エントランスへはここをクリック 

浅間山の外輪山、

黒斑山に登る!


その1

青山貞一*、池田こみち**、鷹取敦***
環境総合研究所
掲載日:2008年7月24日 
無断転載禁



●浅間山系を調べる

 何度も北軽井沢に出かけているうちに、いつしか浅間山に上ってみたいという思いが強くなってきた。

 Webなどで調べてみると、浅間山は噴火口を持つ浅間山(2568m)を頂点に、その隣にある前掛山、さらに同心円状に取り巻く外輪山があることが分かる。
 
 外輪山のなかで一番高い山が黒斑山(くろふやま)である。標高は2404mある。黒斑山がある外輪山の一角には蛇骨山がある。2366mだ。蛇骨岳から噴煙を上げる浅間山までは1kmちょっとの距離となる。ちなみに黒斑山からは直線距離で2kmちょっとある。


赤い点線が登山ルート

 浅間山山系なかで、現在登山が可能なのは、第一外輪山にある黒斑山(くろふやま)と蛇骨岳である。理由は、これ以上、浅間山本山に近づくと危険だからだ。実際、現地に行くと、ロープがはってあり、告知板がある。

浅間山の火口付近は、1970年代前半より、火山噴火の危険性からより立ち入りが禁止されてきた。一時期、規制が解除されたことがあるが、その火山活動に応じて地元自治体より火口からの一定の直線距離以内が立入禁止区域となり、登山が規制されている。

 ただし、登山規制が緩和された場合でもあくまでも目安的であって、登山の安全に関しては自己責任が求められる。

 なお、以下は浅間山の地質学的な活動史である。登山する黒斑山の活動期は一番浮流区、2万1千年前に遡る。その頃は湯の平付近に中心火道をもつ2800m級の成層火山であったとされている。湯の平は、黒斑山と浅間山の間にある谷間である。

浅間山の活動史

黒斑期(-2.1万年前)

現在の黒斑山は東に開いた馬蹄形カルデラである。カルデラ形成以前は、現在の湯の平付近に中心火道を持つおよそ2800mの成層火山であったと考えられている。カルデラ形成は2万3千年前。このときに発生した岩屑なだれの痕跡が前橋台地や浅間山周辺の流れ山として確認できる。

仏岩期(2.1-1.5万年前)

浅間山を南から見ると山体右側に膨らみを確認する事ができる。これが仏岩火山である。黒斑山の山体崩壊後活動を開始した。1万5千年前の大規模噴火からしばらくしてその活動を終える。万座鹿沢口周辺に見られるベージュ色の崖はこのときの噴出物である。この噴火によってカルデラが形成されたと考えられている。

前掛期(1.5万年前-現在)

仏岩火山の活動終了後、現在の位置で噴火が始まった。大きな噴火としては4世紀、1108年、1783年のものが知られ、溶岩流、火砕流の噴出を伴っている。1108年の噴火は1783年の噴火の倍の規模で山頂に小規模なカルデラ状地形を形成した。現在の前掛山である。

出典:Wikipedia

 黒斑山など外輪山と前掛山を含む浅間山との位置関係だが、グーグルアースで作成した以下の3次元図を見るとよく分かる。図は長野県小諸市側上空から見たものだが、浅間山を取り囲むように黒斑山、蛇骨岳などの外輪山が左側(西側)に、また牙山が右側(東側)にあるのが分かる。


浅間山と黒斑山の位置関係

 さらに、下の写真は同じく浅間山の南の小諸市から撮影した浅間山山系である。この写真では、黒斑山と浅間山の位置関係がよく分かる。

 写真のなかで右側にあるの前掛山、浅間山で、左側にあるのが黒斑山、蛇骨岳などの外輪山、両者の谷間が湯の平である。


長野県小諸市から見た浅間山山系。


浅間山山系の地形と黒斑山の位置
グーグルマップより青山が作成

 黒斑山は、私たちがよく行く高峯山(約2000m)近くの車坂峠(1973m)を起点としている。登山家はもとよりトレッキング愛好家にとって浅間山系では登山で最もポピュラーな山のようだ。


グーグルアースによる登山ルート別の総距離のシミュレーション


黒斑山に登る準備をする

 黒斑山は夏場は霧、ガスが多く、なかなか浅間山の勇姿を間近で見るのは難しい。また炎天下での登山となるので脱水症状や日射病になりやすいという。とはいえ、登山や下山の途中にいろいろな高山植物や鳥類、昆虫を見れるようだ。

 とはいえ、東京や横浜で疲れたあげく、時折、数日間だけ行くのが北軽井沢の保養所である。そんなとき2400mもある山に登る気力も余力もなかった。

 そんな中、6月下旬から7月上旬、私は過労とストレスから急性胃炎を発症し、さらに風邪をこじらせ、持病の喘息が急激に悪化した。まさに三重苦常態になってしまった。

 体調が回復した7月中旬、何とか黒斑山に登ってみたいと思い登山を計画した。計画では環境総合研究所の同僚である池田や鷹取と3名でチームを組むことにした。また通常の登山の2倍の時間をかけゆっくりと登ることとし、誰か一人が休憩と言ったら休憩することなどを前提に、登山日を7月20日(日)とした。

 出発の前々日の7月18日、自宅のすぐそばにある登山グッズを扱っている「みやがわ」に行き、店主に相談にのってもらった。それによると、どうも黒斑山にはトレッキング用の靴より、本格的な登山靴で登った方がよいということになり、大枚を叩いて登山靴を買うこととなった。下は、登山後に撮影した靴である。


「みやがわ」の登山靴

 店主は登山靴は登山だけでなく、下山でも威力を発揮すること、そのため、すなわち登山と下山用の紐の編み上げの方法がことなることを教えられ、実際にやってみると、足や指への負担が軽減されることが分かった。

 こうして青山貞一、池田こみち、鷹取敦の3人による登山チームは、黒斑山(くろふやま)山頂を目指すこととなった。

 7月18日(金)、大学の授業を終えた午後5時、池田氏と横浜を発ち、一旦東京都品川区にある環境総合研究所に立ち寄り、鷹取氏をピックアップ、群馬県北軽井沢に向かった。

 当初、7月19日(土)に高嶺山、池の平でトレッキングする予定であったが、折からの猛暑、カンカン照りの池の平へのトレッキングは中止し、別荘の駐車場の陥没個所を修復することにした。セメントを買うため長野原のホームセンターに行く。

 ついでにいつものように八ツ場ダムの建設現場を視察する。5月からわずか2ヶ月しか経っていないのに、巨大な橋梁工事が思いの外、進んでいるのにびっくりする!

 下の図は、青山が作成した黒斑山の3次元登山計画図である。



●表ルートから黒斑山に登る!

 翌、7月20日(日)、北軽井沢は曇天、午前10時に乗用車で別荘を出発、嬬恋村のキャベツ畑を両側に見る農道、高嶺山の林道を通り、午前11時過ぎに、標高1973mにある車坂峠に到着した。


車坂峠の標識。ここは標高1973m。
撮影:青山貞一 Nikon Cool Pix S10

 車を高嶺山ホテル近くに駐車させ、黒斑山(2404m)への登山がはじまる。登山ルートは3本ある。表ルート、中ルート、裏ルートである。ポピュラーなルートは、行きが表ルート、帰りが中ルートである。私たちも行きは表ルート、帰りは中ルートを選んだ。


車坂峠にある高峰高原ホテル。この近くに車を駐車
撮影:青山貞一 Nikon Cool Pix S10

 表ルートは、下の写真のように結構、岩場が多い。


登山を開始し20分ほど。
撮影:青山貞一 Nikon Cool Pix S10

 次第に勾配が旧になって行くが、登山靴の成果か、それほど足元に気をつかうことなく、せっせと登山出来る。

 この辺にはニッコウキスゲはじめ常緑のコケモモなどがある。


ニッコウキスゲがあちこちに見れる
撮影:青山貞一 Nikon Cool Pix S10


岩場を登る。
撮影:鷹取敦、CASIO EXILIM EX-Z750

 黒斑山の登山、下山ルートにはシャクナゲが多く自生している。嬬恋村のキャベツ畑から高峯山に車で上る途中、シャクナゲ園があるくらい、この地域一帯にはシャクナゲが自生している。


自生する美しいシャクナゲの花
撮影:青山貞一 Nikon Cool Pix S10

 この辺では天気が良ければ長野県の小諸市が一望できるが、当日はご覧のようにガスが立ちこめ何も見えない。


撮影:鷹取敦、CASIO EXILIM EX-Z750

 青山は登山前、疲労から体調を崩し、果たして黒斑山2404mの頂上までたどり着けるか心配されたが、結果的に頂上まで登山することが出来た!


病み上がりの青山。何とかついて行けた!
撮影:鷹取敦、CASIO EXILIM EX-Z750
 
 一旦、車坂山山頂に上り詰めると、ここから鞍部まで一気に下る。下りきったところから、今度は急勾配の登山が始まる。ここが登りで一番厳しいところだ。


車坂のピークを過ぎると一旦下山となる
撮影:青山貞一 Nikon Cool Pix S10

 鞍部から一気に急勾配を登り詰める。

 上り詰めると、進行方向左側に、黒斑山の稜線が綺麗に見えるが、かなり厳しい登山だ。さらにつづら折りの登山道を上がると、下の写真にある避難小屋(シェルター)に出会う。


槍ノ鞘近くにあるシェルター
撮影:青山貞一 Nikon Cool Pix S10

 シェルターは厚い鉄板(2mm程度)で覆われているが、溶岩流が流れ込めばひとたまりもないだろう。


●槍ノ鞘で休憩

 シェルターの近くにある槍ノ鞘で休憩だ。

 保養所でつくったおむすびを食べる。晴れていれば、槍ノ鞘で浅間山の雄大な姿が一望出来が、残念ながら今回は下の写真にあるように、霧が晴れると一瞬、浅間山の稜線のシュルエットが一部見える程度で浅間山や前掛山は見えなかった。


槍の鞘から見た浅間山。濃い霧がほんのちょっとだけ空け、
山頂がおぼろげながら見えた!
撮影:青山貞一 Nikon Cool Pix S10


浅間山の稜線が少しだけ見える 
撮影:鷹取敦、CASIO EXILIM EX-Z750

 ほんの一瞬見えた浅間山の稜線を背景に。すごく幻想的だ!


ほんの一瞬見えた浅間山の稜線
撮影:青山貞一 Nikon Cool Pix S10

 池田氏が指さす先にあるのがピークがトーミの頭。


通称、トーミの頭の前で休憩し、お昼を。
撮影:青山貞一 Nikon Cool Pix S10

つづく