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2005 スペシャルオリンピックス
冬季世界大会開会式
 
田中康夫長野県知事オープニングスピーチ

田中康夫

掲載日:2005.2.26
(音声wmaはこちら)  (英文版:English) 
(映像real形式はこちら)


 全国、全世界からお集まりの皆さん、よい子の皆さん、ちょっぴり悪戯(いたずら)っ子の皆さん、私は「『脱ダム』宣言」に謳(うた)われるが如く、日本列島の背骨に位置し、数多の水源を擁する信州・長野県で県知事を務める田中康夫です。

私達の信州・長野県は、年齢や性別、経歴や肩書、国籍や障害の有無を問わず、生きる意欲を有する人々に、より開かれた人生へと挑戦する公正な機会を提供する自治体=コモンズです。


 コロニーと呼ばれる閉ざされた施設の中で一生を過ごすのではなく、知的発達障害を乗り越えて、地域=コモンズの中で愛する人と一緒に暮らし、働く確かさを実感できるグループホームへの地域移行を、日本で最も先駆的に進める信州の地で「スペシャルオリンピックス冬季世界大会」が開催されるのは、私の喜びであり、誇りであります。

 現在、善光寺脇の県立信濃美術館では、スペシャルオリンピックスの開催に併せて、「アートSO」展が開催されています。それは、知的発達障害、或いは精神障害と共に生きる方々の作品を展示する企画です。

奇しくも、スイスはレマン湖(Lac Leman)の畔(ほとり)のローザンヌにも、私が敬愛する画家ジャン・デュビュッフェ(Jean Dubuffet)が設立した美術館「アール・ブリュット(Museee de L’Art brut)」が存在しています。

私は、「アウトサイダーアート」と一般には呼ばれる、こうした障害者が描いた作品を眺める度に、痛感するのです。

何の不自由もなく暮らしていると思い込んでいた私達の方が寧ろ、今から69年前にチャールズ・チャップリンの描いた「モダン・タイムス」の様に、効率至上主義の世の中で皮肉にも歯車の一部と化して、非人間的な日々の生活に追われている事を。逆に、障害と共に生きていく人々の方が正(まさ)に、“アール・ブリュット=なまの芸術”を紡(つむ)ぎ出せる、より人間的なインサイダーとしての私である事を。

スペシャルオリンピックスは、手を差し伸べようと考えていた私達の方が寧ろ逆に、人間として忘れ掛けていた「確かさ」や「喜び」を、改めて教えて貰える得難き集いなのです。多くの方々が、感動を超えて、人間としての自分を再確認する時空でありますように。どうも有り難う御座います。