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変わる台北市(1) 大渋滞地下鉄
 青山 貞一

掲載日:2004.8.17

 九州とほぼ同じ規模の国土に2200万人以上の人口がひしめくのが台湾だ。その台湾の中心は言うまでもなく北部にある台北市である。人口は現在260万人ちょっとである。日本の東京同様、台湾でもこの台北市に人口、経済、文化などすべてが集中している。

 日本では東京周辺を含め大東京(Greater Tokyo)と呼称するように、台湾でも台北縣などを含めた地域を大台北(Greater Taipei)と呼称している。

 大台北圏には、桃園、新竹、新店、中歴などいわば業務各都市が発展し、台湾に行くたびにそのすさまじさにおどろかされる。

 私(青山)はすでに20回以上、台湾を訪問しているが、今回とくに驚かされたのは、蒋介石国際空港(CKS機場)から台北市内に向かう途中の高速道路の大渋滞であった。中華航空でCKS機場に到着したのが午後4時40分頃、夕方に市内に向かうのだからそれほどの渋滞にはならないと思っていた。

大台北圏(台北市南部、台湾大学近くで)

 ところがどっこい、桃園を過ぎたことから片側5車線もある高速道路が次第に混み出し、台北市に入る前の片側14ブースもある大料金所ではまったく身動きがとれないほどの大渋滞となった。夕方に台北市の中心に向かう道路がなぜこんなに大渋滞するのか理解に苦しむが、未だかつてないことだ。よく見ると、バスはいるが、トラック系はそほどいない。

 大東京と大台北は規模では比較にならないが、共通しているのは、一極集中である。他方、都市構造として共通していないのは、交通体系である。東京には膨大な地下鉄、私鉄網など、鉄道系交通網がおそらく世界一整備されているが、大台北圏はごく最近やっと数系統が整備されただけの地下鉄(MRT)があるだけだ。

台北の地下鉄は実に立派!

 今回はじめて台北のその地下鉄に乗ってみた。駅は写真にあるように実に立派なデキである。ひょっとして防空壕を兼ねているのではないか、と思わせる。

 台北の地下鉄料金は、初乗りの最低料金が20NT$、日本円で70円程度安い。台北は昔から観光を重視し、タクシー、バスなどの公共交通料金も日本の1/2〜1/3であったが地下鉄でもそれが反映されている。

 都市規模の対応する鉄道系公共輸送機関の整備と言う観点からは、現状では東京の1/10以下、したがって東京都心顔負けの大渋滞がますます激しくなるわけだ。
フランスから技術導入した地上部を走行する台北市のMRT
 右は軌道のみ、左は電車走行中

 ところで、台北の鉄道系公共輸送機関で日本の大都市に大いに参考となるものがある。台北市がフランスから技術導入した地上部を走行するMRTと呼ばれる公共輸送機関だ。写真にあるように、既存道路の中央分離帯上に軌道が建設されており、車道部の自動車交通には影響がない。

 東京都心部でも地下鉄に比べ数分の1の建設費で建設でき、しかも窓から市街が見物できるので、観光用にももってこいのはずだ。