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長野県内にはびこる実質不法投棄!
〜長野県で本格的ゴミ条例を
必要とする背景
(1)

青山 貞一
掲載日:2005.4.4


 今の長野県内には、実質的には不法投棄でありながら、廃棄物を有価物と見せかける巧妙な手口、さらにコンプライアンス意識のなさと県行政の摘発の甘さによって放置されている不法投棄物が随所にある。
 
 たとえば、県内外から集めた下水汚泥を堆肥(実際は堆肥モドキ)とし、それを営農者に有価物として売ると称し、実際は売ったフリをするだけで、優良な農地を処分場と見立て膨大な量を不法投棄している例がある。

 また、もともと廃棄物処理業や処理施設の許可をもたず、収集・運搬業だけの許可しかもたない業者が、県内各地から建設廃材現場から集め、業者の庭先で自社処理の名の下に移動の破砕機などで木くずチップ化し、これまたリサイクル製品、すなわち有価物として第三者に売ったフリをすることで、実質は不法投棄をしている例があとをたたない。

 これらはいくら巧妙な手口をつくそうと、いずれも法的には不法投棄と言えるものである。

 しかも、それら堆肥モドキや木くずチップを分析すると、亜鉛、銅、ヒ素などの有害重金属が高濃度で検出されることが多い。当然のこととして、これらが巻かれた農地などでは重金属汚染が次第に蔓延し、最終的に地下水を汚染することとなる。

 私はこの一年、長野県内でさまざまな調査を指揮し手がけた。そのなかでも、特に実質的に不法投棄でありながら上述の理由によって、刑事告発、告訴などされず、行政指導さえされないこの種の問題の解決に時間を割いてきたと言える。

 実際、県民や住民団体だけでなく、元長野県警職員だったひと、産廃業者のひとからも内部告発を受けた通報内容の多くはそのようなものだった。

 上記2つの事例に共通するのは、原料となる産業廃棄物にかなり高濃度の有害物質が含まれていること、それを適法、不法を問わず処理しても、リサイクル物に高濃度の有害物質がふくまれざるをえないことである。

 また上記2つの事例に共通するのは、高濃度に汚染されている実質産廃を、あたかもリサイクルした有価物のフリをさせていることである。

 行政当局は、業者が「これは有価物です」と言うと、何のためらいもなく「そうですか」と、その後の立入検査や行政処分、摘発をせず、気づいたときは、県内に汚染をともなう産廃の不法投棄が蔓延していた、と言うことになったのである。

 これでは正直者の産廃業者がバカをみることになり、農地や林地、さらに住宅地がどんどん汚染されてる。実際、私たちが調べた農地の場合、堆肥モドキによって環境基準に類する基準の10倍近く重金属で汚染されていた。

つづく