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長野県議会が全面・大幅削除した
田中知事肝いりの事業予算!

青山 貞一
掲載日:2005.4.1


 
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 長野県の2005年2月県議会は、理由にならない理由、わかりにくい理由、ひとことで言えば「タメにする理由」(あらかじめ批判することが理由であると言う意味)で田中知事の肝いり予算が全額あるいは大幅に削除された。

 常日頃、田中康夫知事バッシングの急先鋒でまさに「タメにする記事」を書きまくっている信濃毎日新聞だが、その信毎の記者でさえ2月議会について次のように書いている。
  
相次ぐ予算修正  理由分かりにくさ
公式の場  議論不足
2005.3.23信濃毎日朝刊記事抜粋
 今県会の委員会審議は22日の総務委員会で終了し、来年度県当初予算案の削除、減額の修正案の可決は5件に上る。本会議でも修正案が可決される見込みだ。予算修正は、田中知事に批判的な8会派(現7会派)の幹事長らが朝食会で情報交換するようになった昨年2月定例会以降、目立っているが、踏み込んだ審議に至らず、削る理由、削らない理由が分かりにくいケースもある。
 註:田中知事に批判的な8会派(現7会派)は、自由民主党県議団、
   県民クラブ・公明、緑のフォーラム、志昂会、県民協働・無所属ネット
   緑新会、政信会。これらの多くは田中知事に対し当初「是々非々」
   でのぞむとしていたが、現在は「非」的対応となっている。

 7会派による田中知事の肝いり予算の全面・大幅予算は、県民ニーズにそったものとは言えない。それはまさに「タメにする予算削除」であるからだ。すなわち田中色がもっとも濃厚な事業や人事の関連予算を、片っ端からろくな議論もせずに切り落とした。関連委員会で7会派の議員が多数をもっていることから、問答無用に近い方法で、全額・大幅削除を断行したと言うことだ。田中知事の肝いり予算の削除があらかじめあり、あとからとってつけたような理由をつけたと言うのが実態ではないのか。

 もっぱら、これほど酷い議会は、ないが、県議会における「タメにする議論」や「タメにする予算削除」は今にはじまったことではない。

 実際、この一年だけをとっても、田中知事が提出する全国に先駆けての条例案や政策それに施策を否決している。しかも、地元新聞と連携することで、議会が近くなると、にわかに唐突に、田中知事の政策をことごとく政局化させるような動きが顕著になってきた。すなわち次期(2006年夏)の知事選に絡め、知事の支持率を低下させたり、あたかも知事のスキャンダルであるかの如くにするのである。このような7会派とメディアの連携による卑劣なやり方がいかにおかしなものかを、多くの県民はすでに見抜いている。良識ある県民は、このような県庁所在地(長野市)で起こっている茶番劇に、もうへきへきとしているのである。

 友人で日本を代表とする見識ある月刊雑誌の編集長は、「いやはや、大変な議会ですね。これは田中知事への『いじめ』でしょうね。本当にお疲れ様でした」と言っている。編集長が言うように、いまの長野で行なわれていることは、知事を標的にした執拗な集団的な『いじめ』とも思えるのである。

 事実、長野県が実施している県民世論調査では、7会派が削除した事業が県民ニーズが高いことも明らかになっていると言う。逆説すれば、県民から選ばれたとことある度に公言している7会派議員が、少なくとも県民の代理人、代弁者として機能せず、また「是々非々」にもなっていないことを示すものだ。

 最近、「しなやか会」を退会した茅野実氏はじめ、7会派の県議の多く、さらに地元メディアは、ことさらそしてことあるたびに田中知事は「壊すだけで創る努力をしない」などと批判してきた。だが、今回の議会であらためて著となったことは、これでは田中知事や県政が新たな信州を創りたくても創りようもないと言うことであった。

 先に「今日のコラム」で報告した長野県知事、総合実力・実績で47都道府県知事中ナンバーワンに!を見ると、これだけ理不尽な7会派の批判や反対の連続の中で、よくぞ信州・長野をこれだけ改革してきたものだ、と感心するのは筆者だけでない。「これでここ数年長野で起こっていること、知事がしてきたことが良く分かりました」と言う趣旨のメールが沢山寄せられている」

 
長野県知事、総合実力・実績で47都道府県知事中ナンバーワンに! 

 平成17年度一般会計予算の総額に比べれば全面・大幅削除された事業予算や人事関連所産は微々たるものだ、と言う趣旨のコメントが一部議員らが地元新聞に出した意見広告にあるようだ。しかし、逆説すれば、これは大部分の巨大予算についてはろくな議論もせず素通りさせ、田中知事の肝いり予算だけを標的にして「タメにする予算削除」したことを、世間に公言にたようなものではなかろうか。

 いずれにしても、田中知事に「是々非々」で対応する言っていた議員が、「非々非々」議員と化している。このような議員とメディアの言動に、本質が見えている多くの県民はウンザリとしているのである。

 7会派の議員らは、自分たちの前に「●●の壁」をつくり、それら県民、世論を知らない、知ろうとしない議員やメディアはおろかではないか。まさに今の長野ほど、ただ田中知事をバッシングすることに終始し、議員やメディアがその本分を忘れている地域は日本広しといえ、他にないのではないかと、憂慮する。県民不在であり、県民は実に不幸だ。

 また結果的に現職の環境保全研究所長の生首を切り落とす平成17年度報酬の全額削除は、地方公務員法や労働基準法に違反する可能性が大である。

 なぜなら、県議会には副知事、出納帳、教育委員長など議会承認事案でなく知事の専管的権限である人事権を同決議は、実質的に侵害している可能性が大であるからだ。常勤の地方公務員(一般公務員)は、地方公務員法、地方自治法でその身分がいくえにも厳重に守られている。他方、非常勤の現職特別行政職公務員は、いとも簡単に首となることを2月議会は示したとも言える。7会派議員による事実、実態から乖離した「タメにする理由」で人権さえ軽視したいわば政治的意図による報酬全額削除は、行政法、労働法の法理からも大きな疑義がある。

 知事は常々県職員に「バカ者、若者、よそ者」を大切にし、そこから多くを学べと言っている。だが、いわば「よそ者」への人権無視の理不尽な決議が、こともあろうか立法府(=議会)内でまかり通っているところに、今の長野県議会の常軌を逸した現実があると思えるのである。本コラムでも報告したように、常軌を逸したヤジを飛ばす議員らを放置し、他方、「よそ者」に対し問答無用で理不尽な決議をする7会派議員にはただただ呆れるばかりである。

 
田中康夫:怒号飛び交うわが長野県議会の悲しき姿
   田中康夫知事、異例の議長申し入れの背景(法的検討)   

 寂しいかな、これが長野県の実態であり現実である。


 さて以下は、全額削除、大幅削除された田中知事肝いりの5つの事業と、2005年3月24日に何十年ぶりかに県議会で開かれた「再議」における田中知事の趣旨説明と宮川速雄議員の演説である。

 以下における図はいずれも広報ながのけん(PDF)最新号(2005.3.26)から転載している。

  ※
広報ながのけん(PDF)最新号(2005.3.26)は拡大してご覧下さい

 以下は県議会2月議会「再議」における田中康夫知事の説明趣旨。

 第2款総務費第1項総務管理費中の広報事業費の減額についてであります。多くの分野にわたる県の施策に関し、その活動や成果の具体的情報を、的確に、迅速に県民の皆様へお伝えするのは、行政に求められる説明責任であります。また、そうした広報事業の充実を通じて、県民の皆様が参加し、発言し、行動する県政改革が促進され、県民益が創出される、と考えます。

 県議会の来年度広報事業費が、議員諸姉諸兄のご判断で、今年度比224パーセントと大幅増額予算計上され、議決と相成りましたのも、恐らくは同様の哲学に基づいてであろうと忖度(そんたく)いたします。

 私たちも、県民一人当たりの広報事業費が全国44番目の低水準に位置しておりました本県の広報活動を、県民の目線に立って、改善させていただきたく今回、予算計上させていただいたところであります。ちなみに、今回提案させていただきました県の広報事業費をもってしても、吉村午良氏が県知事を務めていた平成10年度の予算額よりも少なく、県民一人当たり全国32番目の水準であることを申し添えます。

 なお、昨日の総務警察委員会委員長報告の中で、「現在の県の広報は、単に知事個人の意見を表現する場となって」おり、「広報のあり方として、極めて問題がある」との指摘を頂(いただ)きました。県知事の意見を開陳するのは県の広報として相応(ふさわ)しくない、との考えは、県行政の最高執行責任者としての私の存在を否定しかねぬもので、その発言が意図するところを図りかねております。

 況(い)わんや、新聞紙上に掲載すべく作成中の「広報ながのけん」の原稿を総務委員会の場に事前提出せよ、との要求は、いつか来た道にも繋(つな)がりかねぬ、まさに県議会としての権限に基づく「要求」を超えた、事実上の検閲ではあるまいか、と強く懸念するところです。



 以下は県議会2月議会「再議」における田中康夫知事の説明趣旨。

 次に、第2款総務費第2項企画費中のユニバーサルデザインに配慮したコモンズITバス事業費の全額削除についてであります。日々の生活の中で体く躯と頭脳を鍛錬し続けてこそ、より広い社会参加を知的発達障害者にも可能とする、とのユーニス・ケネディ・シュライバー女史が掲げる哲学と精神に多くの人々が共鳴し、全国、全世界から集ったスペシャルオリンピックスの開催地でもある本県は、年齢や性別、経歴や肩書き、国籍や障害の有無を問わず、生きる意欲を有する人々に、より開かれた人生へと挑戦する公正な機会を提供できる自治体を、素(もと)より目指しております。

 障害を克服していく意志を持った方々のみならず、山間や県境にお住まいの方々、今までパソコンに触れる機会の少なかった高齢者や家庭を守る皆様も幅広く参加できる移動パソコン教室を開催し、IT基礎技能の習得を支援するのが、コモンズITバスです。加えて、県政に関する様々な相談等の行政サービスを行う「よろず承り相談」窓口を、多機能バスを活用して実施するものです。それは、旧山口村の「越県」合併論議の際に私が繰り返し申し上げた、相対的少数者や弱者のためにこそ、より長野県行政は尽くすべきである、との信念にもつながります。

 事実、今年2月に市町村に対する聞き取り調査を行ったところ、55市町村が移動パソコン教室の開催を希望されています。先日、県議会の方々と市町村長との意見交換会の際にも、強いご要望があったと伺っております。この予算の減額は、県民誰もが等しく行政サービスを享受出来うる環境の整備に支障をきたすものであります。市町村長との信頼関係の重要性を常々、私に教え諭して下さいます議員諸姉諸兄の高い識見を期待するところです。

 また、このバス整備の財源に関しては、そのほぼ全額を、財団法人日本宝くじ協会からの助成金で賄うこととしております。既にご承知かと存じますが、念の為、付け加えさせていただきます。



 以下は県議会2月議会「再議」における田中康夫知事の説明趣旨。

 次に、第6款生活環境費第1項地球環境費中の環境保全研究所長の報酬の減額についてであります。

 現在、環境保全研究所長を務める青山貞一氏は、地球の有限性に関する問題意識を共有する全世界の碩(せき)学が集うローマクラブの日本事務局を経て、フジテレビジョン系のシンクタンク所長として活躍された、環境問題の第一人者であります。

 氏は、環境保全研究所の業務に留(とど)まることなく、地理情報システム(GIS)の構築、コモンズ新産業創出事業選考委員等、さまざまな仕事にご尽力下さり、各部局や現地機関からの依頼に基づく講演もお引き受け下さり、幅広く県行政に貢献していただいております。この予算の減額は、県行政の遂行に甚大なる支障をきたすものであります。

 武蔵工業大学教授の重職にある氏の本県における活躍を評価し、ならば、常勤雇用を求めるべき、との意見も議会内にあるとお聞きしました。が、それこそは、より良き相対主義の心智=メンタリティからは程遠い、敢(あ)えて申し上げれば「『長野県』天動説」とも呼ぶべき、身勝手で絶対主義的な理屈ではないでしょうか。

 
 以下は知事の「再議」説明に対する宮川速雄議員の賛成討論の一部。

平成17年2月一般会計予算案の再議に対する賛成討論

 
先に可決された修正案のうち、環境保全研究所の管理運営費に関する修正案は、非常勤の特別職である所長の報酬・480万円を全額カットしたものですが、この結果による所長の不在は、長野県の目指す環境政策に重大な支障を来たすものとして、わが会派の林議員が強く反対しました。

 報酬の全額カットによってもたらす結果は、任命権者である知事の人事権への侵害であります。

 そもそも、この報酬は、長野県が進める環境政策に相応しい人物に長野県が信頼し、尊重して支払われるものであり、その雇用条件、就業形態、責任と権限及び報酬などは、要綱によって決めらるものです。その条件のひとつである、報酬を全額カットして、雇用を不能させる行為及び権限は、議会にはありません。

 つまり、知事の人事権への介入であります。

 長野県が、来年度の環境保全研究所の非常勤・特別職の就任を予定している青山貞一氏の長野県に対する貢献度は、環境問題に限らず、衛生部、経営戦略局、企画局、農政部、林務部、土木部、商工部など多岐に渡っており、その業績を過小評価すべきではありません。

 修正案の理由によれば、「中国産はるさめの誤検出、誤公表は、非常勤の所長であること」をことさら強調していますが、報告書にもある通り、これは、現場部門と管理部門、現場と責任者との間の基本的な報告、連絡、相談が、長年行なわれていなかったことが原因であり、これらが厳密に行なわれていれば防げたことです。つまり、所長が非常勤であろうと、常勤であろうと関係のないことで、そのような体質そのものが問題の本質なのです。

 とまれ、修正案の理由によれば、「再三、常勤の所長を求めた」とありますが、ならば、常勤の所長を遇するために、己の身を削っても、2000万円の報酬を出そうという増額修正案が、何故、出し得なかったのでしょうか。


 
 以下は県議会2月議会「再議」における田中康夫知事の説明趣旨。

 次に、第8款商工費第2項観光費中のスキー王国NAGANO構築事業費の減額についてであります。これは、国内に留(とど)まらず、韓国、台湾、香港でも昨今、スキー&スノーボードのメッカとして高い認知度を誇る、信州におけるスキー関連産業を、観光立県の要(かなめ)として更に充実を図る、官民共同事業であります。本県では平成14年度から全県的取組として継続し、その効果もあって、15年度のスキー場利用者数は、急激な落込みに悩む北海道や東北6県、隣接の新潟県の何(いず)れよりも緩やかな減少に留(とど)まっています。こうした中、係る予算の減額は、本県観光業に甚大なるマイナスの影響を与えるものと危惧(ぐ)します。



 以下は県議会2月議会「再議」における田中康夫知事の説明趣旨。

 最後に、第9款土木費第2項道路橋梁費中の信州型木製ガードレール設置事業費の減額についてであります。

 信州型木製ガードレールは、県土の8割が森林で覆われる長野県産の間伐材を有効利用する、まさに全国に発信する信州モデルであります。県内企業3グループがそれぞれ研究・開発を行い、国土技術政策総合研究所における実車衝突実験の結果、自治体として初めて車両用木製防護柵として国の衝突試験に合格した、何(いず)れも十分に強度が保証された製品です。環境立県、観光立県として知られる本県にふさわしき、美しさと温(ぬく)もりに満ちた景観の創造と県産間伐材の有効利用、森林整備による地球温暖化の防止、循環型ビジネスの誘発、地元雇用の創出に寄与するものであります。

 過日、東京で歓談しました国土交通省の最高幹部であられる佐藤信秋技監も開口一番、信州型木製ガードレールこそは納税者から理解され、我々も胸を張って予算執行出来る21世紀の望ましき公共事業であろう、と積極的評価を与えて下さいました。「増額してまで前倒しをして設置する必要性が全く認められない」、と知事査定の段階で増額した点に疑義を表された土木住宅委員会委員長報告とは極めて対照的であります。この予算の減額は、本県の優れた環境の保全、観光県としての付加価値の創出、にも大きな支障をきたすものであります。