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政争に終わらせてはいけない
東京都の社会福祉法人問題(1)

〜事の発端〜

青山貞一


掲載日:2005.6.7

 7月上旬の東京都議選を控え、東京都議会では、外からでは訳が分からぬ政争が起きているように見える。

 マスコミ情報だけを見ていると、あたかも石原慎太郎都知事の副知事人事問題に終焉しつつあるこの問題だが、事の発端は、
2005年2月23日、東京都の包括外部監査法人が公表した報告に記された都の外郭団体の運営をめぐる疑義、疑惑にあったようだ。

 しかし、いつの間にか、外郭団体の運営を巡る疑義、疑惑はどっかにすっ飛び、議会に設置されたいわゆる百条委員会での浜渦副知事の発言問題にすり替えられた感が強い。

 当初、この外郭団体問題を追っかけたマスコミだが、途中から浜渦副知事らの百条委員会への召喚に問題をすり替えさせられた感が否めない。

 そこで、独立系メディア「今日のコラム」では、本題、すなわち東京都の外郭団体問題に立ち返り、政争とは離れ一体何に疑義があり、疑惑があるのかにつき、可能な限り肉薄してみたい。

 永年、かなりの都民税を支払い続けている身としても、この問題は不可思議で看過できない!


事の発端!

 東京都議会は2005年3月末、一端定例会を閉会した。

 しかしその後、2005年2月23日になって東京都の包括外部監査報告が公表され、その中で東京都練馬区にある東京都社会福祉事業団が設置した社会福祉総合学院の運営委託事項が取り上げられた。

 包括外部監査報告は、以下に示すように、監査結果で20項目にわたりその運営委託に係わる疑義を指摘している。

 社会福祉法人東京都社会福祉事業団の経営管理について

 第1 監査の概要

1 監査の種類
2 監査の対象

 第2 監査の結果

意見(2−1)指定管理者制度を見据えた人員配置の見直しの必要性について
意見(2−2)事業団施設と民間施設との比較による競争力の確保について
意見(2−3)指定管理者制度における管理代行方法の構築について
意見(2−4)指定管理者制度導入時における公募条件とプロセスについて
意見(2−5)児童の質的変化に対応した児童養護施設の体制の整備について
意見(2−6)児童養護施設の効率的な調理員の配置について
意見(2−7)障害者施設の調理費用の再検討について
意見(2−8)事業団の受託している施設間の食材単価の効果的な情報交換について
意見(2−9)授産施設の有効活用について
意見(2−10)障害者施設において利用者の能力をより発揮できる支援体制の充実化について
意見(2−11)東京都社会福祉総合学院通学課程の運営方法の抜本的な見直しについて
意見(2−12)東京都社会福祉総合学院の運営の改善について
指摘(2−1)学院における物品管理指導の改善について
意見(2−13)本部業務の改善等の必要性について
意見(2−14)管理会計を認識した損益計算書の作成と有効な活用について
意見(2−15)苦情解決の対応について
意見(2−16)児童養護施設の事故記録の整備と再発防止に向けた職員の意識啓発について
指摘(2−2)委託料により購入した物品の適切な管理について
意見(2−17)職員のメンタル面でのサポート体制の充実について
意見(2−18)より利用者の視点に立った福祉サービス第三者評価結果の情報提供について
意見(2−19)福祉サービス第三者評価結果の有効活用について
意見(2−20)ペイオフ解禁対策の実施について

 上記の包括的外部監査報告のなかで特に問題となったのは、以下の東京都社会福祉総合学院の運営の改善についてである。

意見(2−12)東京都社会福祉総合学院の運営の改善について


 学院の建物は、学院の委託事業および独自の福祉人材養成事業を学院の建物を用いて行うという条件のもと公募した結果、平成14年4月に特定の学校法人に5年間の定期建物賃貸借契約を結んで一括賃貸されており、建物の90パーセント相当部分は特定の学校法人が使用し、賃貸料収入は事業団の収益事業として計上されている。

 学院の建物は、特定の学校法人が継続的に使用する可能性があるが、借入金償還額および利息相当額は、すべて都からの補助金として事業団に支出されており、現況を維持すれば、今後、平成22年までに約18億円、累積で約21億円が都から支出されることが見込まれている。

 学院建物の賃貸料はプロポーザル方式による提案額を参考として決定されている。平成15年度の賃貸料は56,700千円であるのに対し、その維持コストは、東京都が所有する土地の地代を考慮しなくても現在の賃貸料より大きな費用であり、学院建物の建設経緯と福祉人材養成機関としての性質を考慮しても現在の賃貸料とは大きな乖離がある。

 施設の活用状況を見ても、1)シャワー設備付きアリーナ、2)防音装置付きピアノ練習室および3)OA室等の利用度はきわめて低いままになっている。

 よって、このような学院運営の実態を踏まえ、都からの補助を極力削減できるよう、学院の運営のあり方について抜本的な見直しを図られたい。

 この場合、現在の資産の活用方法については、事業団・局内だけではなく、都全体としての有効活用を含めて検討されたい。

 なお、事業団が契約を更新する場合には、賃貸料等の改定交渉を行うなどの対策を講じられたい。


 上記の包括的外部監査報告の内容を読んだだけで、すぐに問題の所在が分かるひとはまずいないだろう。そこで以下に問題の所在を解説する。

つづく