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市民が変える!社会が変わる!
青山 貞一(政策学校「一新塾」代表理事)

掲載日:2004.6.30
一新塾にて

 7年前から政策学校「一新塾」の講師をさせていただいておりました。

 その一新塾が株式会社からNPO法人に移る時、依頼を受け代表理事に就任しまいた。私が主に政策分野、片岡 勝さんが社会起業家分野、全体統括、事務局長を森嶋さんが担当するということで、新しく3本柱でやってきました。

 私は大学卒業後、30年以上、環境問題分野一筋にシンクタンクやコンサルタントをしてまいりました。昨年から横浜市都筑区にあります武蔵工業大学環境情報学部に教授に席をおいています。同時に民間の環境総合研究所の代表をしています。さらに今春から長野県知事の田中康夫さんからの依頼で「特別職、非常勤」で長野県環境保全研究所に週に一回の割りで行っております。

 その長野県ですが、毎日が「組織変革」という状況にあり、ものすごいスピードで行政そのものが変わっていることを実感しています。もし、将来日本に道州制などの連邦制が導入された場合。つまり本格的な地方分権になった時、果たして何が長野県に可能か、税制、財政、財源、権限、立法などにおいて、どこをどう変えるのか、その「見本」を見せるべきと考えます。長野県はそのモデルとして日本が変わる現場であると思います。

 ここ数年言っていることですが、日本人の多くには、「観客民主主義」です。同時に「手続民主主義」が蔓延しています。日本人の圧倒的多くは、文句や批判はする。また手続についてあれこれ批判はしますが、肝心なコンテンツ、つまり本質的内容については何も提案しない、さらに提案したとしても行動しないのが現実です。これでは日本は変わりようもありません。

 私の持論は、リスクを背負って現場に飛び込むことによってしか世の中は変わらないと言うことです。しかし、マスコミも含めて自分はぬくぬくとしていながら世の中を批判する。しかも孤立を恐れず必死にがんばっている者を本質的でないことで袋だだたきにする。寄ってたかって叩く、それによって改革や変革が遅れる。これの繰り返しだと思います。これはとても恥ずかしいことです。日本人に今一番求められていることは、主体的に考え、行動することです。自分の考えを求められればはっきりと自分の考えを言えることです。

 政策学校「一新塾」は、松下政経塾と全く違います。色んな立場や考えの方が集まり、しかも自分で授業料を払って集まっています。皆、お互い違うことを持ちながら、すなわち、小異を持ちながら大同につく、大同につくということは日本を変えることです。

 一新塾では「議論すること=対話を示すこと」を重要なこととしています。塾生が純化し、政治集団、思想集団という風にならず、一新塾はやはり主体的に自分が提案し、自分が行うところなのです。

 ところで「市民が社会を変える」とは、現実の政治や行政を変えることを意味します。ですから、一新塾生のひとつは、政治を目指すということにあります。現在の地方政治には、女性の存在が非常に少ない、これは大きな問題です。女性は潜在力があります。新しい職場として政治を目指すべきではないでしょうか。選択の中に是非入れていただきたいものです。

 もう一つは、大企業などの中で「寄らば大樹の日陰が暗い」で自分がやりたいことも出来ない、そのうち、40歳になり、50歳にもなる。もっと自分がやりたいことがあるならばやってみる、ということが問われます。もちろん能力やオンリ−ワン的なものがないと、起業としてうまくいかないかもしれませんが、チャレンジしてみる。こちらは片岡さんの方で一新塾でがんばられて多くの方が起業されておられるのですが、失敗は恐れることはないと思います。失敗こそが将来の肥やしとなると思うからです。

 今日のテーマは、「市民が変える!社会が変わる!」です。これは「市民が変わることによって社会が変えられる」ということです。皆さんが、一新塾の門をたたき、議論、ディベートし、ある方は政策立案能力を高め、ある方は政治家に、ある人は起業し、と道は違えども、この日本を変えてゆくという一点にあって、一新塾の存在意義があり、ここに寄せる思いもあるという風に思っているわけです。

 言ってるだけでなく具体的にやってゆく行動することが肝心です。大前さんも私も長野の田中康夫さんも、言ったことを実行しているのです。

 最近、歌手の加藤登紀子さんと話をしていたところ、「今、日本では静かに底流で社会革命が進行しています。」という話が出ましたが、その通りだと思います。非常に厳しい中で日本は大きく変わろうとしいているのです。

 今は、それぞれが自分の立場で自分の身の周りで革命に関与するという時代なのです。

 私達が社会革命をそれぞれが認知し、それに関与する時代。例えば、あと5年以降に半分の大学がつぶれる、など私達を取り巻く環境が著しく変化してゆきます。井の中の蛙でいるのではなく、それに早く気がつくことが大切です。是非「日本の常識が世界の非常識である」ということを体得され、もっと開かれた日本にし、日本社会を変えていただきたいと思います。

◆政策学校「一新塾」10周年プレイベントにおける青山貞一の基調講演より
当日の講演録をもとに青山が加筆、修正しています。
(2004年4月24日、東京都大田区)

武蔵工大環境情報学部(横浜市都筑区牛久保西)       http://www.yc.musashi-tech.ac.jp/~aoyama/ 
株式会社環境総合研究所(東京都品川区)
http://eritokyo.jp/ 
長野県環境保全研究所(長野県長野市安茂里) 
http://www.nagano-eikouken.or.jp/