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環境総合研究所 
自主調査研究 30年間の軌跡


住民参加の恵比寿ガーデンプレイス
環境アセスメント 
Citizen Participation of
The Alternative Environmental Assessment of
YEBISU Garden Place

概要、論考、論文、報告、記事、文献

掲載月日:2017年6月10日
独立系メディア E−wave Tokyo
無断転載禁

<概要>

 恵比寿ガーデンプレイス(Yebisu Garden Place)は、東京都渋谷区および目黒区に跨る複合施設です。もともとサッポロビール工場跡地の再開発事業として1994年(平成6年)に開業しました。「恵比寿ガーデンプレイス」は1994年(平成6年)10月8日に開業し、オフィスビル、デパートを含む商業施設、レストラン、集合住宅、美術館などで構成されており、事業主であるサッポロビールの本社も所在しています。

 施設の入口は東日本旅客鉄道(JR東日本)恵比寿駅からおよそ400メートル南にあり、駅とは動く歩道「スカイウォーク[注 1]」によって結ばれています。施設所在地は、北側半分が渋谷区恵比寿4丁目、南半分が目黒区三田1丁目です。

 環境総合研究所がこの恵比寿ガーデンプレイス敷地のすぐ近くに住む上田明氏(現在、故人、渋谷区恵比寿三丁目)から「田園調布に六本木が来る」という証言に象徴されるように、閑静な恵比寿の住宅地の隣に100m前後の超高層ビルが4〜5本も林立する山手線内、最後の巨大都市開発が行われることになり、それによる工事中及び供用後の大気汚染、騒音、地下5階掘り下げるによる隣にある国立科学博物館分室の国立自然教育編の地下水の閉胸など、など著しい環境影響が予想されることを研究所にこられ、私たちに訴えにこられたことからはじまっています。


竣工した恵比寿ガーデンプレイス  
出典:Wikimedia Commons

 以下は衛星写真で見た恵比寿ガーデンプレイスです。


出典:グーグルアース 

 以降、同大規模都市相開発事業の計画段階、環境影響評価段階、建設段階そして教養段階の各段階において、地域住民の住環境及び地域環境の保全の観点から、環境総合研究所は環境アドボケイト・プランニングを行いました。

 その結果、各種の環境保全上の配慮が恵比寿ガーデンプレイスに組み込まれることになり、周辺住民のみならず、恵比寿ガーデンプレイス内の高層マンション住民らの環境保全の向上に帰することになりました。

 また、当初から上田氏ら住民の活動、要望を無視してきた事業者側は、活動の継続性、専門性、多様性に脱帽することとなり、東京都の公害防止審査会において事業者と周辺住民との和解が成立しています。 

恵比寿ガーデンプレイス建築の歴史

 1887年(明治20年)9月6日、日本麦酒醸造(のちの日本麦酒→サッポロビール、現・サッポロホールディングス)が目黒村三田(現在の目黒区)、渋谷村(現在の渋谷区)にまたがる地帯に設立した工場で「ヱビスビール」を製造し始めたのが始まりです。

 下は依頼主の上田明さん宅の位置です。


出典:青山貞一 環境総合研究所(東京都渋谷目黒区)

 日本鉄道がヱビスビール輸送用の駅「恵比寿駅」を設立し、その後、正式に「恵比寿」が町丁名となり、地名としての「恵比寿」が定着しました。1988年(昭和63年)7月20日、渋谷区近辺の都市化や、郊外への工場移転が進んだことに伴い工場は閉鎖。土地の再開発事業が1991年(平成3年)8月26日に開始され、1994年(平成6年)10月に竣工しました。不動産の共有持ち分15%を、2008年(平成20年)にモルガン・スタンレーに売却しましたが、2012年(平成24年)に再取得して単独所有となっています。

施設の概要

 下は現在の恵比寿ガーデンプレイス(東京都渋谷区〜目黒区)です。


出典:青山貞一 環境総合研究所(当時、東京都品川区)

 以下は恵比寿ガーデンプレイスの当初計画です。100m〜170m級の超高層ビルが4棟、20〜40mのビルが4棟もあります。


出典:青山貞一 環境総合研究所(当時、東京都品川区)

 以下は恵比寿ガーデンプレイスの施設の概要です。

施設情報
所在地 東京都渋谷区恵比寿4-61-1
着工 1991年(平成3年)8月26日、竣工 1994年(平成6年)9月1日
用途 事務所・店舗・駐車場、地上高 最頂部 167m
各種諸元
階数 地上40階、地下5階 塔屋1階、建築面積 8,105.21 m2
※(多目的ホール含む)
延床面積 162,122.60 m2 ※(多目的ホール12,132.27m2)
構造形式 鉄骨造(一部鉄骨鉄筋コンクリート造、鉄筋コンクリート造)
エレベーター数 33基(オーチス製13基、日立製12基、東芝製8基)
駐車台数 1,000台
関連企業:設計 久米設計、施工 B工区:鹿島建設他8社、デベロッパー サッポロビール、管理運営 サッポロ不動産開発株式会社、恵比寿ガーデンテラス壱番館

施設情報
所在地 東京都目黒区三田1-4-3
竣工 1994年(平成6年)7月、用途 共同住宅・店舗・駐車場
地上高、最頂部 107.97m
各種諸元
階数 地上32階地下4階 塔屋3階
敷地面積 8,196.06 m2、延床面積 50,275.51 m2
構造形式 鉄筋コンクリート造
戸数 290戸、駐車台数 290台
関連企業:設計 久米設計、
施工:大成建設・東急建設、デベロッパー サッポロビール、管理運営 サッポロ不動産開発株式会社、恵比寿ガーデンテラス弐番館

施設情報
所在地 東京都渋谷区恵比寿4-20-2、恵比寿ビュータワー
用途 共同住宅・店舗・駐車場
設計者 久米設計、建築主 サッポロビール、管理運営 サッポロ不動産開発株式会社
構造形式 鉄骨鉄筋コンクリート造、延床面積 5,938 m2
階数 地上13階地下2階、戸数 100戸、竣工 1994年(平成6年)8月

施設情報
所在地 〒153-8580 東京都目黒区三田1-4-4
完成予定 1994年(平成6年)9月
用途 共同住宅・店舗・駐車場、地上高 最頂部 101.9m、各種諸元
階数 地上32階地下3階、建築面積 1,800 m2、床面積 48,151 m2
構造形式 鉄筋コンクリート造  戸数 520戸
関連企業:設計 住宅・都市整備公団:管理運営 住宅・都市整備公団


住民参加の環境アセスメントの実践 

 これは、巨大な都市再開発事業、恵比寿ガーデンプレイスに果敢に挑戦し、多大な計画、設計変更を勝ち取った上田明さん(故人)とそれを全面的に支援した私たち環境総合研究所(東京都品川区、当時)のまさに奮闘記です。

 この内容は、京都大学、東京工業大学総合理工学研究科、早稲田大学教育学部、早稲田大学理工学部、東京都市大学環境情報学部などでで講義しています。

 今から25年ほど前の1989年、私たち環境総合研究所の研究員は、突然こられた渋谷区恵比寿にお住まいの上田明さんら恵比寿三丁目環境対策協議会の皆さんのものすごい熱意にほだされ、結局、その後、恵比寿ガーデンプレイスが完成し、供用を開始した後までの6年間にわたり、上田さんらの恵比寿ガーデンプレイスに対する市民活動を全力をあげて支援することになりました。 

 専門家による住民団体への支援を私たちはアドボカシー(Advocacy)と呼んでいます。 ガーデンプレイス事業への上田さんらの活動の目的は環境保全、とりわけ大気汚染問題であり、、環境アドボカシーといえるものです。


出典:青山貞一 環境総合研究所(当時、東京都品川区)

 植田さんからの依頼で、とりわけ、私たちが全力を入れ取り組んだのが「住民アセスメント」です。事業者側が数億円かけ行った環境アセス結果の不備を指摘するだけでなく、住民側が要望する内容で恵比寿ガーデンプレイスが周辺地域にもたらす環境影響を調査、予測、評価しました。さらに、その前提として、住民側によるさまざまな政策提言内容を代替案として、それらの代替案についても環境影響を調査、予測、評価したのです。

 おそらくこのような「住民アセスメント」は、日本だけでなく、アセスメントの本場米国でもほとんど見たことがないものでした。

 下の写真は、恵比寿ガーデンプレイスにおいて事業者が行った環境アセスメント(環境影響評価)の報告書です。見てお分かりになるように、その厚さは3部作でおそらく15cmになるほどです。東京都の環境アセスメント条例の手続のなかで、限られて時間の中で、一般市民、住民にとってこのような分厚い報告書をいきなり示されても、どうしようもないのが実態のはずです。

 しかしながら、上田さんらは、これをしっかりと読み込み、問題点を的確に看破しました。その上で意見書を書き送り、説明会に参加して質問し、さらに公聴会でも発言されたのです。その上で東京都の見解書、環境影響評価書(最終報告書)を見てびっくり、最終的に上田さんらが指摘した諸点がまったく反映されていなかったのです。



  私たちの研究所(当初、東京都品川区北品川、御殿山研究室)に上田さんらが最初にいらしたのは、その直後のことです。何でも渋谷区役所に行き経緯説明され、そのうえで住民たちはどうしたらよいのかと相談したそうです。

 そうしたところ、このような問題で話に乗ってくれるのはおそらく環境総合研究所の青山貞一所長(当時)くらいしかないでしょうと、言われたそうです。そしてある日突然、研究所に恵比寿三丁目環境対策協議会と名乗る上田さんらが相談にこられたのです。上田さんは、私たちに蕩々とこれまでの経緯を話され、かくなる上は住民側でも環境アセスメントを行ってみたいと話されました。

 青山は住民が依頼する環境アセスメントを行う前に、何度も上田さんらに宿題を出しました。実際、設立してまもない研究所にとって、住民団体からの依頼の調査をするのは、さまざまな意味でリスキーだったからです。しかし、上田さんらは、毎回出す宿題をすぐに行われました。 かなり難しい質問、たとえば、上田さんが事業者のアセス書にある風洞実験結果について疑問を持たれていたので、日本で有名な風洞実験を専門に行う研究所の名を伝え、まずはそこに行って相談してください、などです。

 次々に宿題をこなされる上田さんは慶応大学を卒業後、日本を代表する上場大企業で調査畑を歩まれた方でした。そんなこともあり、上田さんやそのお仲間は、次々に宿題をこなされたのです。そして最終的に住民依頼の環境アセスメント調査をやらざるをえなくなりました(笑い)。最後に上田さんに対し青山が述べたのは、事業者側が行っている環境アセスメントは数千万円、いや数億かけている調査です。住民団体だからといってボランティアで行うわけには行きません。お金がかかりますよ、と伝えました。すると上田さんはやおら100万円の現金を出され、これを手付金とさせていただきます、と言われました。当然、100万円でこの種の難しい調査ができるわけはありませんが、私たちは上田さんらの熱意にほだされ、環境アセスメントに着手することになったのです。
 
 上田さんら、私たちが数ヶ月かけ調査し作成したの報告書をもとに、事業者であるサッポロビール本社、渋谷区(行政、議会)、東京都(都市計画局、環境保全局、議会)、環境庁などに問題個所とその解決のための政策提言を行い続けました。

 推定で3000億円になんなんとする東京都渋谷区から目黒区にまたがるJR山手線内側の巨大都市再開発事業、それに真っ向から挑んだ上田さんですが、その上田さんは、毎日新聞社のインタビューに応え次のように話しています。「環境アセスは、事業者が入学試験の問題を自分でつくり、回答、採点、成績発表までする、これ以上の自作自演はない、これで落第するはずがない」と。まさに至言です。事実、日本の法律や条例に基づく環境アセスメントで、「落第」はおろか、それにより当初の巨大都市再開発計画が大幅に修正された例はほとんどありません。


出典:青山貞一 環境総合研究所(当時、東京都品川区)

 以下は上田さんの恵比寿三丁目協議会と私たちの環境総合研究所(東京都品川区、当時)が行ってきた主に環境調査、環境アセスメント、環境事後調査の途中までの経緯です。


出典:青山貞一 環境総合研究所(当時、東京都品川区)

 ところで、この分野「一匹狼」のシンクタンク、環境総合研究所は、ドクターXならぬリサーチャーXとして、権威を嫌い、群れを嫌い、組織を嫌い、叩き上げのスキルと正義感で上田明さんたちの活動を徹底的に支援したのです。青山のモットーは、環境分野で社会正義を実現すること。国際的視野をもちながら、同時に第三者的立場の研究者として環境問題の現場に積極的に関わることです。

 下は1990年当時の青山貞一以外の環境総合研究所スタッフです。右側の2人はその後、加わった鷹取さんと斉藤さんです。鷹取さんは現在、環境総合研究所代表取締役です。



1990年当時の環境総合研究所スタッフ 
右側の2人はその後、加わった鷹取さんと斉藤さん
鷹取敦さんは現在、環境総合研究所代表取締役です。
出典:青山貞一 環境総合研究所(当時、東京都品川区)

 住民依頼の環境アセスメントでは、通常の交通量、気象、大気汚染、騒音、振動などの調査に加え、予測でも画期的なシミュレーションを次々に敢行しました。

 私たちは、今から23年前、当時研究開発したばかりパソコンで動かす3次元流体シミュレーションモデルをつくばの研究所の風洞実験で検証し、100mのビルが4本も林立する恵比寿ガーデンプレイスに、土地利用、根幹的施設配置、交通流、発生集通交通量推定を検討した後、建築物、構造物を全面的かつ詳細に考慮し風の流れ、大気汚染、景観のシミュレーションに挑戦、大きな成果をあげたのです。
 


 事業者側は、3000万円以上かかる建築風洞実験を使って調査していましたが、私たちは風洞実験施設で検証した高速パソコンの3次元シミュレーションを駆使し、100mを超すビルが林立する恵比寿ガーデンプレイスの風況予測、大気汚染予測を敢行したのです。20年以上前のことです。

 このパソコンの3次元シミュレーション・システムは、山間地に計画された道路の3次元しにゅレーションや2011年3月の福島第一原発事故並みの事故が他の原発で起きた場合の地形を考慮した3次元流体シミュレーションにも応用してゆくことになります。



 さらに、当時、ある大手民間企業の研究部門から頼まれてつくった、3次元の景観分析シミュレーションソフトも恵比寿ガーデンプレイスのアセスメントに適用することになります。以下は景観予測シミュレーションの一部です。

 
出典:青山貞一 環境総合研究所(当時、東京都品川区)


出典:青山貞一 環境総合研究所(当時、東京都品川区)

 以下は地域の現状交通量と将来交通省を想定したNO2(二酸化窒素)大気汚染のシミュレーションです。


開発前 24時間交通量
工場跡地都市再開発 恵比寿ガーデンプレイスの事例
出典:青山貞一 環境総合研究所(当時、東京都品川区)


開発前 大型車混入率
工場跡地都市再開発 恵比寿ガーデンプレイスの事例
出典:青山貞一 環境総合研究所(当時、東京都品川区)


開発前 NOx濃度(自動車寄与)カラーメッシュ
工場跡地都市再開発 恵比寿ガーデンプレイスの事例
出典:青山貞一 環境総合研究所(当時、東京都品川区)


開発前 NOx濃度(自動車寄与)カラーコンター
工場跡地都市再開発 恵比寿ガーデンプレイスの事例
出典:青山貞一 環境総合研究所(当時、東京都品川区)

 以下は恵比寿ガーデンプレイスの住民環境アセスメントに使った環境総合研究所が独自に開発した大気汚染総合システムです。このシステムは、交通量、大型車混入率などの交通条件、風向、風速、大気安定度などの気象条件など、大気汚染に関連するあららゆる条件を変更した場合の結果がたちどころに画面に表示します。

 恵比寿ガーデンプレイスでは新設される都市計画道路の道幅、車線数だけでなく、一方通行にし場合に周辺の大気汚染がどう変わるかについてもほぼリアルタイムで液晶画面に表示します。


恵比寿ガーデンプレイス都市再開発事業における住民支援環境アセスシステム
出典:青山貞一 環境総合研究所(当時、東京都品川区)

 以下は恵比寿ガーデンプレイス開発前後の道路から排出される窒素酸化物大気汚染濃度を予測した結果です。この例では、右側の完成後の大気汚染がかなり悪化していますが、それでも恵比寿ガーデンプレイス内に新設される都市計画道路を一方通行とすることでかなり汚染は改善されていることが分かります。


出典:青山貞一 環境総合研究所(当時、東京都品川区)

 以下は、事業者側と住民側が行った道路からの大気汚染のシミュレーション結果があったことを報ずる東京都政専門誌、都政新報の記事です。この事業で、東京都自身も事業者でもあったわけですが、東京都の環境影響評価条例のもとに巨額で行われた環境アセスはおおくの場面で、予測が甘くその結果、開発前に比べ環境悪化が懸念されることになったのです。

 以下の都政新報がくりだす記事には、は東京都の行政だけでなく、議会、議員にも大きな影響をもっていました。


都政新報 1990年10月5日

 以下の毎日新聞の記事も、事業者側のアセス予測結果と住民側のアセス予測結果の違いをとりあげたものです。この手の記事が多数でたのです。


毎日新聞 1990年11月22日

 大気汚染に関して、とくに大規模設計変更となった地域冷暖房施設の煙突の高さです。恵比寿ガーデンプレイス開発では、いわゆるコージュネレーションシステムを援用するために大きな地域冷暖房施設を設置していますが、地域冷暖房施設の煙突の高さがあまりにも低かったため、ある風向時に、同じ敷地にある高級住宅棟(通称、億ション)を大気汚染が直撃することが分かったのです。

 下図にあるように、煙突の高さは当初の@案から、Aの案へ、として最終的にビジネス塔の屋上から排出させるBの案へと変更されました。


出典:環境総合研究所(当時、東京都品川区)

 これは煙突から排出される大気汚染が当初案@の22m及び次の第2案Aの45mでは、いずれも北風の場合103mの高さの住宅棟を直撃し、窓すら絵けられなくなることがシミュレーションにより分かったためです。ちなみに最終案となったビジネス塔の屋上は地上167mもあります。そのため、事業者は、この計画変更のためにビジネス塔に計画されたエレベータ3機のうち1機をつぶして煙突としています。

 以下は変更では朝日新聞がこの大きな計画変更を社会面で大きく紹介した記事です。


朝日新聞 1991年8月7日

 この恵比寿ガーデンプレイスの住民アセスは、マスメディアにとって格好の取材のネタとなりました。毎日新聞5本、朝日新聞4本はじめ膨大な量の新聞記事がでました。

 当初、上田さんらをストーカー扱いしていたサッポロビールの広報でしたが、次第にその見方を変えてゆきます。上田さんら恵比寿3丁目環境対策協議会は、私たちの詳細な調査に裏付けられた政策提言をもとに立法、行政、司法、マスコミなどに、調査結果を活用した活動を矢継ぎ早に展開しました。

 さらに何とサッポロビールや三越(中に入るデパート)などの株を買い、株主総会に行き、最前列でサッポロビールの経営陣を批判したのです。「なんで環境配慮や環境にやさしいことを標榜するビール会社が不動産会社、都市産業会社となり、恵比寿の環境を破壊するのか?」と。これには総会屋も真っ青となったそうです(笑い)。


 最終的に、恵比寿ガーデンプレイス開発をめぐる紛争は、東京都の公害調停に持ち込まれます。

 私たちは、環境アセスメントの段階だけでなく、恵比寿ガーデンプレイス事業を徹底監視するため、上田さんグループの一員が恵比寿ガーデンプレイス用地の近くにもつマンションの屋上を借りうけ、そこに電気と電話を引き込み本格的な環境測定局を設置し、大気汚染、騒音、振動、風向、風速、CO2濃度まで自動計測し、それらのデータをパソコン通信で1時間おきに監視できるようにしました。



 当時はインターネットすらない時代、大変でした! 池田こみちが中心となって開設したパソコン通信によるE−NETが威力を発揮しました。この会員だったのが鷹取さんです。鷹取さんは、その後、環境総合研究所に入社します。


1991年 の朝日新聞、読売新聞記事
出典:青山貞一 環境総合研究所(当時、東京都品川区)


出典:青山貞一 環境総合研究所(当時、東京都品川区)


<関連する論文・論考>

タイトル 主担当 掲載媒体
住民参加の環境アセスメント 恵比寿ガーデンプレイス(1) 青山貞一 東京都市大 2013年12月24日授業
住民参加の環境アセスメント 恵比寿ガーデンプレイス(2) 青山貞一 東京都市大 2013年12月24日授業
住民参加の環境アセスメント 恵比寿ガーデンプレイス(3) 青山貞一 東京都市大 2013年12月24日授業
住民参加の環境アセスメント 恵比寿ガーデンプレイス(4) 青山貞一 東京都市大 2013年12月24日授業
THE ENVIRONMENT AND CITIZEN PARTICIPATION IN JAPAN:
THE CASE OF THE ALTERNATIVE ASSESSMENT OF YEBISU GARDEN PLACE
Teiichi Aoyama Environmental Research Institute
サッポロビール恵比寿工場跡地再開発事業による周辺地域への環境影響調査報告書 環境総合研究所 平成2年9月
サッポロビール恵比寿工場跡地再開発事業による周辺地域への環境事後調査報告書 環境総合研究所 平成6年3月
恵比寿ガーデンプレイス環境事後調査報告書 環境総合研究所 平成7年4月
恵比寿ガーデンプレイス環境事後調査報告書 環境総合研究所 平成8年4月
恵比寿ガーデンプレイス環境事後調査報告書 環境総合研究所 平成9年5月
地域環境計画の策定支援技術の現状 青山貞一 季刊環境研究、第98号、1995年
住民の依頼による環境アセスメントの実施事例 青山貞一 (国際影響評価学会ニューズレターNo.3)
環境と住民参加、恵比寿ガーデンプレイスにおける代替アセスの事例 青山貞一 法律時報、1997年
恵比寿ガーデンプレイス−住民参加型アセスメン 環境アセスメントここが変わる 青山貞一 環境技術学会編 1998年12月21日
今、なぜ環境政策支援ソフトか! 〜21世紀は「環境と情報」の時代 青山貞一 環境技術、Vol 29、2000年2月号
「2003年問題」環境負荷の観点から〜恵比寿ガーデンプレイスを事例として 青山貞一 日本動産学会誌、 No.65 Vol.17 No.2 PP68-731
低炭素型都市・地域づくりにむけての政策的課題〜東京都心部再開発を事例として 青山貞一 日本不動産学会誌、100号
SEAの予測技術の課題と実際、環境アセスメントと不動産開発 青山貞一 不動産学会誌、104号掲載論説、2013年6月

◆関連新聞記事


・環境アセスに疑問、一石投ずる住民報告書、毎日新聞、1990年10月17日






・167メートルに伸ばします、朝日新聞、 1991年8月7日



・空気の汚れ工事並み、毎日新聞、1994年11月26日



毎日新聞 1990年10月4日


毎日新聞 1990年11月22日


毎日新聞 1990年10月17日

新聞の中には東京都政専門誌、都政新報の記事もありました。この事業は東京都の環境アセスメント条例の手続をつかったただけでなく、東京都は事業者でもあったからです。都政新報は東京都の行政だけでなく、議会、議員にも大きな影響をもっています。


都政新報 1990年10月5日


<関連論文、論考、資料>

・環境総合研究所(東京都品川区、当時)、サッポロビール恵比寿工場跡地再開発事業による周辺地域への環境影響調査報告書、平成2年9月

・環境総合研究所(東京都港区、当時)、サッポロビール恵比寿工場跡地再開発事業による周辺地域への環境事後調査報告書(pp70)、平成6年3月

・環境総合研究所、恵比寿ガーデンプレイス環境事後調査報告書、平成7年4月

・環境総合研究所、恵比寿ガーデンプレイス環境事後調査報告書、平成8年4月

・環境総合研究所、恵比寿ガーデンプレイス環境事後調査報告書、平成9年5月

・青山貞一、地域環境計画の策定支援技術の現状、季刊環境研究、第98号、1995年

・青山貞一、住民の依頼による環境アセスメントの実施事例(国際影響評価学会ニューズレターNo.3)

・青山貞一、環境と住民参加、恵比寿ガーデンプレイスにおける代替アセスの事例、法律時報、1997年

・Teiichi Aoyama、The Environmento and Citizen Participation in Japan: The Case of The Alternative Assessment of YEBISU Garden Place、Alternatice Media E-wave Tokyo, http://eritokyo.jp/eri-english/ygp/ygp-english1.htm

・青山 貞一、恵比寿ガーデンプレイス−住民参加型アセスメント 、環境アセスメントここが変わる、環境技術学会編、 1998年12月21日発行

・青山貞一、今、なぜ環境政策支援ソフトか! 〜21世紀は「環境と情報」の時代〜、環境技術、Vol 29、2000年2月号 http://eritokyo.jp/envsoft/env-soft1.html

・青山貞一、「2003年問題」環境負荷の観点から〜恵比寿ガーデンプレイスを事例として〜 日本、不動産学会誌、 No.65 Vol.17 No.2 PP68-731

・青山貞一、低炭素型都市・地域づくりにむけての政策的課題〜東京都心部再開発を事例として〜Policy Issues toward Low Carbon City Building ?Case Study of Urban Renewal Project in Down Town Tokyo-、日本不動産学会誌、100号

・鷹取 敦、青山 貞一 、牛島 聡美、 東京大気汚染公害裁判における大気汚染シミュレーション調査(提出証拠)の概要について、環境行政改革フォーラム、2000年研究発表会予稿集

・青山貞一、SEAの予測技術の課題と実際、環境アセスメントと不動産開発、不動産学会誌、104号掲載論説、2013年6月

・青山貞一、環境調査と環境アドボカシーで歩いた世界、青山貞一東京都市大学最終講義、http://www.youtube.com/watch?v=eruE9AkoScg、独立系メディア E-wave Tokyo、YouTube 2011年4月

・住民独自のアセス調査、毎日新聞 1990年10月4日

・二つの報告書に大きなズレ、都政新報、1990年10月5日

・環境アセスに疑問、一石投ずる住民報告書、毎日新聞、1990年10月17日

・167メートルに伸ばします、朝日新聞、 1991年8月7日

・空気の汚れ工事並み、毎日新聞、1994年11月26日


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