エントランスへはここをクリック!  

環境省所管
公益法人の事業仕分け
〜天下り先温存と委託業務の不透明さ〜

池田こみち
環境行政改革フォーラム副代表
 2010年5月21日
初出;独立系メディア
 
無断転載禁

 5月末になって、いよいよ事業仕分け後半がスタートした。今回は各省庁所管の公益法人がその対象となっている。その中で環境省所管の団体はわずか2団体、財団法人日本環境協会と社団法人日本の水をきれいにする会である。

 今回、TBSテレビの報道番組からコメントを求められたので対応した。フォーラムではこの間、環境省所管公益団体の立入検査内容等について、情報公開請求を行うなどしてその問題点を指摘してきたこともある。 

 対象となった(社)日本の水をきれいにする会は、環境省による立入検査において過去、一般競争入札原則の徹底などを求められたことがあり、業務の受発注に問題がある団体のひとつであった。

 環境省から受注した委託業務に関連し、次のような問題点が指摘されている。

@受注形態

 一般競争入札で、説明会には10社程度参加したにもかかわらず、最終的に応札したのは当該社団法人のみであった。受託額は1300万円ほどである。

A組織体制

 当該社団法人の組織体制は専務理事と事務局員の二人のみであり、事実上、そうした調査研究が行える体制がない。データを地図に落とす技術やソフトも持っていないことから、結果として650万円で外部調査機関に外注(再委託)して
 いる。

B調査方法

 再委託された民間調査機関の担当者が漁協を訪問し1時間ほどヒアリング調査 を行っているが現場の河川には行っていない。内容は国土交通省や環境省の関連調査の内容をコピー&ペーストして地図におとしただけというお粗末な内容である。

 これらのことから明らかなことは、そもそも調査研究が受託できる組織体制でない外郭団体に一社応札で入札を認める環境省の体質こそが問題と言わざるを得ない。

 天下り先を温存し、それによって本来そうした調査を受託できる民間調査機関の機会を奪い、税金が社団法人の人件費のためにピンハネされることは重大な問題である。

 この調査の委託予定額と入札額の差がどの程度であったのか、などさらに調査が必要のようだ。

 事業規模、予算規模は小さいとは言え、所管官庁からの委託業務がこうした不透明な形で継続されている外郭団体が多数存在していることは間違いなく、全面的な見直し、仕分けが行われる必要があるだろう。

 金額に見合った調査内容が盛り込まれた報告書が広く一般に公表され役立っているのかどうか、費用対効果の面から総点検が必要である。


2010年5月21日 TBS 朝ズバ でコメントする池田こみち副代表


2010年5月21日 TBS 朝ズバ でコメントする池田こみち副代表