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戸田市美女木小周辺の産廃施設

から高濃度有害ダイオキシン類発生!?


池田こみち Komichi Ikeda
環境総合研究所顧問
掲載月日:2019年5月22日
独立系メディア E−wave Tokyo
 無断転載禁


 埼玉県内の大気中ダイオキシン類についてデータを整理していたところ、大きな問題を発見しました。

 以下の図はいずれも今日の報告会で使用したPPTからです。最初の表は埼玉県が公表している毎年の埼玉県内の大気中ダイオキシン類測定結果です。平成28年度と25年度を示しています。


埼玉県内の大気中ダイオキシン類測定結果。平成25年度
出典:埼玉県


埼玉県内の大気中ダイオキシン類測定結果。平成28年度
出典:埼玉県

 測定はどこも、「一般環境測定局(近くに固定発生源がないところ)」「固定発生源周辺測定局」、「自動車排ガス測定局(沿道など)」の3つのカテゴリーに分けられて測定されている。みると、この二年度は自動車排ガス局の「戸田市美女木交差点」が極めて高いことがわかります。一般に自動車からはダイオキシン類はほとんど出ない。なのに何故?と思うのが普通だが、役所はそう思わないらしい。

 美女木交差点といえば、外郭環状道路と首都高5号線が交差する一大交差点で、自排局としては相応しいはずだが、ダイオキシンがそこまで高いのはおかしい。Google mapsで周辺をみたり、県のダイオキシン類自主測定結果などをみていくと、美女木交差点のすぐ近く(直線で1km弱)に劣悪な産廃の煙突が見えた!かつての所沢を彷彿とさせる。

 そこで、さらに調べていくと、この県のリストには掲載されていないが、戸田市がこのすぐ近くにある戸田市立美女木小学校でダイオキシン類の測定を行っていたのだ。なんと、その小学校で、何度も大気中ダイオキシン類の環境基準を超過する濃度が検出されていたのだ。青山と私は、連休前に群馬に行く途中、あまりにも不思議だったので、美女木交差点周辺を視察してその焼却炉を突き止めた。



美女木自動車排ガス局周辺の焼却炉
出典:池田こみち 講演パワーポイント 2019-5-22



戸田市美女木小学校周辺のサイン業廃棄物施設
出典:池田こみち 講演パワーポイント 2019-5-22

 県のダイオキシン関連のWebにはそのことは記載されていないが、戸田市の年次環境報告書には、「美女木小学校で環境基準の超過が見られたが、未解明な部分が多く、原因は特定されなかった」などと書かれている。原因は一目瞭然なのになぜこんな変な説明になっているのか?


平成28年度 大気中ダイオキシン類ちょすあ結果、戸田市
出典:池田こみち 講演パワーポイント 2019-5-22

出典:池田こみち 講演パワーポイント 2019-5-22

 誰が見ても小学校での基準超過は200mしか離れていないその産廃業者の低くて太い煙突からのものに違いないし、自動車排ガス局のダイオキシンがいつも高いのもそこに原因があることは疑いようがない。

 さらにみていくと、その業者の焼却炉は平成28年度で閉鎖となっていた。で、やはり29年度の濃度は低くなっているのである。

 こうした、行政のデータは、何の評価も解説もないまま掲載され大きな誤解をうむことを改めて行政の担当者は肝に銘じ、県は市に対して十分な情報提供を行うべきであるとつくずく感じた。つまり、日本のダイオキシン類濃度は測るべきところで測定されていないのが実態ということだ。