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政争に終わらせてはいけない
東京都の社会福祉法人問題(2)

〜何が問題か〜

青山貞一


掲載日:2005.6.7
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◆まず東京都社会福祉総合学院とは?

 東京都は福祉人材を養成する事業を独自で行なうという前提で、東京都が全額を出資する東京都社会福祉事業団に都有地を無償で貸し付けた。さらにその土地の上に社会福祉事業団が東京都からの補助金で建設した施設が今回問題となっている東京都社会福祉総合学院である。

◆その学院と民間の学校法人との関係

 この東京都社会福祉総合学院は施設の建設中に当初計画が変更となり、学校教育を終え社会に一端出た後、最新の知識や高度な技術を習得するために行なわれるいわゆるリカレント教育に特化するということになった。その結果、東京都社会福祉総合学院は開校時、昼間はほとんど施設を利用しないことになっていた。

 東京都社会福祉総合学院は、翌年、昼間に空いた教室を民間の学校法人に貸し付けた。同時に、夜間行なっている学院の事業も、同じ民間の学校法人に運営委託するとしたのである。

 その後、民間の学校法人は東京都社会福祉事業団と5年間の定期建物賃貸借契約を結ぶとともに、新たな専門学校である臨床福祉専門学校を設立し昼間の空いた教室を使用し現在に至っている。

何が問題なのか?

 上記を前提に何が問題かを述べてみる。

 東京都は当初、社会福祉事業団が独自で事業を行なう前提で土地を無償で貸し付けた。しかし、社会福祉事業団の自主事業は夜間だけであり、昼間は民間の学校法人が設立した専門学校臨床福祉専門学校が建物を使用している。さらに社会福祉事業団が設置した社会福祉総合学院も同じ民間の学校法人が委託を受けている。

 すなわち、民間の学校法人が事実上、建物も土地も一体的に占有する状態になっている事になる。

 以上の説明では、一切補助金額など金銭面について触れていない。次に、金銭面について説明しよう。

 社会福祉事業団は金融機関から融資を受け校舎を建設しているが、金融機関への金利を含めた返済は、すべて東京都からの補助金で行なっている。今後とも、民間の学校法人が施設を継続的に使い続けるとすると、東京都が民間の学校法人に補助金を出し続けることになる。包括的外部監査報告によると、その総額は21億円にのぼることになると言う。
さらに、包括外部監査は、建物のテナント料(賃貸料)自身が地代を考慮しないとしても、現在のテナント料の相場から見てかなり低いとしている。

つづく