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地方自治法と副知事
   青山 貞一

 掲載日:2004.3.12

 地方自治法の第3款の補助機関には、以下にあるように、副知事及び助役は、普通地方公共団体の長が議会の同意を得てこれを専任するとある。簡単言えば、知事や市長は、その女房役である副知事や助役を自分で選ぶことができないのである。

第3款 補助機関 
第162条 副知事及び助役は、普通地方公共団体の長が議会の同意を得てこれを選任する。

 日本の地方自治法にある知事や市長の権限は、米国の大統領に類する絶大なものと言われるが、何と副知事、助役を自分で選べないのである。その結果、日本のあちこちで、知事が選んだ副知事、市長が選んだ助役を議会の多数派野党が拒否し、副知事や助役を置けない異常な状態がつづいている。東京都、長野県、神奈川県などなど、全国各地で起きている。

 地方自治法における上記の規定を「チェック・アンド・バランス」などと言う人がいるが、私はそれは間違いであると思っている。本場米国では、大統領は副大統領を指名できる。そもそも自分の女房役を自分で選べないこと自体、まったく理不尽なことである。

 地方政治におけるチェック・アンド・バランスは、本来、知事を頂点とした行政と議会の間であるべきであり、せいぜい、知事と出納帳、議会の間であれば十分である。行政の中核、執行機関の長と副知事や助役との間で、なぜチェックアンドバランスが必要なのか、実に理解に苦しみ。

 その結果、知事は副知事の実務を兼ねることになり、知事本来の仕事に停滞が起こる。

 地方自治法にはいくつも改正すべき点があるが、知事や市長が副知事、助役を自ら選べない現行制度はぜひとも改善すべきものの筆頭であると考えるが、いかがなものであろうか。