排ガスのを使っていたというのが今回の一つの、私から見ると課題だと思いますから、やはりもっとオープンな形で諸外国のも参考にし、かつ諸外国で実績のある会社に関しましてはちゃんと非関税障壁をつくることなく関与できるような体制をつくることが肝要かと思います。

○山下栄一君 次に、所沢におけるホウレンソウ、そしてお茶の話でございますけれども、今までこれは国が調べたことがなかった。そして、例えば環境庁がパイロット調査を埼玉県でもやっているけれども、所沢はされていないということがあると思います。そして、肝心の汚染地域の食品の調査はしようとしない。そして、サンプルをとっても、そのサンプルのデータがどの地域のどの場所のデータかという関連性も明記されないような公開のされ方をしているという問題点があると思います。
 サンプルをとるとき、今回はハウス物でやっていたと、JAも。私は、そうじゃなくて、やっぱり覆いのかかっていないそういうホウレンソウを選ぶべきであるというふうに思うわけです。先ほどもおっしゃっていましたように、湿ったものより乾いたものの方がより濃度が高くなるという、そういう最悪のことを考えながらきちっと調べる、そういうことをしないと住民の信頼性は得られないというふうに思うわけでございます。

 お茶も同じような問題点があると思うわけでございますが、具体的に取り組まれた中においての青山さんが感じておられる日本の今までのサンプル調査のあり方、問題点を教えていただきたいと思います。

○公述人(青山貞一君) 山下先生おっしゃるとおりで、私も先ほどの公述の中で申し上げました。
 平成八年度を例にとると、何で八年度というかといいますと、九年度からはホウレンソウとかいうくくりじゃなくてグループごとの値になっちゃいましたから、その中に何が入っているかも明確にはわかりません、厚生省の調査は。

 それから、八年度の場合、日本で三つ、ホウレンソウは、三つですよ、関東、近畿、九州。私に言わせれば全然それはやったうちに入りません。私たちは、実は、こんな少ない数でよく青山がこういうことを言ったというようなことをどこかに書いてありましたけれども、とんでもありません。当然いろんなことをやる中で、ある程度こういう条件でこういうものであればというのを出したのがこの間の値であります、プライバシー保護も含めまして。

 ですから、国ともあろうものが、今、先生がおっしゃいましたように、非常に汚染が高い地域、土壌が九十何ピコ平均で、松の葉っぱ、これは環境庁が調査したものですけれども二十四ピコ、そういうところでつくられる根菜、葉菜、お茶、そういうものをはかっていなかった。もしくは、はかっていて出していないのならば別ですけれども、そういうこと自身がまず、外交、軍事の危機管理とは別にリスク管理の観点から僕は不作為じゃないかというふうに自分自身は本気で思っています。

 ですから、そのお金なんか大したお金じゃありません。多分数百万でしょう。数百万にもかかわらず何でやらなかったか。私が思うに、それをやれば私たちが今やっているようなことでいろんな値がわかってくる、わかったときに開示しなくちゃいけない。開示すると、下手にするとパニックが起こるからだと思います。

 しかし、私は、非常に今回のことはいろんな自分なりに経験したことを自分なりのいろんな今後の研究の資産にしたいと思っていますけれども、やはり私がやったこともひとつ生かしていただいて、国もぜひはかって、かつ自分ではかっちゃだめですね、やっぱり第三者にはからせて、そこにはなるべく余りいろんなことを言わない。

 あと、先生がおっしゃるように、じゃゴボウはどうなんだ、白菜はどうなんだ、露地物のホウレンソウはどうなんだ、そういうものが次々出てきますから、泥縄と言うと失礼かもしれませんけれども、場当たり、泥縄では国民は到底納得しないというのが私の率直な考えであります。

○山下栄一君 時間が参りました。
 中島公述人、大変申しわけございません。今後ともよろしくお願いいたします。


○小池晃君
 青山公述人にお伺いしたいんですけれども、きょうのペーパーの課題二で出ていることであります。全国一律の規制だけでよいのかという問題で密集地域、例えば所沢のような高濃度地域における規制として上乗せ、横出しあるいは総量規制ということが必要なのではないかと。全くこれは同感であります。

 環境庁の暫定基準値を大幅に超えるような高濃度の土壌汚染を起こしている、こういう状況があるわけで、こうした地域については焼却施設の停止であるとか、その汚染状況を調査する、汚染施設の解体処理を行う、それから移転する、汚染土壌の除去や無害化処理、こういう処置が必要だろうと。現状では、大阪の能勢町のプラントについても、これは国の補助金が出て解体処理することになっていますが、これは特例措置にすぎない。

 ですから、国や自治体が本気になって汚染を規制するための総量規制あるいは汚染施設や土壌の除去のための制度を導入することが必要になってきているんではないかなというふうに考えるんですが、ダイオキシン汚染対策で国と自治体の実際、緊急にやるべき措置で必要なもの、こういったものが必要ではないかということを、先ほどもお話があったんですが、加えて御意見を伺いたいというふうに思います。

○公述人(青山貞一君) 先生がおっしゃいましたところは全部私もおっしゃるとおりだというふうに認識しております。

 国、自治体の役割、しかも自治体も県と市がございます。今回の一連の話の中で、私も毎日、新聞、テレビ、あとインターネット中心でありますけれども、県も市もいろいろな形で努力されている。本筋としての努力だと思います。

 例えば、所沢で燃やしております産業廃棄物の多分六〇%は建設廃材、東京から持ち込まれている、家を建て直したときに出る廃材です。そういうものの業者の名前を出す、これは行政的な措置で条例以前にたしかやられ出しました。

 ですから、一つはディスクロージャー、ある特定の地域にそういう問題を全部押しつけてしまうような今の産廃処理のあり方、それから大きなものを一つつくればいいのかという広域、大型化の問題、そういうものを見たときに、やはり市町村でできることというのは意外と一廃以外は少ない。ですから、県、国、特に厚生省。環境庁は施設というよりは土壌、大気、水とかですけれども、それぞれの役割がありますが、それを時間をかけて、検討会、委員会、調査ばかりやっていると多分何年もたつというのが二十五年間コンサルタントをやってきた私の感想であります。

 ですから、皆様に申し上げたいのは、最初に申し上げましたけれども、民主党さんも公明党さんも何か案をつくられておりますが、やはり法的に全部を含めて、しかも臨時でも構いませんから、こういうものに対応する法的な枠組みを一方で国はつくり、その中でも省庁に対してはきょう私が申し上げたようなことを、監視といいますか、立法府が監視する中で行政の裁量じゃなくてやってもらう、測定の話に関しても。

 県はやはり一番実態がわかっています。しかし、県に言わせると、法律がこうだから許認可せざるを得なかった、業としてもせざるを得ないし、施設としても届け出を受けざるを得なかった。ですから、その辺は県と国の間でやっていただく。その前提は僕は情報公開が全部を通じて串刺しになるテーマかなと思っています。

 あと、リスクの話が加納先生から出ました。私も全く同感で、やはりPRTR、ちょっと名前はよくないですけれども、PRTR的な地域住民と事業者、行政との間でのこういう問題をめぐる情報交流の枠組みが一方で必要だと思います。

○小池晃君 どうもありがとうございました。


○大渕絹子君 両先生、きょうは大変御苦労さまでございます。
 青山先生には何度も国会にお運びをいただきまして、そしていろいろ御提言をいただくにもかかわらず、国会が即対応することができない状況を私たちもこの現場にいる者として大変歯がゆく思っています。
 この間の所沢の事件は、一石を投じていただき、行政を動かしていただいたと思います。環境庁、厚生省がそれぞれ違う基準を持つ国なんというのは世界にも恥ずかしいというふうに言わざるを得ないと思っています。皆さんが起こしてくれたこの一石にこたえるべく、私たちも国会の場所で精いっぱい法律づくり、あるいはきょう御提案をいただいたもろもろの点について早急に対策を講じていきたいというふうに思っているところでございます。
 ダイオキシンは、食物連鎖によって人間が最終的には害を受けていくという極めて重大な毒物です。水俣病なんかの例もございますけれども、私は新潟県なんですけれども、信濃川では既に農薬とかあるいは除草剤によって河川の下に蓄積されている土壌が大変汚染をされている、あるいは農地も汚染をされているというような状況。
 こういう、新たに発生するダイオキシンは、一定程度、焼却炉の改善とかで抑えていくことは可能かと思いますけれども、過去において発生をしたダイオキシンの処理をどうするかというような研究は青山さんのところではなさっておられますか。

○公述人(青山貞一君) どう改善、分解するかという研究は私どもではしておりませんけれども、ダイオキシンの分析を通じて、これはある意味で申し上げにくい部分もあるんですが、いろいろな地域の土壌を分析しております。これはお客さんがあっての話ですから必ずしも出せないものもございます、株式会社ですから。

 しかし、あるところは同じ農地でありながら、八塩素化物というんですけれども、主に除草剤、農薬系のダイオキシン、それがぼんと出ている。ある地域は非常に低い。ある無農薬と言っているところでかなり高いのもあれば本当に低いのもある。これは実はDNA鑑定に似ているんですが、異性体、同族体分析というもののデータを見ると、本当にやっていることがわかってくるんです。
 ですから、日本の場合に、無農薬とかいろいろと言われていますけれども、アメリカに比べますと非常にその認定とか検査の体制が甘くて、早い話、実際はかなり使っていながら表向きはその表示には、使っていない、無農薬と。ですから、そういうことが非常に今回、今回のことじゃないんですけれども、私どもやっていてわかっています。
 ですから、そういうこともこの際、ダイオキシン、コプラナーPCBだけじゃなくて、農薬、残留農薬、除草剤、殺虫剤等の問題についてももう一度先生方が問題にしていただけるとありがたいなと思います。


○入澤肇君 青山公述人にお聞きします。
 ダイオキシン問題の深刻さ、私も大阪の能勢町を見に行きまして、これをほうっておきますと第二の水俣病みたいなことになるんじゃないか。みんなが疑心暗鬼で、我も我も被害を受けているというふうな状況になって、ほうっておくと大変なことになるから、早目早目に調査をすべきだということをいろんなところで主張しているわけであります。
 そのときに、今なぜまだ積極的に乗り出していないかというと、警告の段階で、具体的に人体とか何かにこういう影響が出たんだ、発生したんだというその現象がもう一つ目に見えないからじゃないかという気がしているんです。
 実際問題として、先生は、全国のそういう事実を把握しておられるか、把握しておられるとするとどんな実態があらわれているか、あるいはあらわれていないけれども今のままいったらこんなことが予想されるんじゃないかということをお聞かせ願いたいと思います。

○公述人(青山貞一君) 先生おっしゃられた点は、非常に私も関心といいますか、日々おっしゃられた部分についてデータも見ながら、先ほど私の話の中でありましたように、血液をここのところずっとはかっています。毎日来るのを見て頭を抱えている現状ですから。それと、そのデータ、つまり血液中に含まれているダイオキシン、フラン、コプラナーPCBのようなある意味で猛毒、それと、その方の例えば症状、生活のスタイル、どういうものを食べてきたか、どういうところに、今やっている最中であります。
 ただ、やればやるほど、今、竜ヶ崎、新利根町、所沢でやっているんですけれども、特に竜ヶ崎の方は先生がおっしゃるようなものがかなり目に見える形で出ているというふうに私は認識しつつありますので、それをまたどういう形で、この間の高知の病院のような話を見るに及んで、もしそれを数値データとして出したときに報道関係者がわっとその方のところに行くことによって、非常に人権問題に至るようなものまで、本当に危惧しています。これは本当であります。
 ですから、今までなかったから問題がないとか見えないじゃなくて、恐らくそういう一番シビアな現場に対してのちゃんとした調査をやっていなかったというのが僕は実態だと。もちろん日本全体ではありません。


○委員長(倉田寛之君) 以上で公述人に対する質疑は終了いたしました。
 この際、公述人の方々に一言御礼申し上げます。
 本日は、有益な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。(拍手)
 明日は午後一時から委員会を開会することとし、これをもって公聴会を
散会いたします。

   午後五時十八分散会