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技術欠損事故の可能性を探る!?
〜関連意見と新聞記事〜
青山貞一
掲載日:2005.5.22


 私の「技術欠損事故の可能性を探る!?」に多くの意見が寄せられました。そのなかに、神戸市在住のK.Kさんから以下のご意見がありました。

 「JR福知山線の事故の原因で、列車側の原因の可能性も考えるべきだという意見、私も同感です。空気バネの構造などJRに乗っていても何も知りませんでしたが絵を見て、なるほどと感じました。私は神戸新聞というローカルな新聞を購読しているので、もう一つ、ブレーキ関連のトラブルの可能性の記事を見かけました。回生ブレーキと空気ブレーキの切り替わり時の時間がかなり長いケースがあるそうです。」


 以下は、K.Kさんのご意見に添付されてきた神戸新聞の記事です。

「制動数秒不能」運転士ら証言 脱線同型車両
特集「 尼崎JR脱線事故 」

神戸新聞 2005/05/14

 尼崎JR脱線事故で、脱線した快速電車と同じ207系と呼ばれる車両などで、一時的にブレーキが利かなくなる「オーバーロード」(OL)と呼ばれる現象が多発していることが十四日、複数の運転士らの証言で分かった。高速から減速した際、乗用車のエンジンブレーキに当たる「電力回生ブレーキ」が突然利かなくなり、圧縮空気を使いブレーキパッドで車輪を締め付ける「空気ブレーキ」への切り替えまでに、数秒間の「制動の空白」ができるという。

 事故現場のカーブ手前でも複数の運転士がこうした経験をしたと証言。国土交通省航空・鉄道事故調査委員会(事故調委)は事故との関連性に注目している。

 力回生ブレーキは、モーターを回す抵抗を制動力に変え、減速させるエンジンブレーキのような仕組み。制動と同時に、モーター回転で発生した電気を架線に戻すことができるが、急制動で還流する電気が架線電圧を急上昇させた場合、モーターのショートなどを避けようと、車両自体が回路を遮断する。

 その後は空気ブレーキが強まりフォローするが、切り替わるまで一、二秒の空白が生じ、一時的にブレーキが利かない状態になるという。

 事故を起こした快速電車は七両編成。二、三、五両目にモーター車があり、高速時は電力回生ブレーキで、低速時は空気ブレーキで主にカバーしている。

 兵庫県警尼崎東署捜査本部の調べでは、快速電車は車体から回収されたモニター制御装置の記録から、カーブが始まる手前約三十メートルで非常ブレーキが作動したとみられ、直前の速度は百八キロだった。

 同乗していた車掌(42)の供述などによると、非常ブレーキ作動地点近くまで制限速度の百二十キロ程度で走行していたといい、事故調委は、制限速度七十キロのカーブに近づく中、高見隆二郎運転士(23)=死亡=が減速しようとした際、OLが発生した可能性も考えられると指摘。「十回運転すれば三回はOLが起こる」との現役運転士の証言もあり、十分に減速できないままカーブ始点に迫ったことが、非常ブレーキ作動につながったとの見方もできる、という。


非常ブレーキ直前減速せず
特集「 尼崎JR脱線事故 」

神戸新聞 2005/05/19

 事故を起こした快速電車七両目に搭載されていたモニター制御装置(国土交通省航空・鉄道事故調査委員会提供)

 尼崎JR脱線事故で、事故車両から回収された「モニター制御装置」の解析から、現場カーブ(緩和曲線)手前で非常ブレーキを作動させた際の快速電車の速度が、記録が残る五秒前からほとんど変わっていなかったことが十九日、兵庫県警尼崎東署捜査本部などの調べで分かった。同本部は高見隆二郎運転士(23)=死亡=が、常用ブレーキを作動させたが思うように減速せず、カーブ目前で一気に非常ブレーキをかけた可能性もあるとみて捜査を進めている。(1面参照)

 モニター制御装置は通常、非常ブレーキ作動の前後各五秒間の速度などのデータを記録する。捜査本部などが、事故を起こした快速電車の五、七両目から回収した同装置を解析した結果、カーブ手前約三十メートルで非常ブレーキが作動、直前の速度は百八キロだったとするデータを主に五両目の装置から検出。さらに調べたところ、非常ブレーキ作動五秒前から作動時までほとんど減速していなかったことが新たに分かった。

 同乗していた車掌(42)の供述などによると、電車はカーブ北側にある名神高速道路高架橋手前まで制限速度の百二十キロ程度で走行していたとみられる。捜査本部は、常用ブレーキをかけるポイントが遅れ、十分に減速できないままカーブに迫ったため、高見運転士が一気に非常ブレーキをかけたことも考えられるとして、分析を急いでいる。

 一方、同装置には非常ブレーキ作動後五秒間の速度などのデータが残っていなかったことも判明。非常ブレーキは通常、一秒間に時速約三・五キロ減速するとされるが、電車が傾き片輪走行になっていたとすれば制動効果は不明という。

 捜査本部などは、ブレーキ作動後五秒以内に電車が脱線、あるいはマンションに激突するなどした衝撃で、電気系統などに何らかのトラブルが発生、データが消えたとみて、メーカーなどに鑑定を依頼、詳細なデータの解析を進める。