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瓦礫広域処理問題
北海道講演ツアー敢行記

池田こみち(環境総合研究所)

掲載月日:2012年5月1日
 独立系メディア E−wave


 ゴールデンウィーク前半の3連休、私は北海道内3地域での災害がれき広域処理問題の講演会を依頼されて出かけてきた。

 日程は、28日(土)の午後6時半から札幌市内、29日(日)午後1時から苫小牧市内、同日午後6時から室蘭市内である。

 幸い、北海道もようやく陽射しが暖かくなり春の訪れを感じられる気候に恵まれた。連休中にもかかわらず、各会場とも100名近く方々が参加され、質疑も熱心行われ成功裏に終了することができた。

 札幌会場での講演の模様は既にIJWのアーカイブで視聴していただくことができる。




★池田こみち氏ガレキ広域処理問題講演会 IWJ 北海道 USTREAM
http://www.ustream.tv/recorded/22185114

 北海道は、経済産業省出身の高橋はるみ知事が受入を表明し、道内市町村への協力要請も行い、既に北海道独自の受入基準も策定していることから、徳島県のスタンスと好対照となっている。


図1 徳島と北海道のスタンス

 既にご承知の通り、全国では、この問題に対する札幌市長の見識ある見解が高い評価を得ており、各方面からいやがらせや批判を受けている市長を応援しようと、市長を支援する市民の会も立ち上がっている。

 現在、札幌市民は道内の他の市町村の動きに着目し、広域処理受入反対の運動をねばり強く展開しているところである。脱原発市民グループ「Shut泊」のメンバーを中心に女性を中心とした活動活発に展開されている。札幌会場にはニセコ町役場からも二人が参加されていた。講演の最後でERI版SPEEDIによる泊原発の事故時のシミュレーション結果をお目に掛けたが、会場が一瞬静まりかえるほどだった。西風のとき、札幌市は大きなダメージを受けることが明確となったのだ。

 さて、現状では、道内の市町村の中で唯一受入を表明しているのが苫小牧市の岩倉市長である。4月3日に岩手県の宮古市などを視察し岩手県職員から受入の要請を受けているという。

◆日テレニュース:苫小牧市長 宮古市の震災がれきを視察
http://www.news24.jp/articles/2012/04/03/07203134.html

 当初は、がれきの焼却処理を前提に受入を表明していたようだが、その後木質系がれきに特化して受入、リサイクルボードを製造して被災地に建材として送る、という方針を打ち出し、賛否両論が渦巻いている。しかし、岩倉市長のバックには出身母体の岩倉建設、株式会社イワクラ(木材加工、リサイクル業)がいることから、「利権」の噂も高く、市民の不信と反発をかっている。

 苫小牧会場には、小さな子どもづれの若いお母さんたちとともに、95歳と84歳のご夫妻も参加され、熱心に耳を傾けてくださった。苫小牧から室蘭への移動があったので、ここではゆっくりと質問をうけている時間がなかったのが心残りだったが、私の後、第二部として、「PPSについて考える」と題する講演が引き続き行われる予定となっていた。

 苫小牧から特急北斗に乗って一路室蘭へ。東室蘭駅では実行委員会の二人のメンバーが迎えてくださった。五時半開場、六時開演だったが、五時過ぎからぼつぼつと集まりはじめ、六時にはほぼ満席(100人超)となっていた。

 室蘭市は言わずと知れた製鉄の町、まだ市長や市議会で受入の明確な表明などは行われていないが、産業界への依頼は寄せられており、新日鐵や日鉄セメントでは、「安全が確認されれば受け入れる」とも表明している。しかしその場合でも市民への説明は避けて通れない。また、もし市が受入を表明すれば、伊達市と室蘭市の境にあるガス化溶融炉メルトタワーで処理されることになるがそれにはさまざまな課題がある。

 室蘭会場では、10年以上前から松葉によるダイオキシン調査で一緒に活動してきた市民運動グループのみなさんにもお目にかかることができた。講演は6時から7時30まで、その後40分くらい熱心に質疑応答が行われた。

 室蘭会場には、室蘭市議だけでなく、近隣の伊達市、登別市などからも市議のみなさんが大勢参加されていた。

 かくして怒濤の北海道講演ツアーを終え、無事に帰京した。

 各地で準備から当日の段取りまで裏方のサポートをしていただいた皆様にお礼申し上げます。

 なお、今回の北海道講演ツアーの共通資料(レジメとPPTの抜粋資料)は以下の通りとなっている。

●レジメ(PDF)
●パワーポイントスライド(PDF)

 各会場で泊原発のERI版SPEEDIによる予測結果を見ていただいたが、それについては独立系メディアの以下のサイトをご覧いただきたい。

●ERI版SPEEDIによる原発事故の影響範囲推定
D泊原発(北風系)青山貞一 鷹取敦 環境総合研究所(東京都品川区)
http://eritokyo.jp/independent/aoyama-3d005.htm
(リンクは可ですが、転載は厳禁です)